あらすじ
墜落現場の特定と救助はなぜ遅れたのか。目撃された戦闘機の追尾と赤い物体。仲間を失った元客室乗務員が執念で解き明かす渾身のノンフィクション。事故ではなく事件なのか?
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Posted by ブクログ
今日読むのにこれ程ふさわしい本があるだろうか。陰謀説のトンデモ本かなと不安だったけど、公式発表と矛盾する目撃証言を丹念に拾い上げ、憶測を完全に排除した内容だった。ファントム2機の追尾、オレンジ色の物体、ケロシンは灯油なのに現場にはガソリンとタールの焦げた臭い、完全に炭化した遺体… 自身の客室乗務員としての経験を踏まえて記した墜落までの描写は読んでいて緊張感が凄かった。事故の再調査を望むけれども、本書から導き出されるような真実が公開されて、日本社会はそれを受け止める事ができるのか?解説に、この事故でボーイング社に泥を被って貰ったことがプラザ合意にも繋がりバブルを経て現代日本を形作ったって推測があって背筋が冷たくなった。
Posted by ブクログ
日航機事故で同僚を失った元客室乗務員が、人生をかけて調査し、論文調に書き記したノンフィクション大作です。
私は2020年コロナ騒動に当初から違和感を感じ、いろいろ探っていたところ、この本にもたどり着きました。
一見、コロナ騒動となんら関係のないものと思われるかもしれませんが、世の中の構造を知ってしまうと、いろいろと繋がってくるのです。
この日航機事故についてはまだ未解決事件ですので、いつの日か解明され、無残に命を落とされた人の無念がはらされることを願います。
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私の知らなかった話。
トンデモ話として、言われる人もいるのだろうが。
色々な違和感とそれを裏付ける証拠を並べて説明してくれている。
真実はわからないが、不都合な真実が裏に隠れているのだろう。
真実を明かすために非難を恐れずに仲間のために人生を捧げている作者の熱い想いも感じた。
Posted by ブクログ
日航123便墜落事件。
国内で、満席のジャンボジェット機が墜落するようなことが起きるなんて!と、とても衝撃的な事件でした。
この事故を題材にした本も多く出版されています。
私も小説を何冊か、ノンフィクションも数冊読んでいました。
それでもこの本を読んだとき、自分が何も知らなかったことに気づかされました。
著者は元日航のスチュワーデスで、事故でなくなった乗務員の直接の同僚です。
事故当時は国際線乗務に替わったばかりで、それがなければ事故機に乗っていたかもしれないはずでした。
だから余計に、耳に入る情報と実際に発表される報道との乖離をもどかしく思ったのだと思います。
不審な、そして解明されていない謎が数多くあります。
1.超低空で飛んでいるジェット機を追いかけるように飛んでいたファントム2機の正体。
それぞれ別の場所で目撃した複数の人たちが、自衛隊機だと証言していますが、その時間その場所を飛んでいる自衛隊機の記録はありません。
2.機体の胴体下部に見えた赤い物体
煙やすすが見られないことから炎ではないと判断された赤い物体とは?
