あらすじ
「助けてほしい」が届かない!
少女はなぜ女子少年院に入ったのか――。自分も女子少年院経験者の著者が、覚醒剤、虞犯、窃盗、恐喝で収容された佳奈・美和・沙羅・遥香の4人の少女に取材し、犯罪に至る背景や出院後の人生に迫る。複雑な生い立ちや家庭環境など少女たちが語る赤裸々な言葉が胸を打つ。
18歳の加奈は親に捨てられずっと児童養護施設育ち。頼れる大人もないまま社会に出て覚醒剤使用で逮捕された。出院後も引受先から追い出されてしまう……。普通の人ならそんなことはしない、と自己責任の一言で切り捨てられがちな風潮だが、世の人が当たり前に思う「普通」の養育を受けていない子どもがいる。少年院は刑罰ではなく、そうした子どもに衣食住を与える学びの場なのだ。だが社会に出てからも、周囲の偏見や厳しい対応で挫折し、更生できないケースも多い。
厳しい現状を伝え、それでも理解者がいれば「人は変われる」と著者は訴える。
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Posted by ブクログ
少女達が少年院に入るまでの人生、周りの環境、少年院での暮らしの中で起こった心境の変化、退所後の生活等が書かれている。
「カップラーメンを二つ盗んだことで少年院に収容された子がいた。この場合、カップラーメン2個の金額が問題なのではない。問題はカップラーメンを盗んで食べなければいけなかった環境にある、ということを理解してほしい。」この文にはハッとさせられた。
Posted by ブクログ
非行少年(少女)を支援する大人の中で、どれほどの人が本当に当人たちのことを考えているだろうか。
少なくとも第1章に出てきた中間支援施設の職員は上から「助けてやっている」という態度がありありと見える。こうした態度は当然支援を受ける側にも見抜かれるだろう。もちろん、支援側には支援側の言い分もあるだろう。しかし、さまざまな問題を抱える触法少年と関わることの覚悟なしに中途半端に関わるのは一番良くないと思う。
幸い、この本に出てくる四人の少女は理解者を得、本が上梓された時点では立ち直ることができている。だが、肝心なのは少年院を卒院したあと、信頼できる人に出会うことができるかどうかだと思う。「人は変われる」本書の中で繰り返し述べられる言葉だが、人は良い方にも悪い方にも変わるのだ。変わるべきは、社会からはみ出した者に不寛容なこの世の中、また失敗を許さない社会構造そのものであると感じた。