【感想・ネタバレ】九重家献立暦のレビュー

あらすじ

私たちは、家族になれるのだろうか。

故郷に帰った私を待っていたのは、母の駆け落ち相手の息子だった。
『後宮の烏』の著者が創る家族再生の献立(レシピ)。

母がわたしと家を捨て駆け落ちしたのは、小学校の卒業式の日だった。旧家の九重家で厳しい祖母に育てられたわたしは、大学入学を機に県外へ出た。とある事情で故郷に戻ると、家にはあの頃と変わらぬ頑迷な祖母と、突如居候として住み着いた母の駆け落ち相手の息子が。捨てられた三人の奇妙な家族生活が始まる。
伝統に基づく料理とともに紡がれる、優しくも切ない家族の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

目次
・花冷えと菜飯田楽(なめしでんがく)
・茅(ち)の輪と梅干
・夏雲に盆汁
・夜寒の牡蠣味噌汁
・冬茜とクリームシチュー

生まれた時から父がおらず、地方の旧家である母の実家で、母の養母と母の三人で暮らしていた茜。
小学校の卒業式の日、母は男と駆け落ちをした。

子どもの扱い方を知らない母の養母(千代子さん)と、子どもに愛情を与えない母と暮らしていたせいか、茜は人との付き合い方が苦手だ。
笑顔の少ない、ぶっきらぼうな、言葉足らずの茜。
表面に出てこないからといって感情がないわけではないのに、無自覚に心無い言葉や態度が茜に降りかかる。

そんなわけで就活に失敗し、帰りたくない故郷に帰ってみると、見知らぬ若い男が千代子さんの家に住んでいた。
地方の旧家なので、民俗学的に興味深い風習を数多く残しているこの家で、卒論を書くためだ。

それは、いい。
しかしその男が、母の駆け落ち相手の息子である必要はあったのかな?

確かに千代子さんと茜の二人だけでは、会話さえもままならない。
茜の疑問に答えることなく、話を打ち切ってしまう千代子さん。
しかし仁木くんが加わると、場の空気が少し軟らかくなる。
他人の目があることによって、むき出しの心ではなくなるということなのだろうか。

それぞれに、母や娘や父に捨てられた3人は、年中行事を行うことで少しずつ距離を縮め、互いの傷を癒していく。
結果として、何かが解決するということはない。
ただ、そのまま3人の日々が続いていくだけ。

いつか、許せる日が来るのだろうか。
母に(仁木くんは父に)捨てられたという事実と、それに伴う心の痛み。
親にすら捨てられてしまう自分への、強い自己否定。
彼らの痛みが辛くて、せっかくの趣深い行事や料理がかすんでしまった。残念。

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2022年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

母に捨てられた娘と、娘に捨てられた母と、父に捨てられた息子……の話かと思いきや、親子に代々繋がる呪いの話であった。
どんなものであれ、呪いをかけられた子は、また自らの子に呪いをかけていく。

しかしなぜ親は、思春期の娘には散々色気づくなとか、器量が悪いとか言っていたのに、適齢期になると嫁に行かせようとするのか。
一昔前は見合い結婚が当たり前だったから、その前に悪い虫がついたらと心配するのはわかるが、恋愛結婚が主流の世の中では、恋愛も10代のうちから練習しておかないとうまくいかない。

本編とは関係ないけど。

0
2021年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「捨てられた」という過去の傷を引きずって生きる主人公が、別の居場所に目を向けられるようになるまでの物語だと思った。
やたら手順や決まり事の多い献立は、面倒であると同時に絡まった心を丁寧に整えるきっかけにもなるのだと思う。
母や周囲に関するぐちゃぐちゃな感情の合間に、形の決まった「献立」の描写が入ることで、激情と冷静さの合間をゆらゆら行き来するような心地がした。

主人公たちの引きずる傷の中心となる「母」の謎は明かされないままだし、傷を癒す決定的な出来事があるわけでもない。そういう意味では、人間関係をメインとした明確な起承転結を期待していると少し物足りないかもしれない。
個人的には、何かが明確に解決して「私たちは家族になった」、となるよりも余韻があって好きな終わり方だった。

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2021年03月02日

ネタバレ 購入済み

続編あってほしい!

同作家さんの「契約結婚はじめました」みたいな他人同士(血縁者の大叔母もいるが)で利害が一致して同居するお話ですが、全く違うのはその家は気詰まりしてピリピリしていること。
なかなかな家庭環境で育った主人公。美人ゆえに、いろいろと気苦労があり、また周りを信頼できないから、人間関係も希薄。それは生きづらいなあ。
伏線フラグがいっぱいあって、まだまだ回収しきれてないと思うのですが(続編期待!)・・・主人公には幸せになって欲しいな。

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2020年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何かありそうな雰囲気でお話しは進んでいきます…
ページが残り少なくなり、どこに落とし所がーー??と気をもみましたが。
特に驚くこともなく、中途半端に終わってしまった感が残り、残念。
ぜひ続きをお願いします…すっきりしたいーー

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2023年01月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

旧家で、主人公と、主人公の母親と駆け落ちした相手の息子、主人公の母親の養母の生活。
伯父、母親と同級生だった職場の先輩と、クセがありそうな人物も出てきていたのに、何の波乱もなく終わってしまった。

家の造りと、料理についての描写が丁寧だった分、人物の描写がイマイチで残念でした。

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2021年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「家族になる」というのは存外難しいのかもしれない。
当たり前だと思っていた「普通の家族」が何と幸せなことかと。
表はいいように装ってはいても(主人公はまだ分かりやすい方だが)大叔母も、駆け落ち相手の息子も、内心は色々なものを抱えていた。
しかも綺麗なものではないもの。
闇や醜さなどなど。
それでいて、家族、親が呪いにもなる。
怖や怖や。

実際に何処かの旧家の習わしがモデルなのだろうかと感じるほど、かなり詳細な季節行事に季節折々の料理。
その場面は楽しげであり、少し小言はありつつも、家族団欒な光景。
このまま「家族」になれるのだろう。
そう思っていたのに、平和では終わらないのがこの話。
終盤の展開は怒涛で驚いた。
一気に裏面が出てきた感じで。
それでいて、万事うまくいかない辺り、現実はご都合主義とはいかないのである。

この展開の後なので、ラストの光景もいつもの季節行事に料理のはずが、安心して読めなくなってしまった。
わだかまりや闇は残したまま、ごっこ遊びのような家族は続いていく。
まだまだ本物の家族には遠いかもしれないが、いつか雪解けがあればいいなと思う。

それにしても、主人公は本当に生き辛そう……誤解の多い人生でハードモードだなと感じた。
彼女をちゃんと理解してくれる人が傍にいてくれるといいのだが(某キャラに視線を向けつつ)

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2020年11月07日

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