あらすじ
新たな時代のR&Dを推進する博報堂DYホールディングスが体系化した、事業開発者のための先進的ビジネス戦略!
欲求は、「個々の生活者の内部」から生じているのではない。
「生活者・物・情報のつながり」から生じている。
つながり方は変化しており、生活者自身も欲求に気づいていない。
従来、生活者の気づいていない欲求といえば、属性や趣味嗜好、日常生活における価値観といった、「個々の生活者の属性」に影響を受けて生じるものだった。それは、しばしば生活者の「インサイト」と呼ばれ、それに着目することが重要であると言われてきた。
しかし、5G、IoT、AI、AR/VRといった「つながるテクノロジー」の発展によって、欲求は、「個々の生活者の属性」だけでなく、「生活者・物・情報のつながり」にも影響を受けて生じるようになった。
本書では、このような「生活者・物・情報のつながり」に影響を受けて生じる欲求のうち、生活者自身も気づいていないものを、「生活者モード」と定義し、生活者モードを捕えるための事業やマーケティングの戦略策定の方法論を提示している。
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Posted by ブクログ
「生活者モード」の定義
つながるテクノロジーによる経験の変化によって、「生活者のネットワーク」が、「物と情報が結びついた環境」を、「感覚的」に選び、受容するという、新たな経験が現れ始めた。これに伴い、欲求は、「個々の生活者の属性」だけに影響を受けて生じていたところから、「生活者・物・情報のつながり」にも影響を受けて生じるようになった。このような、「生活者・物・情報のつながり」に影響を受けて生じる欲求のうち、生活者自身も気づいていないものを、我々は「生活者モード」と定義している。
「生活者の趣味嗜好、価値観が多様化した現在においては、「今後、大勢の生活者に受け入れられるような大ヒットはもう出現しないのでは」と考えてしまいがちだ。一方で、今でもラグビーワールドカップ日本大会のような「国民的イベント」はいくつも生まれており、それに関連した商品やサービスのヒットは続いている。この一見矛盾するような事実は、「現代においては、生活者の内部から生じる欲求とは別の、世の中の状況から生じた欲求が多くの生活者に共有され、生活者を突き動かすことがある」という考察によって理解できるようになるのである。