著者は、戦前から日本が開発研究していた吸着型のミサイルではないかとしています。
3.墜落場所特定の遅れ
墜落直後から事故現場の村長がNHKを始め関係各所に「ここに落ちた」と電話しているのに、翌日昼まで墜落場所不明と報道され続けたこと。
偶然墜落を目撃した米軍の飛行機がすぐ救助しようとしたら、「自衛隊が救助する」と連絡が入り、現場を去るように指示されたのに、その後半日以上も墜落現場不明と報道され続けたこと。
また、地元の人たちが捜索隊員を案内して山に入った時、異常に捜索隊の進む速度が遅く、絶えず道をそれようとしたこと。
結局捜索隊を見捨てて地元の人たちが向かった先で生存者が見つかった事実。
4.事故原因の意図的な漏洩
墜落原因は隔壁の修理ミスであるとのアメリカからの発表により、少なくとも私は「またアメリカの顔色を窺って、事故原因の発表を躊躇していたんだな」とそれで納得しました。
最初は修理ミスを否定していたボーイング社が一点ミスを認めたことで、この件は落着しました。
しかし、事件後も日本の航空業界ではボーイング社が圧倒的シェアを維持し続け、事件の翌月の「プラザ合意」で猛烈な円高(1ドル240円が1ドル120円以下へ)となり、輸出産業が大打撃を受けることとなったと、解説の森永卓郎氏が書いています。
その他にも、エンジン部とともに機体から離れた人たちから生存者が出たのに、エンジンのない機体部分が炭化するほどの高温でやきつくされたことや、現場不明だったはずの事故当夜に現場上空で自衛隊機が何らかの作業をしていた目撃情報があること、現場検証をする前に機体を破砕したり片付けたりしたことなど、不審な点は枚挙にいとまがありません。
さらに、新しく発見された遺品についても、検証する必要はないと政府が発表しています。
こういう大きな事故・事件が起きると陰謀説が出てくるのはいつものことですが、この事件(もはや事故とは言えないレベルと思います)については、陰謀はさておき何かを隠蔽しているのは明らかと思います。
著者は目撃者の証言、文献の読み込み、科学者への確認などを経て、自衛隊機の訓練で発車したミサイルが123便に付着し、当初横田基地に向かおうとしたけれども何らかの理由で断念せざるを得ず、どこか安全な場所に着陸しようとして失敗したのではないかと推測しています。
その推測を言うと、報道陣も役人も「そんなことを言うと殺されるぞ」としり込みしたという事実が、逆に真実を伝えているのではないか、と。
そんな中、事故から30年以上たってから再会した当時の運輸大臣は、明言こそしなかったものの否定をしないことで著者の背中を温かく押したのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
内容はもとより構成が秀逸で最後まで一気に読破。最後まで慎重な言い回しに徹しており、歯切れが悪い印象であったが、巻末の森永卓郎氏の解説(文庫本のみ)を読んでその理由にも納得。本作品は筆者の博士論文をベースとしており、博士論文というものは卒業論文とは比較にならないほど厳密な論証が求められ、憶測は絶対に許されない、とのこと。
その意味において、森永氏の本作品から推測される大胆な仮説(たぶん真相)と、それが引き起こした可能性もある昨今の日本の置かれた米国隷属の現状に身震いに近い衝撃を受けます。。
#ショックドクトリン
#1985年8月12日
#日航123便
#青山透子
Posted by ブクログ
1985年8月12日。
日本はお盆真っ只中、墜落した日航123便は満席だったそうだ。単独機として最大の死者数520人もの尊い命が失われた事故。
著者は、かつて日航客室乗務員として働いたことのある方で、同僚や先輩もこの事故で失くしている。
事故原因究明に全身全霊を注ぎ、生存者4名や犠牲者、遺族に寄り添う姿勢に心を打たれた。
Posted by ブクログ
やはりねの一語につきる
それにしてもこんなにややこしく複雑な隠蔽工作だとは。
報道も発表も簡単には信用できないということ。
情報リテラシー必須。
Posted by ブクログ
1985年8月12日から39年
昨日読んだ森永卓郎さんの著書に紹介、引用された青山透子さんの本を読む。
「1スチュワーデスの視点から」当時の資料などからのシミュレーションを読むだけで胸が苦しくなる。乗客の手紙、客室乗務員のエピソードが辛い。
