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Posted by ブクログ
一つ一つの短編のレベルが非常に高い。
長編だと少し盛り込みすぎな部分があったり、推理やトリックの説明が分かりにくかったりすることがあったが、短編ではそれらの短所は見られない。
トリック、ロジック、伏線回収。
作品自体が伏線となり、「クリスマスの約束」で全てが一つに繋がるさまは見事。
《あかずの扉》研究会の面々の物語でもあり、シリーズ4作を読んでいるからこそ楽しめる、驚けるものもある。
「クリスマスの約束」は除き、単体として特に面白かった短編は以下の二編。
「手首を持ち歩く男」
猟奇的に見せかけることによるミスディレクション、静岡駅通過のアリバイトリックやコーヒーカップのアリバイトリックなどなど、短いながらも使われているトリックはどれも秀逸。
プロローグもさすが。
「まだらの紐、再び」
"論理のアクロバット"を目指したそうだが、これはなかなか上手くいっているのではないだろうか。
「蛇に咬ませた」のではなく、「蛇が咬んでしまったのを隠そうとした」というのは盲点だった。
管理人殺しの存在意義や、注射器などの細かい伏線回収も相変わらず鮮やか。