【感想・ネタバレ】日本の教育はダメじゃない ――国際比較データで問いなおすのレビュー

あらすじ

昨今、メディアや識者からは、日本の教育に否定的な意見ばかりが目立つ。その結果として、教育現場の実態とはかけ離れた教育政策にすがりついてしまう。しかし巷間言われるように、日本の教育は本当にダメなのだろうか? 国際比較データを駆使して新しい姿を描き出す。思い込みを解きほぐし、不安や疑問に答え、未来に向けて提言をする。専門分野も国籍も異なる気鋭の研究者2名が、教育をめぐる議論に新しい視点を提供する。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本の教育はすごいと思った。日本はどのテスト結果でも上位であり、大人になってからもその能力を維持している。
しかし、日本の大学生はアメリカの大学生に比べて勉強しない。日本は大学での勉強が少ないのにもかかわらず、学力が高いのだ。
そこで、日本とアメリカでは大学進学率が異なるのではないかと考えた。アメリカの方が低ければ、日本に比べて勉強への意欲が高い学生が多くなるため、勉強量が多くても納得する。
ところが、大差をつけてアメリカの大学進学率の方が高かった。私の仮説は立証しなかった。やはり、勉強以外の様々な体験を積むことが大切なのだろうか。ますます疑問は深まるばかりだ。

「カナダの子どもたちは、自分が失敗したと感じると、頑張らなくなる傾向に」あって、この違いは「自己」認識の違いに関係していると本文にあった。
これは、前に述べられていた、日本の子どもたちは、学力を決める要素として重要なのは努力だと考えるが、カナダの子どもたちは、学力を決める要素として重要なのは才能だと考えている、ということに繋がると思った。アメリカやカナダの子どもたちは、上手くいかないと「自分には才能がないんだ」と思い諦めてしまうのだろう。
「諦める」というとネガティブなイメージだが、早めに見切りをつけるアメリカやカナダの考え方は、自分の才能を発揮できる場所を見つけやすそう。

0
2023年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
はじめに
第1部  日本教育の通説を疑う
 第1章  学力は本当に低いのか?  
 第2章  教育の代償は大きいのか?
第2部  日本教育を壊さないために
 第3章  もうそういうの、やめませんか?

<内容>
大変面白かった。教育現場にいるものとして、文科省のプランに疑問を感じつつ、やらされている身からすると、「そうだよ!」と腑に落ちる点も大変多い本だった。
基本はPISA(OECD主導の世界学力調査)のデータを基にしている。それを適切に分析して、文部行政や経済界や政界(文部行政を主導している張本人)、マスコミの誤りを指摘している。結果、日本教育のよさを指摘しているが、いわゆる「日本バンザイ!」本とは違う。データの読み取り、分析の結果を述べるだけだ。第2部で提案もちゃんとある。ある程度納得できるものだ。著者たちも述べている通り、PISAデータだけに頼るとずれるものが多々あるのも分かっている。また国全体のデータなので、もっと短期間の動向や日本の地域別などは読み取れない。そのうえで、文部行政がもっと腰を据えて分析をし、施策を出してもらえるほうが、教育界が余裕をもって改革をできると思う(改革をしなくてもいいとは、著者たちも私も思っていない)。
教育界に自信を持ってもらうためにも、先生が読むべきだろう。

0
2021年03月20日

「学術・語学」ランキング