あらすじ
古武道の達人にして民俗研究会の美少女(?)・諸星比夏留と高校生ながら民俗学の天才・保志野春信たちの楽しい冒険シリーズ完結編! ――それを開くと、世界の立て替え・立て直しができる「天岩屋戸」が、「常世(とこよ)の森」にあるという。近づく者の不審な死。校長と顧問の怪しい行動。比夏留(ひかる)たちの危険な冒険が始まる。今回も、ギャグありユーモアあり笑いあり駄洒落ありノリツッコミあり、それに恋と涙もちょっとありの、楽しさ満載、伝奇学園シリーズ・完結編。
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Posted by ブクログ
伝奇学園高等学校民族学研究会シリーズ三冊目。
楽しく楽しく読ませてもらった伝奇学園もこれで最終巻です。
収録は世界の創生の地を舞台にバイオな未確認生物と戦う『オノゴロ洞の研究』。合宿先のお寺で出くわした殺人事件と薬物に迫る『雷獣洞の研究』。そして天照大神の姿を暴く『天岩屋戸の研究』。
相変わらずのキャラクターたちが織りなす、くっだらない謎とくっだらないダジャレが素晴らしいハーモニーを奏でて、見事などーでもいい感じの作品になってます。誉めています。
シリーズ最終ということで、散々見え隠れしてきた顧問の薮田先生の真の思惑や学園長田中氏のラスボスっぷりはもちろん、なにより主人公・比夏留ちゃんと保志野くんのラブ要素にも大注目なのです。
巨大蛭にかぶりつく女子高生が主役のラブコメがここに!
Posted by ブクログ
ダジャレ時空炸裂。ラブか、怨念か、青春か、どれを書きたいかと言えばダジャレなのであろう。としか思えない。ダジャレに支配される時空を描く超大作SF。って感じだ。それがイイとか悪いとか言ってもしょうがないよな、そういう時空なんだから。ラブもったいねえなあ! 保志野くん最高なのになあ。しかし田中啓文時空で名探偵役を拝領する彼は、誰よりもダジャレ時空に取り込まれているのだった。
好きか嫌いかでいうとかなり好きです。
Posted by ブクログ
題材は好きだったのだけれど、文体が合わない、というか、・・・ちょっとふざけ過ぎてない? と思った。
でも、解説を読んだら、それが重要な“ギャグ”だったようで、
しかも、これはシリーズ物で、この巻の前に2冊あるとか、、、
これが、著者・田中啓文との出会いとなった(きっかけは『セブンミステリーズ』だったけれど)ので、
もっと違う作品も読んでみたい、と思った。
Posted by ブクログ
“保志野は目を丸くして、比夏留の食べっぷりを見守っていた。十人前はありそうな、山盛りのマカロニが、みるみる減っていく。
「あいかわらず……すごいよねえ……」
「だって、おなか減ってるんだもん。ここんとこ体育祭の準備で昼ご飯抜きだったし、こないだ血を飲んだでしょう。あれから気持ち悪くて、病院でもご飯が食べられなくなっちゃって……やっと元通りになったの」
「諸星さんでも食べられなくなることあったんだ」
「そーなの。ちょっと痩せたんだから」
「えっ、ほんと?」
「ほんとよ。二百十二キロに落ちて、ショックだった。もちろん、もう戻したけどね」
ぱくぱく、ぱくぱく。
「でも、今度のことでは保志野くんの『わかったああああ!』が聞けなかったね。ちょっとさびしいかも」
「いまいち、出番がなかったですね。ま、いいんですけど」
ぱくぱく、ぱくぱく。”
最終巻。
保志野かっこえー。
そしてどこまでもとんでも設定。
楽しかった。
“「森のみんなのことを、語り継ぐことが必要だよね。たとえ、誰も信じてくれなくても」
「もちろん」
「——じゃあ、民研に入らない?」
「えっ……」
予想外の申し出に、保志野はためらいの表情を見せたが、
「わかりました。薮田先生とも、これからはうまくやっていけそうですし」
「やったー。新入部員ゲット。犬せん、喜ぶぞー」
比夏留が万歳を叫ぼうとしたとき、
「でも、ひとつだけ条件があります」
「何?」
「特典をください」
「——へ?」
「今、ここで」
そう言って保志野は、比夏留の唇にそっとキスをした。
比夏留は、数分間、蝋人形のようにかたまっていたが、やがて、身体中の空気がなくなりそうなほどの長い長い息を吐いてから立ちあがった。
「今から、行かない?」
「ど、どこへ……?」
「おいしい中華料理屋さん見つけたの。もちろん保志野くんのおごりでね」
「どうしてぼくが……」
「新入部員は先輩の命令には絶対服従よ。中華料理のあとは、えーと……スパゲッティ屋さんに行こうかな。最後のシメは、お寿司屋なんていいかも」
保志野の顔が青ざめた。”
Posted by ブクログ
「やめてよ。連続誘拐事件だなんて洒落にならないわ。それよか比夏留ちゃんの話だけど、死んだひとは血を抜かれてたってわけ?ヤバいわね」
「吸血鬼のしわざかも、って思ったんですけど、うちの父は、吸血鬼なんかいるわけないって笑ってました」
「いねえとは言えねえさ。チスイコウモリ、蚊、蚤、ダニ、ツェツェバエ、ブヨ、ヤツメウナギ……動物の世界にゃあ、ドラキュラはいっぱいいるぜ」
「吸血妖怪はドラキュラだけじゃないわ。日本の妖怪にだって、血を吸うやつはいるわよ」
妖怪にくわしい伊豆宮の目が輝いた。
「代表的なのは、磯目ね。長い髪の毛を若い男の身体にまきつけて、血を吸うの」
(「オノゴロ洞の研究」本文p.41)