【感想・ネタバレ】インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイドのレビュー

あらすじ

セールスフォースとビズリーチの
インサイドセールス部門を成長させた
立役者が教えるノウハウの全て

〈本書の特長〉
・インサイドセールスの立ち上げから
運用までの知識と実践的なメソッドを紹介
・自社に合うインサイドセールス部隊を作れるようになる
・インサイドセールスを運用する企業へのInterviewも紹介
・セールスフォースとビズリーチのインサイドセールス部隊を
作り上げた茂野氏が丁寧に解説

〈このような方にお勧め〉
・非対面で効率的に成約させる方法について知りたい方
・インサイドセールスの正しい指標を知りたい方
・インサイドセールスをこれから立ち上げる経営者やチームリーダー
・インサイドセールスへの転職を考えている方
・インサイドセールスのマネジメント方法を知りたい方

〈在宅で十分に成果をだせる職種〉
消費活動の変化・サブスクリプションモデルの台頭・働き方改革によって
従来の外勤営業やテレアポだけでは対応できないことも多くなりました。
近年では非対面の営業であるインサイドセールスを
取り入れて成果をだしている企業が増えています。
とはいえ、体系化された知見や成功事例はまだ少ないといえます。

〈本書を読めば実践スキルが身につく〉
そこで本書ではセールスフォースとビズリーチで
いちからインサイドセールス部隊を作り上げ、
外部コンサル支援も行う茂野氏が、
インサイドセールスチームで成果を伸ばす方法を教えます。

インサイドセールス部門の立ち上げを考えている経営層はもちろん、
チームリーダー・メンバーにもお勧めの1冊です。

※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。
※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。
※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【インサイドセールスの3つの主要役割】
インサイドセールスには「SDR(反響型)」「BDR(アウトバウンド型)」「オンラインセールス(非訪問型営業)」の3つがある。SDRはマーケティング起点のリードから商談を創出し、BDRはターゲット企業へ能動的に手紙や架電でアプローチし、オンラインセールスは訪問せずオンラインで商談〜契約まで担う。SDRが「面」で扱うのに対しBDRは「点」で個別攻略を行う。

【インサイドセールスが必要とされる理由】
営業がリードを捌ききれず、温度感の高いものしか追えないため多くのリードが放置される課題が背景にある。さらにサブスク普及により問い合わせ元が増え、商談設定を担う専門部隊の重要性が高まった。

【キャリアと役割の価値】
インサイドセールスは営業・マーケ双方の観点を学べ、顧客課題の発見力、役職別の傾向理解、事例知識、ヒアリング能力が身につく。営業やマーケへのキャリア転換がしやすい。

【新人育成】
ビデオオンを徹底し、相談しやすい環境をつくることで、対面経験なしでも安心して業務できる。

【インサイドセールスの本質はカスタマーサクセス】
契約はスタート地点であり、顧客成功が継続の前提。顧客への価値提供を重視し、単なるテレアポに陥らない姿勢が重要。

【立ち上げで絶対にやってはいけないこと】
成果を出していない営業を異動させてチームを作ること。商談の質低下・営業との摩擦・部門崩壊リスクがある。成果を出している営業は受注につながる商談条件を理解しており、立ち上げに貢献できる。

【インサイドセールスマネージャーに求められる能力】
大量の数字管理・分析、オペレーション構築、他部門との交渉力、メンバーのWILLと業務の接続、人材育成など、高度なマネジメント能力が必要。

【量→質→売上という成長プロセス】
まずは商談獲得数に振り切り、その後商談の質を高め、最終的には売上を中心に議論するフェーズに移行する。営業のキャパや制約率低下の原因まで踏み込んで会話する。

【立ち上げ初期にやるべきこと】
失注商談の掘り起こし、達成しやすいKPI設定(架電数・メール数)、日中の架電数チェックとリカバリー、テンプレート整備など、短期で動かせる施策から着手。文化浸透には約2年必要。

【優秀なインサイドセールスの条件】
「量を重ねて成果を出せる人」。接触履歴が蓄積され最適なタイミングで価値情報を届けられる。ブライダル業界経験者は複雑・高額商材の経験から適性が高い。

【採用のポイント】
他責思考はNG。経験よりカルチャーフィットを重視する。変化が激しい環境ではカルチャーフィット人材の方が長期的な組織力を高める。未経験者採用も十分可能。

