あらすじ
自宅の裏庭につづく牧草地の一角に石灰をまき、家族の協力を得ながら土を掘り返しての観察と実験を重ねること40年。ミミズの働きと習性について生涯をかけて研究したダーウィン最後の著作。『種の起源』で提唱したみずからの理論を下支えする存在、それがミミズだった。ミミズはすごい。でも、ダーウィンはもっとすごい。
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Posted by ブクログ
ダーウィンとは、あの進化論のダーウィンである。彼が家族の協力を得ながら40年もミミズの研究をしていたとは、恥ずかしながら知らなかった。ダーウィン最後の著書がこの本。
この本によって、ミミズは単なる釣り餌ではない、大地を耕して潤してくれる存在であると、世に知らしめたのだ。
いまだに分からないことも多いミミズだが、ミミズがいなければ、作物は育たない。畑に薬を撒いて除草すると、ミミズも死んでしまい、豊かな畑にはならない。とても大事な存在なのだ。
ダーウィンが実験に使っていたミミズは日本のものより大きいらしいが、巣穴の入り口は葉っぱなどで塞ぎ、寒さをしのいだり、食べ物にしたりする話やローマ時代の遺跡が土に埋もれているのは沢山のミミズが何年もかけて土を掘っているから、など、興味深く読んだ。だんだん可愛く思えてきた。1エーカーに何匹くらい存在するかの予測の数は恐ろしかったのだけど。
また、科学者はこのように実験をくりかえし、予測を確実なものにしていくのか、と感心してしまった。ミミズがどのくらいの土を耕すのか予測するなんて、計算も結果もビックリだった。
時間はかかったが、結論まで読めてよかった。次はミミズ・コンポストにチャレンジしてみよう。
Posted by ブクログ
ミミズによる腐植土の形成はとても長い時間を要し、大きな結果をもたらすという点が自然淘汰による進化と重なっていて面白い。
渡辺先生の訳はわかり易いことで有名なので、今回も読みやすかった。しかし、かなり頻繁に出てくる計測値の単位が日本人に馴染みのないポンド、ヤード、オンス、フィート、インチ、エーカー、マイルなので非常にストレスで途中で読むのをやめたいと思うほどであった。稀にカッコ書きでグラムなどに変換されているが、ほとんど助けになっていない。原著を忠実に翻訳したい気持ちからだろうが、かなり頻繁に計測値が出てくる本書でそれを貫くことは読者への配慮を著しく欠くものである。この点が解消されれば、もっと楽しめたと思うので残念であった。
Posted by ブクログ
ダーウィンがミミズの研究をしていたことは知っていたので、本書を読んでみることにした。
ダーウィンがミミズに関心を持ち、ロンドン地質学会で「腐植土の形成について」という発表をしたのが1837年のこと、そして本書を出版したのは亡くなる半年前の1881年であるから、実に40年以上にわたり、ミミズの観察、研究を続けてきたことになるのだから、これはスゴい。
田舎育ちなので子どものころはミミズを良く見たものだが、そう言えば最近とんとミミズを見かけない。そんな身近にいたミミズがこんなにすごい働きをしていることを、本書を読んで改めて知った。
「適度な湿度がある地域ならばその地表は腐植土で覆われている。その腐植土層の形成にはミミズが貢献している」というのがダーウィン自らが言う本書のテーマである。
ミミズの感覚や習性を知るために、ミミズを飼育して光を当てる、音を聞かせる、いろいろな葉を与えるなどしたり、巣穴の入口を塞ぐためにミミズがどのような方法を用いるかをいろいろと試してみるなど、いろいろな実験や観察を行う。
また、ミミズがどの程度の量、土を地表に運ぶのかを、いろいろな場所や、古代の遺跡、建造物において測定を試み、できるだけ正確な量を推し量ろうとするところなどは、正に科学者の振る舞いだ。
ダーウィン自身ももちろんいろいろな調査をしているが、自分の子どもたちや親戚の人たちの協力を得ているのはとても微笑ましい。また、多くの協力してくれるナチュラリストがいたのも、いかにもこの時代のイギリスだ。
自然界の驚異や不思議さをいろいろと感じながら本書を読んだ。