青山透子さんは事故当時を知る日本航空の客室乗務員。具体的な証拠や目撃証言を丹念に積み上げ、事故原因を明らかにしようとしている。
その中には上野村の小中学生の文集も含まれている。目撃した子ども達の文章が、説得力を倍加させる。
「この事件で命を落とした人々への供養は、まだ生きている関係者が『真実を語ること』、それだけである。」
明日は8月12日。
遺族はどんな思いで明日を迎えるのだろうか。
Posted by ブクログ
森永卓郎氏の「書いてはいけない」に触発されてすぐ手に入れた本書を、読み終えたのは一年以上たった今日。遅くなったが読んでほんとによかった。
粘り強く検証に努め、たどり着いたのが事故ではなく事件ではないかという結論。数々の疑惑の残る政府などの対応。自衛隊や警察、米軍、米政府など真実を隠蔽しようとする者たち。これは小説ではないのだ。
青山透子さんは言う。この事件で命を落とした人々への供養は、まだ生きている関係者が「真実を語ること」、それだけであると。
みなさんに一読をお勧めする。
Posted by ブクログ
森永卓郎さんの「書いてはいけない」の中で引用されていた本。
著者の青山透子さんは事故当時、当時を知る日本航空の客室乗務員として、また単独機として世界最大の航空機事故を起こした日本航空の関係者として、不明な点を明らかにしなければいけないという責任感から、丹念に目撃情報を集め、再度資料を読み返してまとめた本。決して陰謀論などではなく、具体的な証拠や目撃証言から事故原因に迫っている。
人命を最優先にしていたら4人だけではなくもっとたくさんの人たちの命が救われたのではないかと考えると残念でたまらない。
心に残った言葉
・故意か過失か、組織の指示か否か、いずれを問わず人命よりも優先されるものなどこの世の中にはない。戦争でもない「平時」に、人命を最優先するという当たり前のことが行われず、もし何かの隠蔽工作が行われたとするなら、それを正当化する理由などどこにもない。P192
・そして多くの疑問が残る日航123便墜落事故について、私たちが忘れてはならないことは次のことである。
あの日、未だ日の明るいうち、墜落前の日航123便を追尾するファントム二機を目撃した人たちがいる事実。
日航123便のお腹付近に濃い赤色のだ円や円筒形のような物体が吸着しているように見えた事実。
墜落現場付近の人に目撃された真っ赤な飛行機の存在。
検死した医師たちが見た、凄惨な遺体状況や炭化した遺体への疑問。
さらにいまだに引き揚げようとしない海底に沈んだままの機体の残骸。
これらの点を繋ぎ合わせていくと見えてくるものがある。それが私たちに大きなメッセージを持って伝えようとしているのである。P208
・コックピットでは舵の利かない重い操縦桿と格闘する、パイロットたちによる必死の操縦が行われていた。客室ではスチュワーデスたちが、乗客の安全を守ること、そして不時着のその先を考えることに専念していた。
習志野駐屯地の第一空挺団では、墜落現場にいち早く救助に行くための準備を整えて出動を待機していた。
東京消防庁では、すべてのじょうきゃく、乗員、そして仲間を救うために、いつでも出動できるように救助の準備をしていた。
非番の自衛隊員たちは休暇を返上して急いで職場に赴いた。
最初に墜落現場の位置を把握した在日米軍のアントヌッチ氏はその情報を伝え、米海兵隊も実際に現地にヘリコプターで赴き、現場に降下しようとしていた。炎と煙の中、必死に生存者の救助を考えていた。
上野村猟友会はいち早く墜落現場を把握し、上野村消防団が生存者を発見した。
上野村ではいち早く墜落現場がここだ、とテレビ局にまで電話をして知らせていた。
彼らの思いをいっさい、無視し、無にしたものは誰か。P210
・この事件で命を落とした人々への供養は、まだ生きている関係者が「真実を語ること」、それだけである。そして私たちに出来ることは、長い歴史の中で一時的な政権に惑わされることなく、それぞれの立場で歪みのない事実を後世に残す努力をし続けることではないだろうか。P211
森永卓郎さんの本から本書を知り、購入しました。
本書では推察は一切排除してありますが、森永さんの推察がまさに事実なのではと思います。
ボイスレコーダーの公開を望む!