【商談化の定義と設計】
分業モデルでは役割間の連結設計が重要。商談化は第三者が見ても判断が変わらない客観的条件で定義すべき。また失注ルールを明確にし、適切に処理する必要がある。

【立ち上げ後期のKPIとオペレーション】
インサイドセールスが初回商談〜デモまで実行し、動画やイベントを組み合わせて営業にパスする。洗練されすぎるとルーティン化するため改善意識を維持する必要がある。

【数字管理:輪切りと追っかけ】
追っかけは「リード発生月からの商談化数」、輪切りは「発生月と獲得月を揃えて比較」。両方を組み合わせることで短期・長期両面を把握できる。

【営業部門とのミーティング】
常に売上を中心に議論することが最重要。商談数の増加だけでは売上は増えない。営業の制約率やキャパまで踏み込んで議論する。

【ユニーク者数の重要性】
リードが多く見えても企業重複が多い場合は実質リードが少ない。ユニーク者数で施策の有効性を判断する。

【SDRテクニック:5分以内接触】
温度感高いリードには5分以内の初回接触が有効。ただし既存対応状況を必ず確認する。

【ヒアリングテクニック】
追加質問の許可を得て意思決定者の同席を促し、企業調査に基づく仮説を提示して信頼構築と深いヒアリングにつなげる。仮説は会話を開くために使う。

【SPIN話法のポイント】
事前調査で分かる質問は避ける。問題質問で課題を顕在化させ、示唆質問で影響範囲を広げ、解決質問でメリットを具体化する。

【継続接触の重要性】
温度感が高くても50〜70%は商談化しない。接触回数×内容の質で関係性を育てる。

【生産性向上:徹底準備】
テンプレートや資料を整理し、個別対応しすぎず生産性と質を両立する。

【オンライン商談と訪問の使い分け】
複雑・多人数・競合ありの商談は訪問が有利。要件明確でシンプルならオンラインで問題ない。

【チームマネジメントの鉄則】
部門の目的や役割を丁寧に説明し、オペレーション改善はメンバー主導で進める。1人でも反対すれば運用を見直す。成功事例の共有は必ず実施する。

【ワンオンワンの原則】
メンバーのための時間とし、数字や業務の話はしない。「今日は何を話そうか」から始める。マネージャーからリスケしない。効果は信頼構築・内省促進・ネガティブ報告の機会創出

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド
 
■インサイドセールスの3分類
●分業タイプ
・商談機会の獲得までを行い、その後は営業に交代する
・高単価で継続モデルな製品が多い。法人向け、対象企業は限定的
●混合タイプ
・企業規模や地域によって商談する手法を変える
・高単価で売り切りモデルor継続モデル。法人向け、大手企業から中小企業まで幅広い
●独立タイプ
・商談機会の獲得から成約までを同じ組織で行う
 
■サブスクリプションモデルの台頭によるビジネスモデルの変化
●サブスクの対応により、インサイドセールスがより求められるようになった
・理由の1つは営業の負担が増加するため。サブスクは継続的な機能開発が発生するため営業はその機能に対応していく必要があり、かつそれ自体が商談のチャンスとなるため常に見込み顧客や既存顧客と商談をする必要がある。加えて売り切り型ではないために契約の継続交渉、契約期間中のライセンスの追加契約など、今までよりも複雑かつ膨大な業務に追われることになった。
・サブスクは初期にかかる費用が非常に安価なため、契約自体をオンライン商談で完結することが可能になった。
 
