あらすじ
流した後はどこへ? どう浄化される? そのために誰が、どんな苦労を? 鉄道や船はどう処理? もしマンション全戸で一斉に流したら? あらゆる疑問を徹底取材。下水を嗅ぎ、汚水処理場に潜り、「5分でウンチが飲用水になる」最新技術に触れ、トイレメーカーを質問攻めに。さらに元作業員が語った貴重な証言とは――。フタを開ければ、思わず唸る驚きと素朴な感動がてんこ盛り、奥深い世界へご案内!
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Posted by ブクログ
「うんち」というタブー視されているものを徹底的に読み解いた一冊。目の前から流しておしまいではなく、この流すという工程に至った歴史や流しておしまいにしない循環システム等も紹介されていて、より関心が湧きました。今度下水道処理施設に見学に行きたいと思いました。
Posted by ブクログ
体内でどのように排泄物が作られるか、という内容ではなく、体外に出たあとの排泄物の行方について書かれた本。
現在の事情について丁寧に書かれているだけでなく、歴史的な経緯もしっかり書かれており、非常によい本だと思います。
現代は、「死」と「排泄物」を生活から遠ざけてしまった、という類の記述がありますが、まさにそのとおりで、排泄物については、体外に出してしまったら、まるでなかったことのようにされがちです。
現代の日本においては、100%近くの排泄物が、水洗トイレによって下水道に流れ込み、その後、適切な処理を経て、河川や海へとたどり着きます。
しかし、ほんの50年ほど前までは、日本でも、排泄物の臭い等に悩まされていました。
この間の技術の進歩に、我々は感謝すべきですし、その進歩の過程も知るべきかと。
そのためにも、この本は、多くの方に読んでもらいたいです。
ただし、食事時に読むのは避けた方がよいと思いますので、その点については、ご注意ください。
Posted by ブクログ
久しぶりに一気読みしました。
「くだらないことの話」のトーンで実は大真面目。
下水道の話や、歴史の話、要するに全部うんちの話です。
インフラが大きく変化する時、世の中はどう動いていったのかという点で、非常に勉強になりました。
「ボットン便所+農業利用」
で完全に成り立っていた社会を
「水洗便所+下水道」
に変えていった話が良かったです。
現状を変化させるにはエネルギーがいります。
部活動、働き方改革、GIGAスクール構想、全部うんちと同じですね。
Posted by ブクログ
面白かったです。とってもゆるい感じで書いてあって、すらすら読み進められます。2人の共同の著書ですが、片方の方が自分と同じ練馬区出身で親近感が沸きました。確かに幼少の頃はバキュームカーがそこら中を走っていた気がします。最新の下水処理の話から、災害時の話までためになる話満載です。
Posted by ブクログ
これはめちゃくちゃ面白い。確かにテレビなどでは決して扱われることのない題材である。当たり前だ。それゆえに一般的には見えないものとして意図的ではないにせよ隠されてしまっているわけだ。下水処理に微生物が使われていること、マンションの下水処理が単なる確率論だけで保たれていること、貧困問題環境問題差別問題に直結する事項であること。
ドキュメンタリーでも映画でももっと扱っていい素材だ。
おまけに文章がセンスのいい笑いを交えて読みやすく、うんこにまつわる歴史的空間的事項を余すことなく教えてくれる。登山や災害時など考えてみれば排泄問題は当たり前なのだがそこに想像は至ってなかった。
堂々たる良書。
Posted by ブクログ
読んでて怖くなった。便は感染症を起こして人を殺す。それは知っていた。けれどトイレが発展してきた日本ではもう無縁のような物だと思っていた。日本の首都圏は下水が合流式で雨水が多いと溢れてしまう可能性があると言うこと。まだ恐怖は身近にあると実感させられた。
Posted by ブクログ
川に落とした弥生時代。肥溜めに溜めた江戸時代。令和の今、日本の水洗トイレ率は90%超。水を流せば目の前から消してくれる。排水システムは整備された。浄化も進み海に流れるのは澄んだ水。汚泥の山にはトマトの葉。列車のトイレも進化してる。停車中でも我慢は不要。向かう先はバイオのタンク。それでも山ではマナーが大事。できれば持ち帰ろう。設備使うなら寄付しよう。世界ではまだ40億人もトイレがない家に住む。現代日本に生きててよかった。もう昔には戻れない。それでもまだ苦しめるものがある。原発こそは”トイレなきマンション”
Posted by ブクログ
確かにここまでちゃんとうんちの行方について考えた事がなかった。うんちひとつでここまでいけるのかと感心するし、すごく読みやすい。
大人になる前に一度は読んでおくと、当たり前のことの尊さと当たり前が奪われた時の怖さを学ぶことができるようになると思う。
Posted by ブクログ
臭そうなタイトルだが、中身は大真面目。うんち周辺の歴史や衛生、下水環境、トイレの技術の進化、排泄の仕方など奥が深くて面白い。毎日の糞便に興味を持とう。それは生活の一部であり、生きる上での大きなテーマだ。
先ずはうんちの構成成分。大便の7、8割は水分。残りのうち、半分は腸内細菌でもう半分が繊維質を始めとする消化されなかった食べ物。大便の匂いは大腸で食べ物が分解された時の消化酵素の中にあるインドール、スカトール、硫化水素、アンモニアという物質による。便の色は、胆汁に含まれているビリルビンと言う色素。歴史上のトイレ、糞尿処理所を断定する際、そこに有機物としての大便は当然分解されて残ってはいないが、未消化の種や骨、寄生虫の卵等が集積している箇所から推測するらしい。なるほど。現在でも、生活排水を分離した汚泥、その汚泥に混じる野菜の種にから野菜が実るらしい。最もこれは台所排水の可能性も高いが。
