あらすじ
仏教の開祖・釈迦の生涯を、人間愛を唱えた武者小路実篤(1885─1976)が伝記小説にまとめた。人を超えた人への尊崇の思いと共に、一言一句に同じ人間としての釈迦への篤い共感が、全篇に溢れる。真摯さと共にユーモアも感じさせる名文から、人として記憶に刻んでおきたい人類の至宝の道程が分かり易く丁寧に語られる。(解説=石井公成)
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Posted by ブクログ
文章が平坦、平易、とのことですが、読みやすかったとは思います。釈迦かどう生きたのか、そして、釈迦を取り巻く主要な比丘たちのことも、順を追って知ることができました。
Posted by ブクログ
分かりやすくてエッセンスを凝縮した本を書いたと実篤は言っているが、登場人物なども多く出てきて、どれも掘り下げが薄く、誠実なダイジェスト、といった印象。武者小路実篤が敬愛する釈迦の人物像や考え方に迫りたかったが、感じきれなかった。読み取り不足かもしれないが。
Posted by ブクログ
1950年代初版のものが再版されたもの。釈迦の生涯をまとめ的に吸収するには最適な著書。数々の教えについてはほとんど触れていないので、あくまで人物を知るのが目的。
釈迦が説いたとされる万人向けの教え(法華経とか)のスケールの大きさに比べて、自身の解脱だけを目指す上座部向けの細々とした戒律が相矛盾しているのが仏教最大の問題点で弱点だと思うが、つまりは生きることが苦しみなのか喜びなのかのどちらを取るかで選択が分かれるのだろう。釈迦にしたってスジャータとの出会いは僥倖だったに違いないし、それが因となり悟りを開くのだから女性と目を合わすなというのはあんまりではないか。苦しみばかりにフォーカスしても正しい認識とは言えないだろうし、それに臨終の時に「俺の人生は苦しみの連続だったが、これでやっと死ねる!」というのもあんまりではないか。釈迦の教え自体が両極端でバランスに欠けていると敢えて記しておく(もっとも釈迦は法華経以外は全て方便であり仮の教えだからそれらの一言一句たりとも用いてはならないとのことだが)。