あらすじ
十年前に失明した母と暮らす生稲怜花は、ある日矢島という記者に声をかけられる。
老人ホームで起きたインフルエンザの集団感染。その死亡者に処方されていたのは、母の治療に使われたのと同じ新薬「シキミリンβ」だというのだ。
母の失明の原因は――まさか。
乱歩賞作家が描く、製薬会社やマスコミ、数多の謀略が交差する圧巻のミステリー。
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Posted by ブクログ
何気ない描写やキャラのしぐさで、登場人物に深みを与えてくれるところが鏑木蓮の強みの一つだと思ってるのですが、序盤に怜花が近所の高校生相手に変顔を見せるという何気ない描写に「あ、この本良さそう」と予感しました。
こうした描写って、読み手にキャラの人物像をさりげなく、かつ深く伝えてくれてる気がして、読み進めれば進めるほどキャラが生き生きしてくるように感じることが多いです。そういう作品が好きな傾向が自分にはあるので、先に書いたような予感がしたわけです。
なので、感覚的には惹き込まれる点がいくつかありましたが、論理的には理解できなかった点もありました。
特に三品の目論見について。高齢者医療や老年内科のことが作中すご~~~く価値のあることのように描かれているけど、医療過誤を隠蔽してまでやるメリットが私にはわかりませんでした。
それを含む、クライマックスの展開や話の内容はほとんど理解できていない気がしてまして、そのためか怜子や良治の行動も納得できなかったりピンと来ていなかったりします。
自分にもっと読解力や理解力があったら、本作に対する印象は大きく変わっていたかもしれません。最初に記したように、キャラがしっかり立ってるという点はとても良く、いい奴も悪い奴も、それぞれ自分なりの信念を持って行動していたところはホントに好みだったので……