■テクノロジーの進化による営業手法の変化
・今までは顧客の情報は営業が管理し、訪問でしかその変化を捉えることができなかったが、テクノロジーの進化によってその情報が共有され、購買プロセスが明確になり、分業することが可能になった。●課題解決質問の流れは、現状把握の質問から始まる(図表4-8)
・現状把握→悩みを深掘り→気づきを促す→提案につなぐ。
●理想と現状のギャップが出てきたら、深掘りする。
・もし、お客様の深い悩みや課題に気づかず、そこがスポンと抜けたまま提案をしてしまうと、営業側の都合が強く前面に押し出された提案になる。すると、お客様から「悩みや課題を聞いてくれない」という不満を持たれてしまうので、注意が必要。
●気づいていただくには、視点を「未来」に移すことが必要
・気づかせ質問におけるコツは、お客様との会話のやり取りが「現在」の時間軸にとどまっていると、「今は特に困っていないからいいよ」となりやすいので、お客様との会話を「未来」の方に向けることが必要。
・数年後はどういう状態になっていたいのか、それに照らすと現状はどうなのか。あるいは、今見えている問題は、以前から認識されていたことだからといって、このままずっと放置しておいても良いものなのか。未来を想像していただき、そのあるべき姿から逆算した現在の状態を考えていただくことで、潜在的な課題が顕在化する。
●顕在化された課題を、質問力で自社の提案につなぐ
・お客様にとっては、悩みや課題の深刻さを再認識できただけでも、十分に価値があるが、肝心なのは、どう解決するか。そこから、提案に移る前に重要な動作がある。
・それが、提案(解決策)への「つなぎ質問」。
・気づかせ質問で事の重大さに気づいたお客様に、当社の提案で解決できたらどんなインパクトがあるかを、ご自身の言葉で語っていただく。
・例えば、お客様が3億円のギャップを埋められない時の深刻な事態に頭を悩ませている時、提案(解決策)へのつなぎ質問は、このようなものになる。
┗「中期経営計画で目標とされている数字に対して、どういう戦略でいこうか、まだ定まっていないということでした。もし、弊社とディスカッションさせていただきながら、その3億円のギャップを埋める戦略が明確になったら、どんなインパクトがあるでしょうか」
・そのつなぎ質問に対して、「それ。すごく助かりますよ」などと前向きな反応が返ってくれば、お客様はこちらからの提案に対して非常に前向きなマインドになる。
 
・また電話も進化している。例えばレブコム社が提供するMiiiTelというIP電話はパソコン経由で電話の発着信が行えるだけではなく、通話内容を自動で録音・解析することで最適な会話を示唆してくれるので、顧客対応品質と生産性を向上させてくれることが可能。
 
■インサイドセールスの本質はカスタマーサクセス
●大前提:カスタマーサクセスの考え方をインサイドセールスは持たなくてはならない
・この大前提が抜け落ちた瞬間に単なるテレアポと化す。
・営業組織において売上を上げることは至上命題ですが、短期的な売上だけを追うようなやり方では長期的な成長は見込めない。
・直近の目標は商談機会の獲得かもしれないが、その先に契約があり、さらにその先には顧客の成功という大きな目標があることを忘れてはいけない。
 
■完成形は「常に変化できる組織」
・インサイドセールスの完成形を運営しながら考えて行き着いた答えが、「常に変化できる組織」。
 
■ビズリーチ社での立ち上げ事例
●先ずはビジョンを決める
●量に振り切る
●質に転化する
・量に振り切ると「どのような条件ならば受注が見込めるのか」がデータとして詳細に浮かんでくるため、それを商談獲得項目に反映する。
●売上に注目する
・営業部門との打ち合わせは必ず売上を中心に議論する。「商談数は約束通り提供している」といった会話は何も生み出さない。
●1年間の結果
・1年後には商談数は約6倍、全体の売上に占めるインサイドセールスの関与割合も大きく伸長した。
 
■インサイドセールスの立ち上げのポイント(スマートキャンプ社)
●立ち上げ初期に意識すること
・インサイドセールスの立ち上げ初期にはまずはゴール設定を行う。この時に何を目的に、どんな数値を追いかけるのかを決定する。ここを曖昧にしてしまうと効果検証ができず、うまく立ち上げることができない。
・成果を1つに絞ることも最重視している。初期はとにかく1つのことに集中して成果を出し、そこで得た実績と信頼を使って次に進んでいく方法が王道。
・立ち上げ初期に集中して取り組むべきは、即効性がある失注商談の掘り起こし。情報があり、かつ過去にコンタクト済みなのでコミュニケーションしやすく、タイミングが合えばすぐに成約に繋がる。
・スタート時に追うべき数値はKPIの行動量。先ずは達成しやすい数値にKPIを設定していく方がコントロールしやすいため。架電数やメールの送信数は絶対に達成可能のため、そこからリズムを作っていくことができる。
 
