あらすじ
「ずっと、好きでした」
泣いて、隠して、あきらめて。それでも女の子になりたかった――。
『罪の声』の著者がたどりついた「本当に人を愛する」ということ。感動の傑作長編。
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「えっ、真壁君、ほんまにするの?」
「目つむれ」
「へっ? あかん、あかん」
後ずさった翔太郎の肩を真壁君が両手でがっしりとつかんだ。
「深呼吸しろ」
言われるがままに大きく息を吸って、長く吐いた。その間、お互い顔を見られなかった。(本文p111-112より)
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小学四年の春、同じクラスになった真壁君の顔を見たとき、翔太郎は恋のきらめきと痛みを知った。小さな希望すらも打ち砕かれる人生。仮面の下、ずっと女の子になりたかった――。終章、二十四年後の春に明かされる優しく美しい秘密とは。生きてゆくことの切なさに共感せずにはいられない感動の青春恋愛小説。
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Posted by ブクログ
今でこそLGBTQという言葉を聞くことも増えたが、昭和の頃は『保毛尾田保毛男』だった。
あの頃、当事者は辛かっただろうな。
桜木紫乃さんの『緋の河』と『孤蝶の城』を読んだ時も衝撃を受けたが、この作品はもっと家族との関係が濃厚で、その悩みも大きい。
翔太郎から蘭へ名前も性別も変更した、その裏にはこれほどの苦労があった。それでも自分を信じ、貫き通す潔さがすがすがしい。この壁を乗り越えられず、やむなくそのままという人もいると思うと心が痛む。
Posted by ブクログ
結構前に読んだ本
でもLGBTについてリアルに書かれていて
いろいろ考えさせられたよー
とても分厚いけど3日くらいで読めた!
私は好きだな
Posted by ブクログ
すごくすごく良かった!!!
いくつか塩田作品を読んできたけど最初なかなか入り込めなくて中盤過ぎからやっと面白くなるってパターンが多かったからあまり期待してなかったんだけど本作は最初からぐいぐい惹き込まれた。
女の心を持つ翔太郎の苦しみや葛藤、真壁くんへの恋心、家を出てセカンド・サイトで働き、いろいろな出来事を経て蘭になるまでの壮絶な人生に何度も胸が苦しくなった。
茜やチーコママ、セカンド・サイトの仲間たち、小中時代の友達…辛く悲しい恋愛や孤独もあったけど、周りの人に恵まれていたことだけは救いだったと思う。
ラスト手前でチーコママとお父さんの真実に驚愕してたらラストでもっともっとビックリして大号泣…!
プロローグの写真店に来た男性、ホワイトデーの日に物陰から見ていた人物がずーっと引っかかってはいたけどまさかまさかでした!!!
しかも二人とも初恋とファーストキスだよ!エモすぎだよ!
蘭ちゃんが報われるラストで本当に良かった。
塩田作品、今後も追って行きたいと思います。
Posted by ブクログ
『何かに期待をするのは、とっくの昔に止めたはずだ。でも、何も望んでいなくても、こうして傷つけられることもある。』
『そのまま記憶が蒸発すればいい』
『みんな偽物。どんなにあがいたって本物の女には敵わない』
彼女の言葉。
どうにもならない現実、苦悩、孤独、怒り、葛藤など、丁寧に書かれているのでとても苦しかったが、一気読みした。
彼女もまた、自分が思う男と女という性、男らしさ、女らしさというものを言葉にしないまでも、他人に押し付けていたという事実に落胆する。
感情の機微が秀逸。
Posted by ブクログ
性同一性障害の人の悩みや苦しみが、今の時代は少なくなってるといいなと思った
真壁くんを想う描写のところは普通の恋愛小説としてきゅんとしたし、私も真壁くんのこと好きになった