あらすじ
助けを求める若い女性の叫び声に、帰宅途中の弁護士アンスティが駆けつけると、そこには男女が激しく組み合う姿が。男は逃走、脇腹を刺された女性を運び込んだ近くの邸では、主人が宝石コレクションの陳列室で殺害されていた。事件は単純な強盗殺人に思われたが、被害者の弟ローレンス卿は警察の捜査に納得せず、ソーンダイク博士の出馬を要請する。本格推理に冒険的要素を加えた黄金時代ミステリ。
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Posted by ブクログ
「オシリスの眼」と同じ作者だったので。
またもや零落したご婦人を助けるお話。
しかも今回は直接的危害、
逃げようとした殺人犯に刺されたり、
毒入りチョコを贈られたり、
弟が怪我をしたと呼び出されて殺されかけたりと、
かなり危険な目に遭ったご婦人を助けられて良かった。
ただし、2番目と3番目の危険については、
あまりにも古典的な手口になので、
それにひっかかるとはどうよと思ったことは否めない。
古典だからしょうがないが。
それほど価値がない宝石コレクションの強盗殺人と、
残された指紋の謎、
行方不明になっている遺書がからみあい、面白かった。
悪者が自分の仕掛けた毒で死んでしまう、
しかもそれをソーンダイク博士はドブネズミ程度にしか見ていない、
という衝撃的な展開もあったし。
前作に引き続き「マスコット」という言葉が、興味深かった。
「マスコットキャラクター」の意味でしか知らなかったので、
人々に幸福をもたらすものや動物、
いわばお守りが本来の意味だとは知らなかった。
他には、ソーンダイク博士と今回の助手役が、
閉じ込められた部屋から脱出す階段が、
壁がぬるぬるとした藻類や菌類で覆われ、
大きなキノコが群生するのが最も怖かった。
後半でかなり重要な場面、宿場で昼飯を食べる場面で、
ジャコバイト党の話がチンプンカンプンな方は、
解説をご覧あれ。