あらすじ
無限の労働力「ロボット」によって、人類は苦役と貧困から解放され、真の幸福を得るはずだった――。1920年、中欧の小国で発表されたこの戯曲から「ロボット」という言葉が生まれた。今なお多くの問いを投げかける名作を、発表より100年を記念し新訳する。
資料 カレル・チャペックによる記事
「今一度、ロボット(RUR)について」(1921年)ほか
訳者解説
「『ロボット』あるいは世界文学のつくりかた」阿部賢一
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Posted by ブクログ
ロボットの語源となった話。
AIに人類が滅ぼされるという内容は、今やSFではよくある話ではあるが、カレル・チャペックはその発想に至った最初の人物なのではないだろうか。
これが大昔に書かれたとは思えない内容だった。
まず読み終わった感想として、ヘレンが余計なことをしたから…と考えてしまった。
読者は大体同様に思うのではないだろうか。
ロボットに人間的な仕組みを組み込むように企てたこと、設計図を独断で燃やしてしまったこと、色々引っかかるところはある。
そもそもヘレンが工場に来た時から開発陣はヘレンの虜になってしまった。
開発陣はヘレンのわがままを聞くようになった。
度々ヘレンの影響力が大きすぎるように感じてしまうことから、ヘレンは何か特別な存在なのではと考えさせられる。
最終章では人間の終わり、ロボットの終わりが示唆されているが、解説にあったように誰が悪いわけでもなく、誰もが自分の思う正しいことをしたに過ぎない。
人類が発展したことによるひとつの終わり方を見ることができて非常に興味深かった。