■採用する人の分類と採用すべき人の優先順位
・先ずは採用する人を①設計者、②実行者、③管理者の役割に分類する。採用すべき優先順位も①から③の通り。
●①経験者を採用すべき「設計者」
・レベル1:部門の各種数値設計が可能(行動指標やKPI/KGIの設計ができる)
・レベル2:マーケティング部門、営業部門との合意形成ができる
・レベル3:発生する不具合に対して計画的に事前対処できる
・レベル3は社内外を問わず2社以上の経験、もしくは3年以上インサイドセールス組織に携わったことがないと到達できないのではないかと考える。
・組織の責任者として立ち上げを行なったのか、メンバーとしてそこに従事していたのかは、雲泥の差があるので面接を通してしっかりと確認をするべき。
 
●②未経験者でも十分活躍できる「実行者」(SDR、BDR)
・CRMを使っていないインサイドセールスの経験はテレアポに近いと考える。
・テレアポはフロー型で「架電リストの上から順にただ電話してリストを消化(フロー)しているだけで情報が蓄積されない状態で、顧客との信頼関係も毀損(フロー)しているもの」であり、インサイドセールスは「コミュニケーションの履歴を蓄積(ストック)することによって最適なタイミングで最適な情報を届け、お客様との信頼関係を構築(ストック)することを目的としている」と定義づけている。
・そのため、CRMの経験がないインサイドセールスの場合、詳しく業務内容をヒアリングし、フロー型ではないことを確認する必要がある。こういったマインド部分を入社後に修正していくのはかなりの難易度のため注意が必要。
・「量を重ねて成果を出せる人」が必要。CRMなどの複雑なオペレーションを実行しながら日々リストを整備し、お客様との関係性が切れないような準備とアクションを毎日一定量実行できる人は、オペレーションが洗練されているから。まさに優秀なインサイドセールスの基礎的な要素がここに詰まっている。
 
■成約率を高めるインサイドセールスのKPI
●準備①有効リードの定義を決める
・インサイドセールスはデータドリブンでマネジメントする必要がある。
●基本ルール
・データに欠損(社名や連絡先が正しくない)のあるリードを除外するか。
・学生の勉強目的や企業に属していない個人からのリードを除外するか。
・ターゲット企業以外(企業規模、業種業態など)のリードを除外するか。
●既存のお客様からのリード
・既存のお客様からのリードを除外するか。
・新商品の紹介やセミナーはカウントするか。
・既契約製品の問い合わせやセミナーは除外するか。
●温度感や確度の低いリード
・ホワイトペーパーなどの見込みの低いリードを除外するか。
・展示会で獲得した名刺やリードを除外するか。
・高位役職者などはカウントするか。
●アクション後の判断
・所定回数のアクションを実行したが着電や返信がない場合は除外するか。
・誤登録であると判断した場合は除外するか。
・検討や導入に関係ない部門や役割であると判明した場合は除外するか。
 
●ターゲットと温度感の関係
・温度感の低いリードこそがインサイドセールスの介在価値を発揮する場面。
・インサイドセールスにとって重要なのはターゲットとなる企業の商談をどれだけ営業に渡せたか、ということ。「温度感が高い×ターゲット」はもちろんだが、「温度感が低い×ターゲット」こそが最も成果を出すべきリード。逆にいくら温度感が高くてもターゲット外の商談を渡すことは営業の生産性を下げることにつながるため注意が必要。
・メールへの返信がない場合に考えられるのは、不信という、お客様から信頼されていない、もしくはまだニーズが顕在化しておらず今は連絡を取っても意味がないとお客様が考えているパターン。この場合は自社への理解を高め、信頼を獲得するためにも主にメールでの資料提供やイベントのご案内を送ることで将来的な商談につなげていく。
・また、導入に関係しない部門や役割の方のリードの場合は「関係する部署や担当者」を紹介してもらうように働きかける。信頼があり、意図が伝わればご紹介いただけることは多々ある。このようにターゲット企業かつ各種条件をクリアして架電やメールなどでアクションしたリードはその時点で有効リードであり、インサイドセールスの力量で次に繋げることが可能。
 
