あらすじ
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519年)が死して501年。21世紀の今、我々はその作品に魅了されながら、「万能の天才」に対してどのようなイメージを抱いているのだろう? その姿を求めて美術批評家の著者は旅に出た。パリ、ロンドン、ミラノ、フィレンツェ…、節目の年に開催される大がかりな展覧会やゆかりの地を巡る。美術史・文化史からのアプローチにとどまらず、解剖学や工学などの視点からも作品を見ることで浮かび上がってきたダ・ヴィンチの新しい姿とは?
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
美術に詳しくなくとも、著者とともに旅行&鑑賞をしている気分で楽しく読むことができた。
ただ作品を見るだけでは、なんとなく好きか嫌いか、すごいかそうでないか、しかわからない。しかし、その背景、作者の生い立ちや、絵画に込められた想いやストーリー、技法を知ると、美術は科学的でもあり哲学的でもあることがわかる。すると、鑑賞の価値は全く違ったものになる。
自身もそうだが、美術の良さがイマイチわからない人たちには、前提となる知識不足が原因だ。闇雲に作品をつくらせる、美術史を暗記させるだけの日本の学校教育を変え、アートを楽しむための素養を身につけさせる必要があると感じた。
ダ・ヴィンチの作品を楽しむための視点を与えてくれたことはもちろん、美術の楽しみ方を教えてくれる読みやすい一冊であった。