【感想・ネタバレ】43回の殺意―川崎中1男子生徒殺害事件の深層―(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

2015年2月20日未明、凍てつく風が吹きつける多摩川の河川敷で、上村遼太君は全裸で息も絶え絶えに草地を這っていた。カッターで全身を43カ所も刺されて――。後に殺人などの容疑で逮捕された3人の未成年者が法廷で明かした理不尽な殺意。彼らに反省の色はない。そして互いに責任を擦り付け、攻撃し合う被害者の両親……。無辜の少年はなぜ命を奪われたのか。緻密な取材を基に深層を炙り出す。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の一ページから胸が苦しくなる。
ちょっと前まで小学生だった少年が、酷寒の2月の深夜、全裸で体中に切り傷を負い、それでも助けを求めて川から23.5メートルを道路に向かって這っていた。
どうしてそんなことに。

あまりに残虐な事件に、犯人の少年たちへの怒りが込み上げる。
だけど、読み進めるにしたがって、著者が書きたかったのはそれではないことに気づく。
確かに被害者の父親は加害者少年たちに「死刑になってほしい」「一生許せない」と言う。
それは当たり前だ。
けれど、当事者ではない第三者の大人として、それだけに終始していてはいけない。

なぜこのような事件が起こったのか。
止めることはできなかったのか。

加害者少年たちもまた、家にも学校にも居場所のない子たちだった。
だからといって何をしてもいいわけでは、もちろんない。
けれど、家族の愛情を知らず、未来に希望をもてず、友情を信じることすら知らない子どもの存在。
これは、私たち大人の責任だろう。

結局社会の歪のしわ寄せが、弱い子どもたちのところに来るということ。
加害者少年をネットでさらし者にして、実社会でレッテルを貼って排除して終わり、というのは第三者の自己満足でしかない。

子どもたちに居場所を。愛情を。未来を。
システムで解決するとは思わない。
でも、取りこぼしてはいけない。
私は見守る、手を差し伸べる大人でありたいと強く思う。

この本の副題は『川崎中1男子生徒殺害事件の深層』
この本に書かれているのは一つの事件ではなく、この深層なのだ。

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2023年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

境界性知能を持つ女性達が、男性の見境なしの性欲によって、考えなしに次々と生まされた子供達。
両親には確固とした教育方針などなく、ただただ子供達は放置されていた。
殺された子は「運が悪かった」のではなく、親ガチャに外れまくった。殺した側も同じ。
境界性知能の女性は子供を作るな。不幸になる子が増えるだけ

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2024年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めから事件が詳細に書かれていて読むのをやめようかと思うほど胸が苦しくなる事件。
子供の頃って自分の今いる世界が全てだと思っちゃう。すごく狭い世界。
加害者側にも複雑な家庭環境があって、社会の手の届かないところで起こってしまった事件。
お父さんの発言はすごく心に残ってる。加害者に対して、なら何で生きてるの?自分の手で殺してやりたい等。親なら同じことを思うはず。
法律は変わらないから、せめて自分の周りに異変が起きていたら声をかける、周りに知らせるようにしたい。
ネットやゲームでしか繋がれない関係って今の時代結構ある。それ以外で深く信頼関係を築いていくのは大事だけど、悪いことに巻き込まれないように、自分が違和感を感じたら離れる、断る勇気を持つことも大事。

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2023年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

当時テレビでニュースをみて本当にショックを受けた事件だった。 

遼太君のお父さんが言うように 少年刑務所で彼らは生きて、出所してからも何十年と生きていける。  なのに遼太君の人生はもうないし被害者の人生も辛いまま。 
少年だからって、加害者が保護されるのっておかしいよね。。 
 
殺人なんて、家庭環境のせいだけにはもちろんできないけど、どこの家庭も、もう少し子供をちゃんと見てあげてたらこんなことにならなかったかもしれない。 
とも思ってしまう。。  

しかも3人のうち2人は別の事件で保護観察処分になってた時なのに、、大人達が放置しすぎてる気がする。 

もちろん殺害した本人達が1番悪いんだけど、、 
うーん。。たらればがたくさんでてくる。。  
辛かったね。。あー可哀想すぎる。。悔しすぎる。。

この人のルポはじめて読んだけど、読みやすかった。 
他のも読んでみたい

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2021年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友達におすすめされて読んだ。
4回は泣けると言われて、そんなに心に訴えかけてくるような作品なのかと、期待して読んでいたが涙を流すような作品では無かった。
このような事件ルポの作品を読むのが初めてだったがスルスルと読むことができて良かった。
少年法についてだけでなく、報道の責任、人種差別、行き過ぎた私刑など1つの事件の裏にある様々な問題に着眼点が当てられており、とても興味深い。
印象的だったのがteam Rについて。少ししか出てなかったが、死んだ男子中学生を崇拝し祟りあげているのは異様なもので、「涼太マジック」や「涼太コーラ」にはとてつもない違和感を感じ、映画のマザー!を思い出した。
実際にこのような事件が起きたということはとても胸が苦しくなることだし、涼太くんのことを考えるととてもいたたまれない気持ちになった。

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2024年10月07日

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