あらすじ
「言った、言わないが起こるのはなぜ?」「SNSの文章が炎上しやすい」「忖度はなぜ起こる?」……理論言語学の知見を使い、単語の多義性や曖昧性、意味解釈の広がり方や狭まり方、文脈や背景との関係などを身近な例から豊富に解説。文の構造を立体的に摑む視点が身につき言葉の感覚がクリアになる、実践的案内。
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Posted by ブクログ
『日本語界隈』が気になっているのだけど、その前から読みたいリストに入れていたこちらの本から。
言葉ってほんと面白い。
修飾語が連続すると複数の意味に取れることがある(かっこいい俺の車:かっこいいのはどっち?)とか、ひとつの単語でも文脈によって全く異なる意味として使われたりする(採用はちょっと難しいですね:少しだけ難しいわけではない)とか、期待する言葉の呼応がなかったり、妙な助詞だと文章が気持ち悪くなる(ろくに睡眠不足、はvsが問題等)とか。
一番驚いたのは猫という名詞にも7つの使われ方があるというところ。
猫一般(猫はすばしっこい:当てはまらない猫もいるかもしれないが〈一般的に〉という意を含む)、飼い猫など限定された一匹を指す猫(うちの猫)、漠然とした一匹を指す猫(庭に猫がいた)、などなど。
言われてみれば、確かに例示された文ごとに「猫」という名詞が指すイメージや境界が異なっている。
中にはそれどういうこと?と思うようなものもあるのだが他の言葉との置き換えをしてみると確かにこっちは意味が通じるけど、一方は違和感ありとなり、違う意味を持っていることに納得できる。
何となく認識していたことでも、こうはっきりと示されるとああ確かにとなり、こんな曖昧で多義性に満ちた言語をよく使いこなせているな、というかきっと自分的には一意にしか解釈出来ないと思い込んでいる文章でも、他の人からすると別の意味に捉えられたり、複数解釈あるけど文脈や背景的にこっちだよねと意を汲んでもらっていたりということもあるんだろうなと思った。
中々難しいことのように思うが、気持ち悪くない文章、曖昧さのない文章を心がけたい。
昔っから「日本語は難しい」なんてよく言うが、本書にでてくるような多義性やちょっと使い方が違うと気持ち悪さを生んでしまうところとかを見ると、確かに複雑怪奇だと思う。
半面、他の言語でも似たようなことってあるような気もする。
英語にしたって前置詞のとり方とか、動詞の時制・活用(特に仮定法とか)とか複雑怪奇で母語としている人からしたら当たり前のように使い分けられても、外国語として使っている側ではちょいちょい不自然な使い方しちゃうとかあるんじゃないだろうか。
ふと耳に入ってくる東南アジアや中東系の言語に至っては耳慣れないが故、何が単語かも聞き分けられず、もう言葉として使える気がしないくらい怯んでしまうが、母語の人達にとってはなんてことない不思議。
そんな言語の複雑性をものともしないように見える生成AI。
あんまりそういう観点で疑ったり試したりしたことなかったけど、こういう多義性とか簡便に説明し切れない微細な言葉のルールとか、どのくらい対応できているものなのか凄く気になった。