●準備②商談化の条件を決める
・営業にパスする条件(商談化の条件)を明確に決めておかないとインサイドセールスの成果を正しく測ることができない。商談化とは「インサイドセールスから提供した商談が商談するに値する、もしくは見込み顧客として認定できた」という意味が一般的。
●客観的に判断できる条件を設定する
・良い商談化の条件とは定量的であり、定量的ではないにしても客観的に判断でき、第三者が見ても判断が変わらないもの。重要なことはゴールをしっかり共通化し、そのために必要な改善をスピーディーに進めていくこと。
●中小企業向けサービスにおける商談化の条件の特徴
・1つ目の条件は解決できるニーズが存在すること。
・2つ目の条件に「商談開始から20日以内に受注する可能性がある」のような条件を加える。
●大手企業向けサービスにおける商談化の条件の特徴
・大手向け製品のインサイドセールスの指標として用いられるのが「商談の単価」。単価に下限値を設定し、そこを超えるように営業もインサイドセールスもターゲティングからアカウントプランの作成を行い、実行に移す。こうすることで良い意味で行動に制限がかかり、双方にとって重要な案件のみを創出することが可能になる。
・また大手企業への導入を進める場合(大型案件の場合)、役員クラスの支援が必要不可欠となり、それを条件に盛り込んでいるインサイドセールス組織も存在する。
 
●準備③失注の定義を決める
・失注には3つの種類がある。共通して重要なのが失注理由を明記し、次のアクションやその期日を明示すること。
①   商談機会無し(Dead No Opportunity)
・営業が本来対応すべきものではなかったものを指す。
②   他決(Dead Lost)
・競合とコンペになり負けてしまった場合。
③   その他の失注(Dead No Decision)
・「製品の導入をするかしないかの決断そのものをしなかった」
・「導入そのものを見送った」
・失注理由の多くがこの「その他の失注」になる。
・また、失注となる企業は提案先として間違っていなかった、ということになりますので失注理由は詳細に記載し、次のアクションを明確にしておくようにする。商談後は商談の管理がインサイドセールス部門に移行される運用が一般的なので、その際に情報の薄い失注商談はアプローチの対象外となるパターンが多く、機会損失を起こしやすくなる。
●失注を成約に変えるためにできること
・失注理由が解決できない限り、再度商談を行ったところで受注することはない。インサイドセールスはそういった変化がない商談を再度設定しないような意識が必要だし、営業側もそういった事象を防ぐためにも失注理由は明確に記載する必要がある。
・また、受注見込みのない商談を営業部門で大量に抱えている状態では見込みが十分なのか、それとも不足しているのかをリアルタイムに把握することができない。そういった意味でも失注を定義し、ルールに沿って適切に失注処理をしてくことが極めて重要。
 
●インサイドセールスが常にチェックすべき基本項目(SDR)
・リード数(有効リード数、リードソース別のリード数)
・リードのフォロー完了率
・各リードからの商談獲得率
・架電数(着電数)
・メール送信数(到達数、開封数、URLのクリック数)
・架電数とメール送信数を合計したアクション数
・商談獲得件数
・商談獲得金額
・有効商談数(商談化数)
・受注件数
・受注金額
 
●インサイドセールスのチェック項目(BDR)
・営業と合意したターゲット企業のリスト件数
・ターゲットリストのうちのアプローチ完了率
・リード数(有効リード数、リードソース別のリード数)
・CXOレターの送付数
・架電数(着電数)
・メール送信数(到達数、開封数、URLのクリック数)
・商談獲得件数
・商談獲得金額
・有効商談数(商談化数)
・受注件数
 
●マーケティング部門のチェック項目
・ハウスリストの件数(これまでのマーケティング活動で獲得したリード数)
・ハウスリストのうち、クッキー情報を取得できているリード数
・メール送付可能な件数
・マーケティングメールの送信数
・マーケティングメールの到達数
・マーケティングメールの開封数
・マーケティングメール経由のURLクリック数
・オプトアウトの件数と送信1回あたりの解除率
・各種マーケティング活動による獲得リード数と獲得単価
・獲得リードのうち、過去に接触のないホワイトスペースのリード数
・獲得リードのうち、ターゲット内のリード数
・マーケティング施策あたりの商談獲得単価
・マーケティング施策あたりの受注単価
 
■立ち上げ初期、中期、後期のKPIモデル
●立ち上げ初期のKPI設定
・立ち上げ初期に重要視すべき指標は「商談獲得数」。
┗1点目は情報分析の観点から。
┗2点目は成約への貢献を早期に実現するため。
 
