【感想・ネタバレ】獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たちのレビュー

あらすじ

「住処を奪われている」のは、人間の方だった。

食害、人身被害、生態系の破壊、そして感染症……
「動物愛護」が通用しない、日本の緊急事態に迫る!

・列島全域が「奈良公園」状態
・コンビニ前にたむろするイノシシ
・レジ袋片手に冷蔵庫を荒らすサル
・鳥獣被害額は年間1000億円以上?
・ネコは猛獣! 野生化ペットが殺す自然
・コロナ禍は獣害! 人獣共通感染症の恐怖
・食べて減らす? 誤解だらけのジビエ振興

近年、街中にシカやイノシシ、クマが出没して、よく騒ぎになっている。ニュースなどでよく目にする場面だが、そうした野生動物による「獣害」の深刻な実態を知る者は少ない。
駆除数はシカとイノシシだけで年間100万頭を優に超え、農林水産業被害の総額は、報告されていないものを含めれば年間1000億円を超えるといわれている。
「人間は動物の住処を奪っている」と思っている人は多いが、現在の日本においてはむしろ「動物が人間の住処を奪っている」のだ。
本書では、これまで様々な媒体で動物とヒト、そして森の関係を取り上げてきた森林ジャーナリスト・田中淳夫氏が「なぜ野生動物はこれほどまでに増えたのか?」「共存の道はあるのか?」といった難問に挑む。
動物愛護の精神だけでは解決しない「日本の大問題・獣害」について、偏見を捨て、改善に向けて現状を認識するための必読書。

【目次】
はじめに

▼第一章 日本は野生動物の楽園?
・身近な野生動物、イヌとネコ
・列島全域が「奈良公園」状態
・コンビニ前にたむろするイノシシ
・寝たふりできないクマの激増ぶり
・レジ袋片手に冷蔵庫を荒らすサル
・ラスカルは暴れん坊! 外来動物の脅威

▼第二章 破壊される自然と人間社会
・鳥獣被害額は一〇〇〇億円以上?
・森林を草原にする知られざる破壊力
・檻と化した集落に閉じ込められた人々
・ネコは猛獣! 野生化ペットが殺す自然
・コロナ禍は獣害! 人獣共通感染症の恐怖

▼第三章 野生動物が増えた本当の理由
・国が野生動物を保護した時代
・仮説(1) 地球温暖化で冬を越しやすくなった?
・仮説(2) ハンターの減少で駆除できない?
・仮説(3) 天敵のニホンオオカミが絶滅した?
・飽食の時代を迎えた野生動物たち

▼第四章 食べて減らす? 誤解だらけのジビエ振興
・害獣駆除で生じる「もったいない」
・期待される猟友会の危うい現実
・野生動物がジビエになるまでの関門
・シカ肉がビジネスになりにくい理由
・野生動物の資源化と駆除の担い手
・獣害対策は防護と予防にあり

▼第五章 獣害列島の行く末
・トキは害鳥! 苛烈な江戸時代の獣害
・獣害が少なかった時代の謎解き
・戦後に激変した日本列島の自然
・撤退する人間社会と狙われる都会
・「カワイイ」動物はなぜ生まれる?
・築けるか、人と野生の共生社会

おわりに
主な参考資料一覧

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Posted by ブクログ

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<目次>
第1章  日本は野生動物の楽園?
第2章  破壊される自然と人間社会
第3章  野生動物が増えた本当の理由
第4章  食べて減らす?誤解だらけのジビエ振興
第5章  獣害列島の行く末

<内容>
森林ジャーナリスト(そんなものがあるのか?)による、日本の自然の実情を訴える本。確かにニュースには、都会にイノシシが、サルが、シカが、と頻繁に出てくるようになった。著者は、それは不思議でも何にもないという。自然破壊とその後の後始末のずさんさ(植林しても管理をしないなど)、農家の売れない農作物の放置。様々な人害により、野生動物は生息域が人と接近し、人から見たら「害」を加えているのだ。ペットもちゃんと飼わないと野性化し、自然を荒らし、我々の脅威となる。ネコに関しては、イヌ以上に問題だと著者は言っている。獣害以外にも、東日本でよくみられるようになった「ナラ枯れ」。これもヒトのせいだ。意外と知らない森と人や動物の関係。この本はそれをあぶりだしてくれる。

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2020年10月16日

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