あらすじ
まさに平成が始まろうとしていた頃のこと、政治シーンのあちこちで「改革」の二文字が見られるようになった。以来30年、日本の統治システムは改革の名のもと、静かに、しかし激しく変貌を遂げてきた。選挙制度、行政、日銀・大蔵省、司法制度、地方分権……現在の政治を作り出した壮大な理念とその帰結を読み解く。
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Posted by ブクログ
平成の時代に進行した政治改革について、その経緯と帰結がまとめられている。近代主義右派の観点から各改革を横断的に理解しようという流れは説得的だった。過去を振り返るだけでなく未来への示唆にも富む良書。
Posted by ブクログ
1990年代以降進められた「選挙制度改革」、「行政改革」、「日本銀行・大蔵省改革」、「司法制度改革」、「地方分権改革」という実質的な憲法改正ともいえる「政治改革」について、それらを「近代主義」という「アイディア」が通底していた一方で、その具体化の過程で各領域での「土着化」が生じ、マルチレベルでは不整合がみられる結果となったと指摘している。
「近代主義」が政治改革の様々な分野を通底していたというのはちょっと後付けの理屈のような気もしたが、本書は、政治改革の全体像について一貫した説明を与えるとても(知的に)面白い試みだと感じた。
本書のキーワードの1つである「土着化」は、過去の改革を読み解く上でも、今後の更なる改革を考える上でも、非常に重要な観点だと感じた。著者が指摘するとおり、今後の改革に当たっては、「改革過程では土着化の動きがほぼ確実に生じるため、想定された帰結を導くためには、改革の全体像とそれを支える理念を明確に定め、土着化による影響をできるだけ小さくすることが必要である」。