あらすじ
2020年に世界を覆ったパンデミックは、それまでに起きつつあった変化を劇的に加速した。もう元には戻れない。「マクロ」の視点、「産業と企業」の視点、「個人」の視点それぞれから、次に来る新しい世界を提示する。いま何が起きているのか、これから何が起きるのかを、俯瞰して知るのに最適な1冊。
<著者紹介>
クラウス・シュワブ
1938年、ドイツ、ラーベンスブルグ生まれ。世界経済フォーラムの創設者で現在も会長を務める。1971年に発表した『機械工学分野の最新企業経営』で、企業は株主だけでなく、すべての利害関係者、すなわちステークホルダーのために、長期的成長と繁栄を実現する使命があると説き、このステークホルダー尊重主義を推し進めるために、同年、世界経済フォーラムを設立した。
ティエリ・マルレ
1961年、フランス、パリ生まれ。個人投資家、グローバル企業のトップ、オピニオンリーダーや政策決定者向けに簡潔な予測分析を提供するオンラインメディア『マンスリー・バロメーター』の創設者であり、現在も代表を務める。世界経済フォーラムとの関わりも深く、グローバルリスクネットワークを設立し、そのプログラムのリーダーを務める他、さまざまな役職を兼任している。
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Posted by ブクログ
ー パンデミックが引き起こした深刻な危機によって、経済や社会がどのように機能し、なぜ機能しないかを考える機会がたっぷりと与えられた。その審判は明確だろう。私たちは変わる必要がある。というより変わるべきなのだ。だが、変われるだろうか?過去の過ちから学べるのか?パンデミックをきっかけに、明るい未来が開けるのか?地球全体に秩序をもたらすことができるのか?
シンプルに言おう。グレート・リセットをやるのか、やらないのか?リセットは野心的な挑戦だ。野心的過ぎるかもしれない。 それでも、やらないという選択肢はない。
私たちは全力で取り組み、やり遂げなければならない。肝心なのは、世界の分断をなくし、汚染や破壊活動を減らしながら、パンデミック前の世界よりも寛容で、公平かつ公正な世界を作ることだ。何もしない、あるいは、おざなりなことしかしないのは、日々悪化する社会格差、経済の不均衡、不正や地球環境破壊に向かって、夢遊病者のように歩くのと同じだ。行動を先延ばしにするなら、この世界がますます狭量になり、さらに分断し、ますます危険で自分本位で、地球に住む大多数の人にとってとにかく耐え難い場所になるのを、ただ見ているのと同じだ。
もう一度言う。何もしないという選択肢はないのである。 ー
複雑に考えすぎるから良くない。
シンプルに、やらない選択肢はないという前提で、やるべきことをやるしかない。
その時に、「公平さ」が問題になり、特定の誰かが犠牲・我慢を強いられるのであれば、その負担をみなが分担する仕組みがないと、世界の分断は抑えられない。
とは言え、本作の出版後にロシア侵攻が起こり、世界の情勢がより複雑になり、分断は加速した。エネルギーと食糧の情勢が変わり、持続可能性やレジリエンスがますます試されている。
さて、やらないという選択肢は無い中で、何もやらずに漠然と日々を過ごしていいものか。そんなわけはない。じゃぁ、何をやろうかなぁ〜。
Posted by ブクログ
本書はいわゆるグリーン成長を主張している本だと理解しています。
拝金主義の集団であるダボス会議でも「GDP成長絶対主義」を見直しを主張し始めたのは一つ評価したいです。新型コロナウイルスがネオリベラズムにとどめを指すものという認識も正しいものだと思います。しかしながら本書内で指摘されているようにパンデミックは経済・社会の不平等性を徹底的に浮き彫りにするものでした。
その根本の欠陥を生み出す資本主義への批判が全くないと言ってもありません。
やっぱり本書全体で語られているリセットと言いながら特権階級にいるダボス会議にいる人々の資本や権力はリセットする気はさらさらないんだね、とつくづく思わされました。
Posted by ブクログ
コロナの影響による社会や環境、テクノロジー、個人の変化はどうなるかについて書いてあった。
テクノロジーの部分がかなり興味深く、プライバシーをある程度無視した監視体制が正当化される現在の状態が続けば、たしかにテクノロジーはどんどん進化すると思うが、テクノロジー主導の中国のような監視社会も出来上がってしまう危険性が、自分の中に抜けていた。
便利なこと=決断しなくても良くなること
という認識があったが、それは逆にテクノロジーに頼った危険な考え方だと感じたので、その点は押さえておきたい
Posted by ブクログ
「パンデミックというグローバルな体験を共有したことで、危機と共に見えてきた諸問題に少しでも歯止めをかけられるだろうか?」(P.274)
という議論を投げ掛ける本だった。
Posted by ブクログ
これまでの傾向がコロナで加速しているという内容で既知のものも多いが、整理されている。世界経済フォーラムの会長がこれを言っているということの意義を思う。日本に肯定的なのも参考になる
Posted by ブクログ