●立ち上げ中期のKPI設定
・立ち上げ中期の目安は、一定数以上の商談をコンスタントに提供できるようになること。
・初期で量に振り切ったことで2つの大きな変化が起こる。1つ目は目的であったサンプルデータの蓄積。これによって営業側が求めている質の高い商談の条件が明確になる。2つ目は商談を多く供給したことによる営業の生産性低下。中期は本当に必要なものだけを商談として営業に渡す。
・有効商談の定義の見直しを行う。
┗①成約した企業情報を分析する(業種業態、企業規模、成長率、その他定量情報)
┗②成約した商談情報を分析する(検討の背景、商談者の特性や役職、その他定性情報)
┗③集めた情報を営業担当に肌感覚と相違ないかを確認して条件設定する。
┗④設定した条件で商談供給が可能かをインサイドセールス部門内で確認する。
┗⑤④が不可の場合は営業とインサイドセールスを交えて議論する。
┗⑥除外条件を設定する(例:売上50億円以下の場合、社長商談であれば取得する)
 
●立ち上げ後期のKPI設定
・立ち上げ後期の目安は、商談化率75%以上、設立から2年後くらい。
・KPIを成約数にするメリットは複数ある。
┗1つ目は成約数を増加させるための打ち手に柔軟性が出ること。チームが経験を積んだ状態であれば、成約数を増加させるための打ち手が様々な角度から起案されるようになる。
┗2つ目はメンバーの能力開発とマンネリからの解放。オペレーションが洗練されればされるほど、単純なルーティンワークのように感じてしまうことを個人の能力開発に繋げる。
 
■見落としがちな罠①数字は「輪切り」と「追っかけ」で見る。
●「輪切り」で月ごとの純粋な生産性を見る
・リードの発生月と商談の獲得月を揃えて見る方法。
・輪切りで見るメリットは数字が単純でわかりやすいという点で、多くの組織がこの指標を見ている。デメリットは不調の際の原因がわかりにくい、当月リードの質を判断するまでに時間がかかり改善案が遅れる、ということがある。
●「追っかけ」でリードからの生産性を見る
・リードの発生月を基準にその月のリードから何件の商談を獲得できたのかを見る方法。
・追っかけで見るメリットは正しく数値を把握することができる、過去のリードからも商談を生み出せているかを確認することができる、という点が挙げられる。デメリットはその評価まで時間がかかってしまう。
 
■見落としがちな罠②活動量は面積で確認する
・インサイドセールスの成果は「行動量×社数」で決まるが、この社数の概念が抜けているケースが多く、正しい活動量を図ることができていない。
・アタックするリスト内の網羅率を見ていく上でこの面積の考え方が重要。
 
■成果を出すインサイドセールスのテクニック
●SDRの問い合わせ対応テクニック「温度感の高いリードはスピードで成約に繋げる」
・商談獲得率を上げるために必要なもの、それはリード流入から初回アプローチまでのスピードを「5分以内」とすること。5分以内のアプローチと10分以内のアプローチを比較した場合、着電率が約4倍違うため。
・一括資料請求サイトを利用している場合はオペレーションに工夫が必要。
●温度感の高いリードは「チャレンジ」で成約に繋げる
・次に成約率を上げるために必要なこと、それは「チャレンジ」。
・チャレンジとは「詳細情報の取得」「訪問日の前倒し」「上位役職者の同席依頼」という3つのチャレンジを指している。
●対象だが温度感の低いリードには「仮説」と「SPIN」で対応する
・信頼を獲得するのに最も良い方法は仮説を立ててお伝えしてみること。
・仮説を立てる前提はお客様に興味を持つこと。どんな市場でどんな製品をどのように展開しているのか。そこにはどんな創業の思いがあって、どんな人たちが働いているのか。そこに興味を持つことで「こんな課題があるのではないか」と着想することにつながる。
・仮説をお客様にお伝えする際は、外れて当たり前の精神で会話する。
・次にニーズが顕在化していない状態への対応だが、これにはSPINというヒアリングメソッドが効果的。
┗先ずは、お客様の状況をヒアリングする状況質問。ポイントは「事前に調べてわかることは聞かずに質問を少なくすること」。この質問が多いと尋問のようになってしまうし、お客様が疲弊してしまう。
┗次にお客様の不完全な状況を確認する問題質問を行う。具体的には「○○を使っていないということは、検索に時間を要してお客様をお待たせしている、ということはありませんか?」という質問です。
┗もしそれでも商談獲得が難しい場合は、示唆質問に移行する。示唆質問とは「問題の影響範囲を拡大し、課題に対する価値観を変える質問」。例えば「お客様の待機時間が長いとどんなデメリットがありますか?」という具体化する質問や「待機時間が長く途中離脱が発生すると顧客満足度が下がりませんか?それによって解約率は上がりませんか?」という関連性を用いて影響を拡大する質問、「この状況が続くと1年後には顧客満足度はどうなっていると思われますか?」という時間軸を使った影響を測る質問がある。ここで合意できれば高い確率で商談を設定することが可能。
┗最後に解決質問。問題解決によって得られるメリットはその解決だけではない。様々な副次的効果があるはず。副次的効果はお客様の方がより多く、具体的に想像することができる。「この問題が解決した場合、どんなメリットがありますか?」という質問をするが、解決質問も「具体化」「他への影響」などを聞いていくことで、メリットをより具体的にお客様に認識してもらえる。
●そもそも対象部門ではないリードには「紹介」で対応する
・成果を出しているインサイドセールスは、シンプルに「弊社の営業支援システムの資料を営業部門の方にお送りしたいのですが、どなたかご紹介いただけませんか?」と伝える。
 
