あらすじ
名探偵・後動悟が、密室の列車内で、華麗なアリバイ崩しを披露する「手首を持ち歩く男」。師・島田荘司の人気シリーズから御手洗潔と石岡和己の名コンビが登場する「動物園の密室」。ほかに《あかずの扉》研究会と《霧舎学園》のメンバーも集結し、オールスター探偵がハイレベル推理を連発する、珠玉のミステリ短編集!
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Posted by ブクログ
一つ一つの短編のレベルが非常に高い。
長編だと少し盛り込みすぎな部分があったり、推理やトリックの説明が分かりにくかったりすることがあったが、短編ではそれらの短所は見られない。
トリック、ロジック、伏線回収。
作品自体が伏線となり、「クリスマスの約束」で全てが一つに繋がるさまは見事。
《あかずの扉》研究会の面々の物語でもあり、シリーズ4作を読んでいるからこそ楽しめる、驚けるものもある。
「クリスマスの約束」は除き、単体として特に面白かった短編は以下の二編。
「手首を持ち歩く男」
猟奇的に見せかけることによるミスディレクション、静岡駅通過のアリバイトリックやコーヒーカップのアリバイトリックなどなど、短いながらも使われているトリックはどれも秀逸。
プロローグもさすが。
「まだらの紐、再び」
"論理のアクロバット"を目指したそうだが、これはなかなか上手くいっているのではないだろうか。
「蛇に咬ませた」のではなく、「蛇が咬んでしまったのを隠そうとした」というのは盲点だった。
管理人殺しの存在意義や、注射器などの細かい伏線回収も相変わらず鮮やか。