あらすじ
今必要なのは、「社会の変え方」のイノベーションだ。
電気の社会実装の歴史から、国のコンタクトトレーシングアプリ、電子署名、遠隔医療、加古川市の見守りカメラ、マネーフォワード、Uber、Airbnbまで。
世に広がるテクノロジーとそうでないものは、何が違うのか。数々の事例と、ソーシャルセクターの実践から見出した「社会実装」を成功させる方法。
ロジックモデル、因果ループ図、アウトカムの測定、パブリックアフェアーズ、ソフトローなど、実践のためのツールも多数紹介!
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Posted by ブクログ
大先輩に今の私に響くんじゃない?と紹介されて読んだ。今年一番の良書かもしれない!
読み進めるほど、デジタル技術と社会の関係性、その広がり方の全体像が鮮明になった。
著者はデジタル技術の普及にはいくつかの重要な局面があると整理。
まず、技術が規制領域に踏み込むとき。業法は既存産業の形態と深く結びついており、その背景や制定理由を理解しなければ、真に有効なハックや政策提言はできない。次に、技術そのものが規制対象になるフェーズ。さらに、技術が国際政治と密接に関わるようになり、最後に、業界再編を促すことで業法のアップデートが必要となり、そこで政治的プロセスが不可欠になるという流れ。
↑このあたりは分けて考えられるように覚えておく。
また、Stripeの話は印象的だった。かつては決済機能の導入は複雑だったが、Stripeの登場でどんなサービスにも簡単に組み込めるようになった。同じように、これからは後払い、融資、保険といった機能が実装され、あらゆる企業がFintech化していく(もうFintechという言葉さえいらない)未来が来ると書かれてた。その前提でサービスも考えて行ったほうがいいんだろうな。
また、BTOGやBTOPの台頭によって、民間企業にも社会貢献が強く求められる時代が到来している。これに伴い、企業価値の評価方法も変化しつつあると強調されていた。これからは単に「課題を解決する」や「問いに答える」だけでは不十分で、優れた理想を設定し、その理想と現実のギャップを埋める取り組みこそが大きなインパクトを生む。今の法律ってなんでこうなってるんだっけ?を歴史的背景から理解しつつ、理想と法律のギャップは政治を巻き込んで変革していく動きが必要。
「ビジネスで社会を変える」よりも「社会を変えることで新しいビジネスを生み出す」という発想が正しいとのこと。技術導入や規制改革は単なる効率化ではなく、社会構造そのものを前進させるための起点になるというアプローチを政治に対して行っていく必要がある。
読み終えて、自分の中でも「理想を先に掲げ、その到達のために技術と制度を組み合わせていく」姿勢の重要さを改めて感じた。
Posted by ブクログ
なぜ新しいテクノロジーが頻繁に話題となる一方で実際に生活の中に反映されてこないのか、なぜそこにかなりの時間差があるのか、について頭の中が整理されるような内容だった。テクノロジーの社会実装のために、ガバナンスを変えていくということはもっと認知されて実行されていくべきだと感じた。テクノロジーの開発について少し見方が変わったように思う。
Posted by ブクログ
馬田氏による本。実装のためのヒントを期待して読書。
メモ
・インパクトからはじめよ
・未来を作るための手法、ヒント。実装
・デジタル技術が広がるにつれて事業と政治が近接しつつある
・社会への実装から社会との実装へ
・なぜ社会実装は重要か。さまざまな人がエンパワーメントされるから
・アナログでも十分にスマートな社会がじつげんされていると、デジタル効率化が進みづらい。
・新技術によって薄く広く得をする層と、狭く深く損をする提供者の存在。
・経路依存性。小さな出来事やスタート地点、偶然が結果に大きな影響を持ち、積み重ねでバランスの取れる点へと収束する。
・成功する社会実装の四原則
インパクトとそこに至る道筋の明示
想定されるリスクへの対処
規則などガバナンスを適切に変えている
関係者のセンスメイキングを行なっている
・デマンドサイドの社会実装でないとなかなか成功しない。
・インパクトによって目的地を定め、ガバナンスをカタチ作りリスクを緩和しながら目的地までの運転の仕方を規定し、センスメイキングのプロセスを通して、ステークホルダーの持つ資源を多く引き出す。
インパクト
・不満×ビジョン×最初の一歩>変化への抵抗
・インパクトは長期的で広範に及ぶ変化。
長期的な変化に目を向けることで短期的な費用便益のバランスの合わなさを補填できる
・インパクトにより関係者に目的を説明できるように
・インパクトを示すことでデマンドを醸成可能に
・課題を課題として認識してもらうためにより良い理想が必要。
・道筋を示すことで実現可能性を感じられてて、周りの人が最初の一歩に協力しやすくなる。
・ロジックモデル インプットリソース→アクティビティ→アウトプット→アウトカム(短期・中期・長期)→インパクト 社会経済的変化
ロジックモデルは仮説の集まりであり、検証に活用できる
アウトプットは提供者視点、アウトカムは受益者、社会視点の変化
・インパクト FAST
頻繁にFREQUENT、大きな志AMBITIOUS、特定するSPECIFIC、透明性TRANSPARENT
リスク
・実装するリスクとしないリスク
・エンパワーメントによる負の側面を考えること
・発生確率についての知識が定まっているものがリスク、定まっていないものは不確実性
・倫理は自分たちでアップデートしていくこともできる
ガバナンス
・ガバナンスに注目が集まる背景
グローバリゼーション。国家の枠を超えた取り決め
小さな政府への志向。国家行政の相対的弱体化
政治への積極的な市民参加。
不確実性の高まり。
ガバナンス対象の広がり。
・相互作用のシステムをアップデートすることがガバナンス
センスメイキング 納得感醸成
・センスメイキングの性質
アイデンティティに関わる
回顧的である
有意味な環境を制定する
社会的である
進行中である
手がかりが焦点となる
正確性よりも最もらしさ
・関係者と一緒に共同構築していくもの
・価値観を共有することが大事
インパクトの背景にある価値観
・主観的な理解に大きな影響を与えるのが物語。ナラティブ
・言葉や概念を新たに作ることで人々のセンスメイキングを手助けすることも
・他人の行動を変えたければ、その人に対して主体感やコントロール感を与えるべき
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