「日本航空123便墜落事故」は中学生の時に発生しました。
当時、ニュース報道を見ていましたが、なかなか墜落場所が特定されずモヤモヤしていた覚えがあります。
本書を読めば、これが「事故」ではなく「事件」であるとしか言いようがありません。
事故調査委員会の報告やマスコミ報道は、数々の疑惑に答えきれていません。というか逃げているのでしょう。(殺されるかも、と脅されたらそうなるのでしょうけど。)
中曽根康弘元総理は「自衛隊のミス(若しくは故意)が発覚したら、自分はクビになる」と、発覚を恐れて隠蔽を謀ったのでしょう。せっかく登り詰めた総理の座。動機としては十分です。
あるいは元軍人でもあるので、彼からすれば自衛隊員は後輩とも言えます。後輩のミスを庇おうとしたのかも知れません。
隠蔽のために、機材(飛行機)を壊す、乗員乗客を火炎放射器で殺す、とても恐ろしいですがその可能性はあります。
実行した自衛隊員から証言が得られればいいのですが、口封じ(自殺や自殺に見せかけた暗殺など)がされているかも知れません。
頼みの綱はボイスレコーダーです。全てを公開すれば真実にたどり着けるのではないかと期待しています。
この事件を有耶無耶にしてはいけません。
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自分が小5の時の大事件が未だに終わっていないということに衝撃を受けました。当時小学校の行事で軽井沢に行く数日前だったと記憶していますが、幼心に大ショックでした。もちろん新聞報道に間違いや嘘があるなんて思いもしな年齢なので、そっくりそのまま受け入れましたが、こんな話があったなんて。何が正しいのか確認する術がないのですが、報道に出た時には注視していこうと思います。
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日航123便が行方不明になった(墜落した)のを知った時、子供ながらに「大変なことが起こった」と衝撃を受けたことを今でも覚えています。あれから40年、数々の知らなかった事実がある事を知って「大変なことが起こっていたのだ」と再び衝撃を受けています。
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日航123便墜落の謎に挑む著作は事故の背後に潜む不自然さを指摘する。犠牲者や遺族の苦しみはただの「事故」では片付けられない現実を語る。隠蔽された事実、矛盾だらけの公式説明に人々は疑問の目、眼差しの有り様やいかんと訴える。この悲劇を風化させず真実を求め続けることは亡くなった方々へのせめてもの敬意である。隠し事を許さぬ社会が築けるかどうか。人々の持つべき眼差しが未来の安全を守る、あるいは社会の礎を形成する根本原理となる。
真実を知る人は語らなくてはならない。
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1985年の日航機墜落事故は、リアルタイムで報道ニュースを見聞きしていた世代です。『クライマーズ・ハイ』(フィクション)などは既読ですが、ノンフィクションは初めてで、初めて知る事実が多く、衝撃的な内容で辛くもありましたが、深く考えさせられました。
元日航客室乗務員である著者の青山透子さんは、その経験に裏打ちされた多くの事柄を背景に、多くの目撃証言を掬い上げ、犠牲となった乗客・乗務員の無念、遺族の想いに真摯に向き合っています。
多岐にわたる証言・資料により、事件性の疑念を記すも、決定的な証拠提供には至らず…。事故発生から数十年経過すれば、当然一般人が物的証拠を示すのも困難で、厳しく高い現実の壁が立ちはだかります。誹謗・中傷もあったようです。
それでも青山さんは、2010年来、事故調査委員
会の調査結果に疑問を抱き続け、自ら調査し多数の事故関連書籍を継続出版しているようです。凄まじい執念を感じます。前に進むことイコール真相を究明し続けることなんでしょう。
私たちの40年に亘る(原因とされた)「整備不良による圧力隔壁の損傷」という認識は何だったのでしょうか? 真相は闇に葬られたままになるのでしょうか? 全ては、当時から遺族を始め関係当事者が納得する説明が為されていれば…と思うばかりです。真の原因究明と安全・危機管理体制の構築、犠牲者の鎮魂を望むばかりです。
