【感想・ネタバレ】ひとはなぜ「認められたい」のか ──承認不安を生きる知恵のレビュー

あらすじ

自由に生きられるはずなのに、かえって自由に行動できない現代社会。そこには「自由に行動すれば認められない」という承認の不安がある。誰もが自分を押し殺し、周囲に同調し続けているのはなぜなのか。どうすれば本当の自由が得られるのだろうか。承認不安の意味を哲学的に考察し、この不安を解消するための心のケアの原理を提示。さらにこの原理を、子育て、保育、教育、看護、介護などの多様な局面にまで広げ、自由と承認を得られる相互ケアによる共生社会を考える。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

休職期間の今読めて良かったと思う本だった。
メンタルに関する今まで読んできた本は「ストレスを発散しましょう」「べき思考は改善しましょう」みたいに「言われなくても分かってるし、できたらやっているよ!」と言ってしまいたくなるアドバイスが載っているものが多かった。
この本は「(承認)不安」にスポットライトを当てて、メカニズムや対処法を説明していて腑に落ちる記述が多かった。

中でも個人的に印象的だったのは以下の三つ。
■不安による不安
「不安による不安」によって悪循環が加速していくというのは、何となく自分でも自覚していたけれど、不安の現象学として整理されていて、そのように感じるのは自分だけでは無いと感じられて安心できた。
また、「不安を感じている時に自己分析をするのは良くない」ということなので、そういうときは目の前のことに集中するようにしたい。

■自己ルールの修正
自己ルールの歪み、行動を見直していくことで、承認不安は改善するが、すぐには治らないということが明記されていたので、焦らずに実践していこうと思う。

■承認不安を緩和できる人
承認不安に苦しんでいる人に共感し、適切な対応をすることができるのは、自らも承認不安に苦しんだ経験がある人であるというのは、少し自分の自信にも繋がった。
「弱い」ことは悪いことでは無い、活かせるようにしていきたい。

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

承認不安の根底にあるものとして、存在の承認と行為の承認の不足、と捉えるのは簡単なようで中々出てこない考え方かと思う。その克服として、まず親和的な間柄の人から存在の承認を得られると良い、ということも妥当と思う。個人的には、現代の社会は子供の頃から子供を値付けし過ぎている(南直哉さんの言う子供の商品化)と感じていたので、「条件付きの」行為の承認にどっぷり浸からせてしまっている考えは納得がいく。
とは言え、著者の意見の通り、これを解消するのは簡単ではない。まず無条件で存在を承認してくれる存在が必要、というのは確かにその通りなのだが、その当たり前のことが難しいのだ。特に、スキルや才能を磨いて自分に投資して格付けを上に、と言うたぐいの情報が溢れる中でブレずにやるのは難しかろう。
多分、大事なのは、それでも身近なところから少しずつ誰かを承認していくこと、それを続けること。また、自分が他人を必要以上に評価的に値踏みしていないか、行為の価値で人を測っていないか、自問し続けることしかないのだろう。人は少しずつしか正気にはなれないから。
また、障がいや認知症の人の行動の背景にも不安があるからかも知れない、と言う視点は個人的には新しく、はっとさせられる。そういった方たちの行動に、少し違った目を向けられたら良いなと自戒した。

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2025年05月17日

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