排泄物や生活排水を雨水と一緒に流す合流式。雨水とは別にする分流式。下水整備の遅れた田舎は分流式が多いが、東京23区は合流式。合流式だと、マンホールから溢れる水には排泄物が混ざる。
ああ、武蔵小杉。タワマン民は必読の一冊。
Posted by ブクログ
臭いものの蓋もたまには開けようっていう本。
下水道施設の見学に行きたくなったので役割は充分果たしているし、新書なので仕方ないんだろうけど、下水道の仕組みをもう少し詳細に知りたかった。
p. 181『思えば、近代化とは「ウンチ」と「死」を忌むべきものとして人々の目の前から掻き消すことだった。』
と、あるように、脳化社会は【終わり】を想定せずに進んでいってるんだろうな、と。
Posted by ブクログ
現代から遡り弥生頃のトイレ事情までさっくり軽い口調で語られている。
ちょっと前まで、電車や屋形船でも垂れ流していたなんて衝撃的だった。
某稲作ゲームで、自分らの屎尿を肥料として使えることが話題になったが、あれは鎌倉〜江戸あたりに渡来した文明による知識なのだな。
人口増加や安い液肥が普及したため、屎尿は海に投棄され不衛生になった。死者10万人となったコレラ対策のため水洗トイレが普及。
日本のコロナの被害が抑えられているのは、整えられた下水事情も大いに関係しているのだと考えさせられる内容だった。
Posted by ブクログ
一番興味を持って読めたのは鉄道の黄害。便器の中を覗くと砂利やら枕木が見えて少々怖い気がした記憶は、私もあるからです。しかし、そのため保線作業の人は大変な思いをしていたのですね!
Posted by ブクログ
現代の日本人が誰も気にもしない「した後の行方」をしつこく追求すると同時に、世界人口の半数余りがいまだ上下水道が未整備な劣悪な環境にあることを憂える労作であることは確かであるのだが、取材したままを聞き書きしているスタイルが軽い調子になっているのが惜しまれる。
Posted by ブクログ
一言結論:行政資料としてではなく、興味から始まるうんちの行方を知ることで沢山のことに感謝できるようになります。エッセイ調なのも読みやすい。
感想:視界から消えればもうその行方など気にもとめない、と本文でも指摘されていますが確かにそうです。文字通りにも意識の中からも水に流してしまっていたうんちがどうやって処理されているのか、どんな苦労があるのか、その歴史はどうだったのか、1度に学べる教科書みたいな本でした。
改めて考えてみると排泄はどの時代でもどんな国の人でも行っている行為であり、その時々や場所によって色んな考え方や対処法があるはずで、こんなにも身近な現象なのに詳しくは知らないって不自然なことです。
「誰かがその仕事をやっている」
それを考えさせれるとても意義のある内容でした。それとともに、実情を伝え問題提起にもなっている本書はもっと多くの方に読まれるべきだと思います。
Posted by ブクログ
下水道のお話です。公共下水道場の成り立ちや近代までのし尿処理の歴史などが紹介されています。私自身は公害水質に携わったこともあり、その処理についてはある程度理解している一方、海洋投棄の歴史などについて驚かされました。また高層マンションでのし尿処理の聞けない質問を、マンション建設供給者に確認していただき、成る程と思うところ多々有りました。下水道場が発達するまでの循環型の生活スタイルはとても興味深く、参考に出来ればよいのでしょうが中々人が増えた現代では難しいとも感じました。
Posted by ブクログ
この本を読んで、想像して圧倒されたこと。
歴史上の偉人も、やんごとなき人も、名を残した人も残さなかった人も、一人残らず、生きている間は、日々、食べて、出してを続けていたのだな、ということ。
あの人もあの人もあの人だって!
そう思うと、歴史上の人物が身近に感じられる。
それこそ、大化の改新の前後にも、大阪夏の陣の時も、空襲の時も。
そんな生きることとイコールといっても過言ではない行為なのに、関心の低さたるや。
好奇心いっぱいで調べまくったおじさん二人の自由研究を、大変楽しく読み、勉強にもなった。
タワマンで一気にトイレの水を流したら、とんでもないことになるんですってよ。
読めてよかった。
Posted by ブクログ
タイトル通り排泄物の現場と歴史について、著者の経験とともに紹介したエッセイ。下水道処理の仕組み、日本のトイレ事情、鉄道や富士山のトイレ対策、歴史、汚水処理場のルポなど、新書版一冊に簡潔にまとめられていて面白かった。排泄処理関係の本は、これまでにも何冊か読んだことがあるが、著者の体験も語られているこの本の内容は生々しい感じがした。日本の下水道のシステムも少しずつ老朽化が進んでおり、これからライフラインの一つとして問題になりそうだ。 下水道についての知識を持ち、トラブルに対応できるように、このような本を読んでおくことも必要だろう。 ちなみに、著者は自分と同年代。著者は東京に住んでいたが、15歳まで汲み取り式トイレだったようだ。 自分は5歳まで長崎に住み、その時は汲み取り式だったが、6歳の時に行った奄美大島の集合団地では水洗式に変わった。それ以来、自宅は水洗式になっているが、幼い頃に汲み取り式の恐怖、肥溜めに落ちる危険を味わい、著者の体験に親近感を覚えた。 東京は、日本の先進地域だと思っていたので、汲み取り式が続いていたという話には驚いた。 自分よりも上の世代は、汲み取り→水洗→洗浄式便器という便器の進化を体験できた世代だ。だから、自分もこのテーマについて語る資格があると思う。(笑)