あらすじ
〈ホワイト・ラビット〉をめぐる事件が終結して1ヶ月。“くるみの家”に引き取られた由沙美を、ロゴたちは温かく迎える。そんな折、都内に〈破詞〉と名乗る謎の集団が出現。踊りを通じて他のコトモノを次々と〈破詞〉化させていく彼らの正体、それはコトモノという存在を根底から揺るがすものだった……。自ら「詞を破る者」を名乗る彼らに、ロゴの『言葉』は通じるのか!? ——『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞作の待望の第2弾です。
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Posted by ブクログ
由沙美の父親、羽住の執着心はある意味尊敬できるほどのものだった。手話も言葉という発想は素晴らしい。
最後に由沙美が羽住と決別し「言葉」の繋がりを取るシーンは感動した。
Posted by ブクログ
“「我々が『言葉』に縛られている?これを見ても、まだそう言えるかな?」
ロゴの肩が強く掴まれ、無理やり後ろを振り返される。さっき、広場で目撃した白髪の男の顔が眼前にあった。律儀に動き出す左手を抑える。
やはり間違いない。こいつは<破詞>だ。そして、コトモノだ。
ギラギラと強い眼力を放ちながら、<破詞>であるその男はロゴを見下ろすと、急に口を開いた。とたんに、ロゴの視線は男の口のなかへと釘付けになった。
男の口には舌がなかった。
舌だけではない。よく見ると、喉にも傷が走っている。
コトモノにとって命であるはずの、『言葉』を発する器官。
その器官が、目の前の男にはない。
男は自分の携帯電話を持った右手を掲げた。右手の指が携帯電話のボタンを打っていき、あの人工的な声が携帯電話のスピーカーから淡々と発せられる。
「我々は言葉を捨てた。『言葉』なき者なのだよ」
「そんな、そんなはず……」
必死にロゴは、自分が見たものの意味を捉えようとする。だけどもいくら考えても理屈に合わない。間違いなく、こいつはコトモノだ。コトモノのはずなのに。”
前巻同様最初から最後まですごく良かった。
何だろう、異色の生物と共存してるとことか先の読めない驚きの展開・行動とかがアンダカを思い出させてとても楽しめる。
出てくる登場人物一人一人が色濃くて薄っぺらくない。奥深い。
もちろんストーリーもとても奥深くて読み応えがある。
ロゴの性格がすごく好きだな。
イラストも素敵。
これからの展開が楽しみ。
ロゴの母がどう出てくるのか。
“「ロゴにいは……」
おずおずと上目づかいで由沙美はロゴに尋ねてきた。
「私がここにいてくれたら嬉しい?」
一瞬、ロゴは由沙美から視線を逸らした。心臓が大きく跳ね上がりそうになった。なんで自分がこんなに照れているのか、ロゴにもわからない。
だけど、真面目に答えなければならない問いだった。本心からロゴは答えた。
「すんげー嬉しいよ。決まってるだろ、そんなの」
何を当たり前なことを。そうロゴが思ったのも一瞬だった。
由沙美の顔が朱を通り越して、茹でタコのように真っ赤になった。”