あらすじ
将来結婚するものと考えていた幼なじみとの初恋とその後日を回想する「みずうみ」。継母と前妻の娘との心の揺れを描く「三色すみれ」。旅芸人一座との出会いと別れ、そして大人になって思いがけず再会する「人形使いのポーレ」。若き日の甘く切ない経験を繊細な心理描写で綴った傑作3篇。
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Posted by ブクログ
3つの短編ドイツの自然ってこんなにも美しいんだって。鳥がそれぞれの物語に出てくるところもすてき。
みずうみ
自然の描写が美しい。
結ばれなかったふたりだから美しい物語になるのかなぁ。それにしても、彼女の夫は鈍感なの。優しいの。人生についてパンになぞらえる部分など鋭い教訓だなぁ。なんで?なんで?って思ってしまいました。
エリザーベトのもとにラインハルトがいなくなってから、ラインハルトの幼馴染のエーリヒさんが通ってきてたけど、ラインハルトはその人のこと、自分の着ている茶色のオーバーにそっくりだって言ってて。悪口にきこえるけど、エリサーベトは、それをそんなふうに思ってないみたいで、手紙に描いたりして。素直なんだか。ラインハルトがお話を送ってくれなかったことに『あなたは約束を守らなかったわね』って。直接的だなぁ。こんな表現になるのは子供だからかドイツ人だからか?
ムネアカヒワが死にカナリアがきて、エリサーベトの母親は、ラインハルトを遠ざける。大人が子供によかれと思ってすることはよくでもないなぁと思った。して、エリサーベトの気持ちはどうだったのかな。3度目のプロポーズで受けた。親のいいなりになるって諦めてた?して、2年も手紙のやりとりを何故ふたりはしなかった?
単純な造作のエーリヒの顔 。
ぼくが静かに計画をねる男だと知っているだろう?って。こわい。
そして、ふたりで出かけさせたりして、何の意図もないとしたらますますこわい。
幼馴染ならふたりの仲の良さは知っていると思うのに、何故だろう?
三色すみれ
まま母と女の葛藤。荒れ果てた庭園。
人形使いのポーレ
ただひとつハッピーエンド。すれ違いは悲しい
Posted by ブクログ
みずうみ
エリーザベトとラインハルトの物語。
ラインハルトの鳥が、カナリアに変わったことが悲しかった。在学中、彼は思いを持ちながら、自分の世界に入ってしまった。時は巻き戻せなかった。
3色スミレ
希望がたくさんで、読み終えてホッとした。若い新妻は前妻と一緒で肖像画になるのかとやきもきした。新妻の成長に感謝。同じ名前はつけないとした夫に尊敬を。
人形使いのポーレ
婦人のお父様は残念だった。だが夫人は幸せで、これからも幸せを紡いでいくのだと考えると、お父様の無念も晴れると思った。ドイツ中部の工房を離れるときの決心は見事だった。工房のおかみさんにも賛辞を。
繊細な描写が多く、勢いで読む本ではないなと初めから感じていた。数行読んで目を閉じゆっくり風景をめぐらす。
贅沢な読書時間を過ごせた。