2024.3、森永卓郎氏の『書いてはいけない』が脚光を浴び、そこで触れられていた一つが、日本航空123便墜落事件とのこと。本書(2017刊行、2020文庫化)再注目のきっかけとなったようです。ぜひ多くの人に読んでほしいと思える一冊でした。
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当時JALでスチュワーデスをされていた著者が、墜落で亡くなった同僚のため、真実に迫った本書。当事者からの目線は鋭く熱量が高い。
闇に葬っていはいけない事件であると、改めて認識した。この事件が明るみに出る日が来たら、日本は大きく変わるのかもしれない。
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『いつか真相がわかる日が来るのだろうか…』
1985年8月12日。日航ジャンボ機123便が群馬県・御巣鷹の尾根に墜落し、乗員乗客524人のうち520人が亡くなった事故の真相を追うノンフィクション作品。2018年本屋大賞のノンフィクション部門にノミネートされ、のちに文庫化。
単独機では世界最多の死者を出した飛行機事故であるが、著者の青山透子氏(元・日航CA)は事故ではなく事件であると主張する。機体の整備不良と調査委員会は結論づけたが、本書を読むと確かに何かがおかしい。国家ぐるみで隠そうとした真実があったのではないかと疑ってしまう。
仮に本書の推測が事実だとすれば、歴史は隠蔽されたことになる。ただの飛行機事故ではない。しかし、隠蔽するには関わった人が多すぎる気もする。自衛隊員の全員が墓場まで持っていけるのだろうか。いずれにせよ闇が深すぎる。
元同僚の無念を晴らしたいと思う著者の熱量には胸をうたれた。TV番組で再現VTRは何度も見たが、事故の裏側にこのような疑念があったことは知らなかった。墜落からもうすぐ40年。自分が生まれる前に起きた事象だが、風化させてはいけないのかもしれない。
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本書は、1985年8月12日に、東京発大阪行きの日航ジャンボ機123便が群馬県の御巣鷹の尾根に墜落し、乗員乗客524人のうち520人が亡くなった、単独機では世界最多の死者を出した事故・事件の真相を問うものである。
著者の青山透子氏は、元日本航空国際線客室乗務員で、国内線時代に当該機のクルーと同じグループで乗務。その後、官公庁、各種企業等の接遇教育に携わり、専門学校、大学講師として活動。東京大学大学院博士課程修了、博士号取得。
私は、この事故・事件については、しばらく前に、群馬県警高崎署の刑事官として身元確認班長と務めた飯塚訓氏が、現場で見た127日間を記録した『墜落遺体~御巣鷹山の日航機123便』を読んだが、その真相を問う本・文書に接したのは、不覚にも今般が初めてである。
事故・事件当時私は学生だったが、日本国内の陸上の極めて限定的な地域に墜落し、赤々と炎上している機体が、一晩中発見できないなどということが、本当にあるのだろうか?という疑問を、漠然と抱いたことを思い出す。
そして、本書を読んで、公式発表に対してこのような様々な疑問があることを知り、驚くと同時に、9.11米国同時多発テロや、古くはケネディ米国大統領暗殺をも思い出した。
著者の推測(端的に言えば、自衛隊が誤射したミサイルが当該機に当たったことが墜落の原因)には妥当と思われる部分も多々あるが、一方で、①隠蔽する動機が弱すぎるのではないか?(9.11やケネディ暗殺の疑惑は、真偽は別として、事件に対する国家の積極的な意図・関与が指摘されているが、本件の原因はあくまでもミスであり、明るみに出たときの衝撃・リスクを考えれば、隠蔽しようなどとは考えないのではないか)、②生存者がいる可能性のある現場を、火炎放射器で焼き尽くすなどという行為が、倫理的にできるだろうか?、③生存者4人は②の行為を目撃しているのか?、などの疑問が浮かぶのも事実である
本書を読むだけでは、その真相は即断しようもないが、一つだけ確かなことは、30余年を経た今も、これだけ多くの人々が疑問を感じている以上、公式な再調査が行われるべきということである。それが、亡くなった方、遺族の方、また、上記『墜落遺体』で語られているような、事故に献身的に対応した人びとに対する、最低限の誠意というものであろう。遠からぬ将来、誰もが納得する形で真相が明らかになることを願いたい。