●トッププレイヤーに共通する考え方
・時間の経過でニーズが変化することを加味すると、これからのリードは全てタイミングさえ合えば商談が可能なリードということになる。つまりお客様と継続的なコミュニケーションが取れればいつかは商談獲得につながる。
・そこで必要な考え方が「ワーストケース」。多くの営業、そしてインサイドセールスが「ベストケースだけ」考えて架電している。ベストケースとは「解決すべき課題があり、商談する機会を提供してくださる」という状況。
●ワーストケースの対応例
・お客様がダウンロードした資料と類似するコンテンツを準備しておく
・お客様と同業種の事例を準備しておく
・(自社のことを理解していない場合)会社紹介資料を準備しておく
・(製品のことを理解していない場合)製品紹介資料を準備しておく
・お客様が参加された、もしくは興味に合いそうなイベント案内を準備しておく
┗ポイントはお客様の興味のありそうな内容だけ(資料1〜2枚分)に絞ること。関係性は「接触回数×内容の質」によって醸成されていくので回数も重要。
 
■BDRの大手企業向けテクニック
●大手開拓に欠かせない存在を理解する
・大手企業開拓に関わる人物のカテゴリは「①利用者」「②決裁者」「③支援者」「④対立者」「⑤技術者(情報システム部)」に分けられる。
●支援者を見極めるためのチェックリスト
・決裁者に進言できる
・決裁者と面会する機会を作れる
・今回の商談の成立が自身の利益になる
・過去に同様のプロジェクトを推進した経験がある
・競合他社の情報を共有してくれる
・社内情勢に詳しい
・自社の製品を推奨してくれている
 
■仮説を立てるフレームワーク
●事前調査&ヒアリングとしての活用(BDR)
※P207を後で記載
●事前調査としての活用(SDR)
※P208を後で記載
 
■インサイドセールスの成長を可視化する方法:オペレーションが洗練されるとルーティンワークになる
●期待役割とスキルの定義づけ手順
・①SDR、BDRのものを作成する
・②自社に必要な役割を定義して設定する
・③その役割を実行するためのスキルを抽出する
・④そのスキルを習得するために必要なトレーニングを設定する
・⑤それらに時間軸を加え、いつどのスキルを習得すべきか設定する
・⑥完成したものをスプレッドシートに入力し、人数分のシートを作成する
●進捗管理表による運用
・①入社、もしくは異動時にスプレッドシートを使ってトレーニングプランの説明を行う
・②トレーニングが完了するたびにスプレッドシートのセルを色付けしていく
・③1on1や目標設定面談などでこのシートを開き、現状の確認と今後の方針を確認する

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2021年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

インサイドセールスの仕事内容についての解像度が高まった。これまではインサイドセールスというとテレアポのような印象だったが、今はマーケティングとフィールドセールスを繋ぐハブのような存在/顧客の潜在化ニーズを顕在化させ、課題や要望をカタチにすることが求められる非常に難しい仕事だと考えている。また、この本では単なる仕事内容理解だけでなく、マネージャーとしてどうするか、組織内に立ち上げる時どうするかが非常に分かりやすかった

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2024年02月05日

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