【感想・ネタバレ】日本を愛する外国人がなぜ日本企業で活躍できないのか? 外国人エリート留学生の知られざる本音のレビュー

あらすじ

日本が大好きで日本でぜひ働きたい──。そんな外国人が増えている。日本で学ぶ外国人留学生は今や約30万人に達した。その中には、東京大学をはじめとする有名大学や大学院で学ぶエリート人材も目立っている。

だが、彼らが日本でいざ働こうとすると、さまざまな壁が立ちはだかる。日本独特の新卒一括採用のシステム、日本語以外の言語での情報発信の少なさ、自分の意見を言いづらい日本的な「空気を読む」カルチャー……。

せっかく日本に強い関心を持ち、就職を希望する“金の卵”を活かすために、日本企業は何をすればいいのか? 知られざる外国人留学生の本音、日本企業が抱える様々な課題と、それらを解決するために何が必要なのかを提示する。

本書は、東京大学公共政策大学院の外国人留学生向け講義「日本産業論」を通じて、エリート留学生が日本の企業について何を学び、働く際に何を期待し、何が課題だと思っているのかに迫る。

実は日本企業の人材育成システムや日本の技術力に魅力を感じている外国人留学生は多い。日本の魅力も日本人が思っているよりも高く、外国人材を獲得することは企業のイノベーション力を高め、競争力の向上にもつながる。

しかし、日本全体で30万人を超える留学生がいて、卒業生の6割以上が就職を希望するが、現実にはその半分しか就職できない。運よく就職できたとしても、完璧な日本語や日本人社員化を求められ、
「日本が好きなのにね…」と言って、日本企業を辞めたり日本を離れたりする多くの優秀な外国人材が目立つ。このような課題を乗り越えるためには必要な処方箋とは。

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Posted by ブクログ

外国人留学生と(それを受け入れる)日本企業のあいだの認知ギャップが、アンケートやインタビュー、そして日本企業のケーススタディを通じてわかりやすく解説されている良書だと思います。個人的な意見ですが、日本企業が人材面で多国籍化するためには、まず事業のグローバル化(海外売上の増加)がすすまないと難しいのではないかと考えます。しかしこれは鶏と卵の議論でもあります。海外売上比率を高めたいから外国人を雇うということも当然あるでしょう。しかし外国人を雇えば海外売上が増えるかというと、この因果関係はかなり怪しい(運にも左右される)のに対して、何らかのきっかけで海外売上比率が高まった日本企業は、さすがに日本人だけでそれを継続するのは無理だと自覚するでしょう。この場合にはかなり高い確率で外国人就業者も増えると考えます。ただし著者も述べているように、最後はお互い(外国人留学生と日本企業)の歩みより、そして共感が必須であることは間違い無いと思います。もう少し言えばコミュニケーションギャップの解消が急務だということでしょう。私は個人的に、もっと日本人がマイノリティの立場を体験するチャンスがあれば良いのにと思います。海外に住むのが一番手っ取り早いですが、他の企業に一時出向するだけでも、自分がいかに異質か、そして他者と違うかを色々と感じることができるはずです。そしてそれを感じ取れた人は、外国人留学生の心境もかなり汲み取れるようになると考えます。

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2023年05月06日

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