(2021年6月了)
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青山透子『日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』河出文庫。
1985年8月12日に御巣鷹の尾根に墜落した日航ジャンボ機墜落事件の真相に迫るノンフィクション。
果たして真実はどこにあるのか……自衛隊または米軍による事故の隠蔽なのか……
真相の鍵となるのはジャンボ機墜落前に目撃されたオレンジ色の謎の物体と2機のファントム機の目撃証言。ジャンボ機墜落の原因は訓練用ミサイルによる尾翼の破損で圧力隔壁の破損によるものではないというのが、著者の主張である。墜落現場を特定し、救助活動が遅れたのは訓練用ミサイルの痕跡を消すためにガソリンとタール臭が特徴的なゲル化燃焼剤を使って機体の残骸を燃焼させたためだとも主張している。
確かに怪しい点は多分にあるが、物的証拠が無く、目撃証言や当時の状況証言だけが材料というのは非常に弱い。
本体価格800円
★★★★
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防衛費が膨張し、政府が公言していた「GDPの1%以内に防衛費を抑える」という約束が破られたのではないかというのが、野党の主張だった。自衛隊に対する国民の理解が、いまとは全く異なり、自衛隊に対する批判が根強かったのだ。 そうした世論のなかで、国産ミサイル開発をしていた自衛隊が、ミスとは言え、五二〇人もの命を奪った事故の原因を作ったとすれば、それは自衛隊への批判が強まるどころか、国の存亡にかかわる事件になってしまう。そこで、中曽根政権は、ボーイング社に泥をかぶってもらうことにしたのではないだろうか。
Posted by ブクログ
本書は1985年8月、520人の死者を出した日航123便墜落事故に疑問を抱く著者が、数々の目撃者や関係者の証言をもとに真相に迫っていくというノンフィクション。
事実を積み重ねて真相解明を試みるという手法はノンフィクションの定石であり、読み応えがあり、面白く読めました。
本書が指摘する問題点は
ー公式記録にはないファントム二機の追尾が目撃されている。
ー日航機に付着した赤い形状のものが目撃されたが、それは何か。
ー地元群馬県上野村の小中学校の文集に寄せられた子どもたちの目撃証言。
ー米軍機が墜落地点を連絡したにもかかわらず、なぜ現場の特定が遅れたのか。
ージェット燃料の火災ではありえない遺体の完全炭化から考えられるある種の武器使用の疑い。
ー圧力隔壁修理ミス原因説への疑問。
著者は、事故について日米政府による何らかの証拠隠滅があったのではないかと考え、この事故が「事件」であった可能性を推理します。
決定的証拠はなく、全ての情報公開を訴えて本書は終わります。仕方のないことではありますが、やはりモヤモヤは残ります。
著者の青山透子さんは元客室乗務員。国内線乗務の時、日本航空123便墜落事故の客室乗務員と同じグループに所属。日本航空123便事故調査委員会の調査に疑問を持ちつつ退社。東京大学大学院で博士号取得した後、日航123便墜落に関連した資料、公文書をもとに長年に渡って調査を進めています。
本書は2017年の出版ですが、青山さんはその後も『日航123便墜落 疑惑のはじまり――天空の星たちへ』『日航123便墜落 遺物は真相を語る』『日航123便 墜落の波紋――そして法廷へ』『日航123便墜落――圧力隔壁説をくつがえす』(いずれも河出書房新社)と立て続けに著書を発表。
オミクロン株蔓延の発端かもしれない在日米軍の行動とそれを強く問題視しない日本政府の対応もそうですが、本書に書いてあるような疑惑を読むと日米関係の現状と行方に不安を抱いてしまいます。真相解明を日本人として強く望みます。
Posted by ブクログ
読む前はいわゆる陰謀論の類かと思っていたが、数多くの証言をもとにまとめた本であり、JAL機とともに飛行する2機のファントムが墜落現場付近で多く目撃されていたことには驚いた。ファントムが目撃されている件について、写真などの客観的な証拠はないのであろうか?さらに別の視点からの報告が出てくることを望む。
