あらすじ
僕の前に路(ルート)はある! 越境者・古川日出男、初の短編集。いっぱいの現実、いっぱいのレプリカ
――知的早熟児たちが集った夏期講習キャンプに現れた「狙撃手」。僕たちは次なるスナイプの現場を押さえるべく監視を始めた……という「メロウ」など、現実とレプリカのあわいに立ち上がる圧倒的なストーリー世界が心を捉えて離さない。あらゆるジャンルを超えて疾走する作家がつづった唯一の「ストレートな」短篇集。
◎「これは、僕としては初めてのストレートな短編集だ。ある意味で、僕はデビュー以来、ずっと同じ小説ばかりを書いている。それが誠実なことかどうかは、判断するのは僕ではないけれど。この本はもちろん、読者に読まれるために書いた。だから、あなたたちに捧げる。」<古川日出夫>
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Posted by ブクログ
『お前のことは忘れていないよバッハ』
家族崩壊、象徴、ハムスターの脱走、ハムスターの生存
『カノン』
ザマウスの王国を爆破しようとする男の子と、ザマウスで働くことを生きがいにしている女の子。埋立地、この世界は全て作り物、喪失、陰、違和感、愛、カノン
『ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター』
幽体離脱により同級生3人を観察するサカリの男子高校生。
幽霊ビル、その解体、3人+1人の新たな出会い
『飲み物はいるかい』
離婚したばかりの主人公、神楽坂で旅に出る
『物語卵』
自分の中の何人
『一九九一年、埋め立て地がお台場になる前』
湾岸戦争終結を祝うドラッグパーティー、狂気、暴徒、予知夢、生存
『メロウ』
エリート小学生、ジオラマ、狙撃、らしく、報復
『ルート350』
やり直せないかな、と僕はフミにいった
あとがきにこれらの短編の発表は2003年に集中されているとあった。
作家がそれを何年に書いているかと言うのは特に重要なので、文庫でもどこかに明記してあると良い。
失ったもの、損なわれたものを埋める行為、それを埋めるきっかけ。
損傷と再生