あらすじ
疫病と洪水の恐怖が迫る街。
死んだはずの宝石商が
二重密室に蘇る。
レンブラント vs. 謎のペスト医師。
2018 Apple ベストミステリー
「さっきお前は男は内科医だと言ったな?
顔を見せようとしなかった、とも」
「はい。鍔広の帽子と顔にかかるくらい襟の高い服をお召しで、
その方は仕事柄あまり人に顔を見せたがらないと
いうようなことをおっしゃっていました」
「ペスト医師だ」
画家レンブラントのもとにやってきた、ある宝石商からの急ぎの使い。父の代理でその館を訪れたティトゥスは、憔悴しきった宝石商と会うが、宝石商はその夜ペストで命を落とす。そこに現れた瓜二つの男――。蘇った死者。二重密室。疫病と洪水の恐怖が迫る十七世紀アムステルダムで謎が謎を呼ぶ傑作ミステリー。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
父の濫費と奇行に悩まされる、レンブラントの息子と記憶喪失の商人が、ペストで死んで埋められたはずなのに、レンブラントの画から抜け出して生き返った? 宝石商人の謎を追って、洪水の恐怖に怯えるアムステルダムの街をさまよう。
メイントリックはどうということはないが、小ネタの使い方が秀逸で、最後に現れて名探偵ぶりを発揮するレンブラントの推理によって、一気に辻褄があっていく過程にはミステリらしいカタルシスがある。ラストのツイストも楽しい。
Posted by ブクログ
肖像画から抜け出した王が新庁舎を闊歩する16世紀アムステルダムで、ペストで亡くなり埋葬されたと思われてた宝石商が自宅〈翼竜館〉の金庫部屋で見付かる。埋葬された人物は誰か?ペストだと診断したペスト医師も誰なのか??宝石商も肖像画から蘇ったのでは…!?みたいなミステリ。
肖像画を描いた画家がレンブラント・ファン・レインだったのも、主要な登場人物が記憶を無くしてる男というのも好みの世界でした。
謎解きも納得。息子さんと記憶を無くした謎のナンドが駆けずり回ったけれど、それまで話題に上るけど登場しなくて終盤でようやく出てきたレンブラントが全ての謎を解いたのは……えっ、、、となりました。この洞察力あって金策が上手くないのはよくわからない。ダイヤモンドの件も、欲が深かったのか…と思ったくらいです。
でも、ナンドの正体にとてもグッと来たので充足した読書でした。
宝石商ホーへフェーンが蘇ってきたと思われてた肖像画に描かれてたのは、双子のナンドだったんだろう。だから今回足で稼いでたナンドは肖像画から出てきていたので記憶がない。本物なら年齢が違うと言われていたし。初めは古臭い服着てたのもそれでかも。レンブラントとナンドの最後のやりとりに、そうか……としみじみしました。
キウィリス王が肖像画から抜け出してくる話も伏線だったのか。広がりが面白かったです。
レンブラントは有名な『夜警』など数点しか不勉強なので、存じていませんが光と影の描写が綺麗で好きです。