Posted by ブクログ
この事故(事件)は強烈に覚えている。またその時にナゼに墜落現場さえ分からないかという事に、違和感を覚えながら報道番組を見ていたことを思い出す。
ただしその後は、ボーイング社の後部圧力隔壁の修理ミスが墜落の原因と言うことをなんの疑いもなく信じていた。
何気なく興味を惹かれて読んだ本作でそれが、全くの絵空事で目撃証言や様々な事実を時系列で検証すると一つの疑いが生じてくるという事に衝撃を受けた。
衝撃度だけで言えば星は5つ。
本作ではその疑いが紛れもなく不都合な事実である事の検証がなされているが、それを真実であると考えるか、はたまた荒唐無稽な陰謀論と捉えるかは読者次第であろう。
個人的には正直分からないとしか言いようがない。作者の言う事はそれなりに説得力はあるが、肝心の誰がなんのために、当時こまごまと自衛隊やら群馬県警やら消防隊に指示(隠蔽のための)をして、さらにマスコミをも巻き込み事実を見えなくしたのか、その動機や手法が今一つピンとこない。
おそらく似た内容なのだろうが、同じ作者の他作品もあるので読んで判断したい。
Posted by ブクログ
森本卓朗著『書いてはいけない』で紹介されていた本書。すぐに読んでみた。
事の真偽は今後の推移を見守る必要があるが、本書の著者も、事実を隠蔽することによる国益の心配をしている。
「国でいえば、ずっと主権や国益を失い続けている状態といえよう。それでは戦後の政治はまったく機能してこなかったということになってしまう。
これはよく言われるような国の軍隊が強いか弱いかの問題より、むしろ国家間の交渉過程における毅然とした態度そのものが重要なのではないだろうか。矜持ある振る舞いや真摯な態度は驚きと尊敬をもたらし、それが結果的に国益を守ることにもつながる。」
だとしたら、全てを明らかにして、間違いを正すべきだ。
「反省なき未来はいずれ崩壊する。」
Posted by ブクログ
墜落の事実以上のことは何も知らなかった。最後まで面白く読めた。この本が主張する内容と対立する本もあれば読んでみたいなぁ。
墜落までの時間をどんなふうに乗客やスタッフが感じたのか。想像するのはとても簡単じゃない。怖かったやろうね。悔しかったやろうね。悲しかったやろうね。無念やったやろうね。
Posted by ブクログ
どこかのノンフガイドから。幼少時にこのニュースに触れ、飛行機に対する恐怖感が物凄く高まった記憶がある。同事故で有名人が亡くなったってことが、周りの大人の中ではとにかくセンセーショナルに語り交わされていて、それ以外の側面から本事件を見たことはなかった。本作中でも繰り返されるように、これは戦時でなく平時の出来事。今が戦時だけに麻痺しそうになるけど、民間機を誤って、みたいなニュース、たまに聞くことがある。今に比べると情報網が圧倒的に拙かった当時、軍の介入、謎の空白時間など、間接的に政治力の介在を思わせるあれこれが、本事件もその一つという解に導く合理的な道筋に思えてくる。真相究明は成るのか。
Posted by ブクログ
まずは犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。
当時の記憶は断片的ながらとても強く残っている。毎年のニュースや、山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」での衝撃が、その記憶を色濃くさせた。
事故ではなく「未解決事件」として、膨大な情報から導いた仮説を検証している。そこについて理解はできた。言及はしない。
職務を全うした乗務員の同僚であり友人である著者の、「人を思い行動し続ける生き方」は強く突き刺さりました。
言いたいことはわかるが
YouTubeで「これが真実だと確信した」というようなコメント見て、読んでみた。
でも、正直、残念だった。
読み手を誘導している印象しかない。
世の中、正面に見えているものだけが全てではない。
同僚に対する気持ちから同僚の無念さを果たすべく書かれたのだろうことは理解しているが、そういう職に就くことは、そういう運命も納得しているべきである。
事実は事実として受け入れたが、そこからの誘導的な言葉は理解に程遠い。