あらすじ
都市生活の哀歓や,故郷である岩手県渋民村への思い,流浪をかさねた北海道時代を歌った歌集.『一握の砂』.26歳で終えた短い生涯の晩年の歌を集めた『悲しき玩具』.「一生に二度とはかえってこないいのちの一秒」を愛し,その思いを独特な3行書きのスタイルによる短歌で表現した啄木の2つの歌集を収録.
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Posted by ブクログ
病に倒れ早世した天才歌詠み人。貧困と病に生きた啄木の歌は物質的には恵まれた現代人の心に問いかけてやまないものがある。全ての人に一度は読んで欲しい啄木魂の書である。
Posted by ブクログ
作者の生い立ちや時代背景はよく知らずに、有名だから読んでおこうと軽い気持ちで手に取った。
かなしい、さびしいと感傷的な歌が多い中で、私の好みである風景描写メインのほんのり心を乗せたような歌もいくつかあったので書き出しておく。
p18
やわらかに積れる雪に
熱てる頬を埋むるごとき
恋してみたし
p71
汽車の窓
はるかに北にふるさとの山見え来れば
襟を正すも
p115
吸うごとに
鼻がぴたりと凍りつく
寒き空気を吸いたくなりぬ
p126
朝の湯の
湯槽のふちにうなじ載せ
ゆるく息する物思いかな
p130
よごれたる煉瓦の壁に
降りて融け降りては融くる
春の雪かな