「グレート・リセット」とは、2021年のダボス会議でテーマとなったことで世界的に注目された言葉で、ポストコロナの世界は、再生可能エネルギーへの移行加速、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、ステークホルダー資本主義への移行による社会・経済システムの見直しなどが行われ、より公平で持続可能な社会を目指す変革が進むという、世界経済フォーラム(WEF)のクラウス・シュワブ会長に提唱された言葉だ。
当時、新型コロナはそれ程のインパクトをもって、ある意味では変革の好機と捉えられていた。再生可能エネルギーはその間のウクライナ情勢や米中関係等により足踏みの感もあり、DXは言葉が一人歩き、プーチンやトランプ政権により公平社会など程遠いリベラルデモクラシーの終わりなど揶揄されもする今、本書に対する答え合わせの結果はいかに。そんな興味で読んだ。
というか読まなければと思っていたら、あれよあれよと世界で色んなことが起こってしまい、本書を予言本みたいに上から目線で評価するような状況ではなくなっているというのが正直な所。だいぶ時代遅れ、隔世の感すらある。
コロナ禍から、何が残ったか。
リモートワークやそのためのツール、キャッシュレス?インバウンド重要や円安なんかはコロナ禍よりも世界情勢起因で、生活スタイルに関しては、ほとんどコロナ前に戻っているように思う。
ー 2007年に書かれたジョシュア・フェリスによる小説『私たち崖っぷち』で、ある登場人物がこんな感想を語る。「普段より長く感じられる日がある。いつもの1日がまる2日に思える日もある」。このパンデミックが始まってからというもの、世界中が今、こんな感覚を味わっている。時間感覚が変わったのだ。世界各地でロックダウンが行われている間、自宅隔離になって1日がとても長く思えるのに、1週間は驚くほど速く過ぎていくという声がよく聞かれた。
この時間感覚の喪失やその感覚を経て育った世代が残った。失われた時間。最後の方は惰性だったが、コロナ禍初期の感覚を思い出した。
Posted by ブクログ
コロナ禍の最中に購入し、途中まで読んで放置していたのを見つけて、2024年に読んでみました。当時は相当不安定な情勢だったことが伺えたり、また著者はダボス会議関係者ですが、世界をリードしている(と思っている・思われている)方々の認識と、一般人の認識の違いも感じられたりと、不思議な感じで読みました。
どなたかもレビューに書いていましたが、もうコロナが過ぎたこの時期に、あえて読まなくていい本だと思います。(当時は価値があったのかもと思います)
Posted by ブクログ
パンデミックが始まった当初はかなりパニック気味だったのだなと、本書を読んで改めて感じた。
落ち着いてきた今読んでみると、「世の中が不可逆的に大きく変容し、戻らないだろう」という主張が多いことに驚く。
よほど悲観的に受け止めてしまっていたのだろう。
本書を読んだ目的は、「シュワブ氏の提唱する"グレート・リセット"の具体的な方向性と詳細を知る」ことだった。
自分の読む前の認識では、立ち行かなくなった社会の諸課題に対して、世界の頭脳の中枢が、なんらかの明快な解決方法や方針を示しているのだと思っていたが、やはり実際はそこまで甘くなかった。
本書はあくまで2020年10月(頃 )時点における現状の列挙と、それぞれの課題に対してパンデミックがどのように影響を与えうるかというシナリオを提示したに過ぎない。
それを過小評価はしない。これだけ文化やイデオロギーや環境などの背景が異なる地域・国々、人々の階層を押しなべて俯瞰して同じ土俵に上げるのはかなり無理があり、骨の折れる作業だったはずだ。
パンデミックによる影響を受ける、という共通項で方向性をかろうじて示せたのだと思う。
これは凄い。
多くの課題が、資本主義の歪みから来ていることは明白だ。
2023年現時点においても、パンデミックによる影響で自然環境、労働環境、所得向上、国際情勢の改善などが解決したかといえば、全然解決していない。
テレワークは解除され、生産性向上のために再び出社が強制されつつある。
グレタ氏の抗議デモからMeToo運動、ジョージフロイド抗議運動、イエロージャケット運動など様々な運動が各地で起きている。
中国やロシアやイランですらデモが起きるくらいだから相当である。
この動きに対して、じゃあ社会に変容は起きているのか。
草の根の意識は高まっているが、いまだに改革は起きていない。
格差が開きすぎてしまった現代、既存のシステムという壁はあまりにも高すぎる。
シュワブ氏はステークホルダー資本主義という形で軟着陸する形を模索しているようだ。
ステークホルダー資本主義に関してはその定義程度しか把握しておらず、氏の他の著作はまだ読めていない。
なので判断しにくいのだが、資本主義が行き詰まり、民主主義が機能不全に陥っている現状で、ステークホルダー資本主義には今更感が強く、とうていリセットに役立つとは思えない。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックがひとつのガス抜きで終わってしまったことを考えると、
リセットの起爆剤となり得るのは、もはや未曽有の大恐慌だとか、エボラ出血熱の大流行だとか、核戦争レベルの悲劇になってしまいかねない。
