【感想・ネタバレ】暴君 シェイクスピアの政治学のレビュー

あらすじ

政治は行き詰まり,人々は裏切られることに慣れ,経済的困窮はポピュリストの怒りをあおり…….なぜ国家は繰り返し暴君の手に落ちるのか.暴君と圧政誕生の社会的,心理的原因を探り,絶対的権力への欲望とそれがもたらす悲惨な結末を見事に描いたシェイクスピアが現代に警鐘を鳴らす.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 最高権力者の心に宿る矜持と巣食う不安。最高権力者は、最高権力者がゆえに常に孤独である。自らの地位を危うくすることには誰よりも神経質で、その不安が抑えきれないほど強くなれば、暴君となる可能性が高まる。最高権力者には、権力にすり寄ってくるものたちが多く出て、その追従は、権力者に自信と自己満足をもたらす。ただ、それは躓きの石でもあり、自らを最高権力者にしてきた冷静な観察力と判断力を失わせることにつながる。権力をえる過程で行使した手段は、その強みを知るがゆえに、自らの権力を奪う有力な手段であるとの認識をもつ。暴力で地位を奪ったものは暴力を恐れ、権謀術数で地位を奪ったものは権謀術数をおそれる。強みが自縄自縛となって、権力失墜の崖に自らを追い込んでいく。
 シェイクスピア研究の大家が、シェイクスピア作品を解説しながら暴君の姿を追う。

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2020年12月03日

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