あらすじ
幕末の沖縄を生きた空手家・松茂良興作。一度見た「手」をほぼ記憶するという特異な才能を備えた彼は、刀を振るう薩摩藩士に手ぬぐいで立ち向かうなど、数々の武勇伝を持ち泊手の達人へと成長する。やがて明治維新の荒波が沖縄を襲い、琉球王国がヤマトに消滅させられると、興作は反ヤマト派の活動を始めるが――。空手の真髄と沖縄のあるべき姿を追い求めた男の、波瀾の一代記!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今野敏『武士マチムラ』集英社文庫。
江戸後期、薩摩藩に支配された琉球王国を舞台に伝説の武士の生涯を描いた歴史武術伝記小説。
何とも素直で真っ直ぐな人生であろうか。清廉潔白、実直、真面目、愚直というのは本作に描かれた松茂良興作のためにある言葉かも知れない。痛快無比、琉球の伝統武術の成り立ちを解り易く描いた快作であった。夏目漱石の傑作『坊っちゃん』にも雰囲気が似ている。
本体価格760円
★★★★★
Posted by ブクログ
幕末小説(但し沖縄)ウチナーンチュが親国(清国)
に親近感を持ち、王国が沖縄県になる事で誇りを傷
つけられるなか、沖縄の手を追求する意味が人生と
重なる・・・失われる事が多い大きな時代の転換期
に未来に残したい技と心
Posted by ブクログ
沖縄は、日本の一部であると言う認識しか持っていなかったが、この小説から思うに、江戸時代末期からの沖縄の置かれていた状況は宙ぶらりんな植民地のようで、現代の基地問題まで同じように時が流れてしまっている様に感じた。
ひとりの偉大なテイの使い手の一代記でありながら歴史的な問題を考えさせられた。