氏が本書で主張する通り、リスクは密接に絡み合い、一つの火種が急速に拡大し他の問題に派生するという動きは的を得ている。
なので、なんらかの今回のパンデミック以上の大災害が起きれば、大きな潮流となるだろう。
資本主義というシステムの原動力が欲望である以上、
世界中の人の欲望を皆が自身で抑えつけるか、
または世界中の人々の欲望を叶えるようなきっかけが必要なように感じる。
前者は多分不可能。皆が揃って生きるか死ぬかに迫られないと到底そうはなるまい。
では後者か。
欲望を実現化する上で想像しうるのは以下のような、非常に難易度の高い課題の解決だろう。
フリーエネルギークラスの無尽蔵のエネルギー源の発見、
地球以外の居心地の良いフロンティアの発見・移住・活用の実現化、
VRとメタバースの発展と普及による、国家体制に影響を与えない欲望の発散口、
癌や糖尿病や心血管疾患や悪性ウイルスの克服。
AIの発達によって、これらの難問は遠からず解決してしまうかもしれない。
そのことに反対する既得権益者。
または保守主義な人々がAIの発達それ自体や、AIの活用や、生まれたソリューションの活用に反対することが予想される。
さらには倫理的、宗教的、政治的などの理由でその活用に及び腰になる可能性もある。
既に盤石な、欲望を原動力にして暴力の代わりにお金を用いた弱肉強食の社会である資本主義体制のその先に行くためは、
いずれにしても人々の欲望や、恐怖心や、現状維持の気持ちといった内面と向き合い、それを超克することは避けられなさそうだ。
Posted by ブクログ
ノルウェーは、自営業者の平均収入の80%を支給、デンマークは75%。市場の論理が強い国は、対応できなかった。アメリカでは、病気休暇の制度がない会社が多く、休むと馘になる可能性があるため、感染が広がった。
グローバリゼーションのトリレンマ=経済のグローバリゼーション、政治的民主主義、国家主義の3つは相容れない。
グローバルガバナンスとは、グローバルな問題に国を超えて協力すること。
コロナは、小さな国々の成功と超大国の失敗を暴いた。
コロナで海外からの送金が途絶え、外貨獲得手段がなくなった=エジプト、インド、パキスタン、ナイジェリア、フィリピンなど。
大気汚染が、がん、心疾患、呼吸器障害など健康被害を引き起こす。
「希望のない恐怖はないし、恐怖のない希望もない」スピノザ
イギリスでは、ロックダウン期間でビデオ診療がほぼ100%になった。
on-line小売業界の陰で、繁華街やショッピングモールが落ち込む。
パンデミック後は、ESG投資がさらにまい進する。気候変動、ESGに配慮しなければ取り残される。従業員を大切にしないと取り残される。
ハーツはロックダウン中に破産申請。
行動の変化は元に戻らない。オンラインサービスは加速。グリーンモビリティは増える。自己消費、DIY、on-line学習はどうなるか。
年の基本的な魅力は失われない、という意見と、環境にいい郊外に引っ越す、という意見に分かれる。
不動産には逆風。商業用不動産は供給過剰気味。
ツイッター社は恒久的にリモートワークができるようにした。
大学はハイブリッドモデルに移行。
ビッグテック、健康、ウェルネスの産業が繁栄する。
ハリケーンや地震などの自然災害は人を団結させる。
パンデミックは、じわじわと長期間続くため、疑心暗鬼になりやすい。
緊急事態での価格上昇は、公平性に欠けるため社会的には不適切。
Posted by ブクログ
2020年刊の世界経済フォーラムの見たコロナ下からポストコロナの世界展望。
一層のリモート下、AI化が進み、既存の経済が崩れる中、吹き出す格差の敗者たち、弱小国家たちの社会不安や暴動…それを防ぐには平等な分配を意図したステークホルダー資本主義への変換が欠かせないという。
Posted by ブクログ
ダボス会議で語られるアフターコロナに関する示唆。
メモ
・現代社会をあらわすキーワード
相互依存・スピード・複雑性
相互依存によりサイロ思考は通用しない。
・ポストコロナの四つの主要問題
グローバリゼーションの後退
グローバルガバナンスの不在
米中競争の激化
統治に失敗した脆弱な国家の運命
Posted by ブクログ
2021年20冊目。満足度★★★☆☆ 世界経済フォーラム(ダボス会議)の創設者・会長が2020年7月に出版したものが翻訳されたもの。新型コロナウイルスが世界の経済・社会・テクノロジーなどに与える影響など、アフターコロナの世界を占う書となっている。
Posted by ブクログ
パンデミックをきっかけに、社会構造や人の行動等がどのように変わるのかを記した著書。世界の知識人が議論した内容だけあって深い内容であり、今後の変化を予測する一助になる内容です。
Posted by ブクログ
2020年6月に執筆されたという事で、コロナの影響が拡大している状況であったが、年明けて2021になった現在、落ち着いた国も一部あるが、世界的には悪化している。
そしてアフターコロナを見据えて、以前と同じ生活スタイルや仕事のやり方、そしてエンターテイメントに至るまで、全てリセットする覚悟で、経済活動、社会生活のシステムを再構築していかなければならないと、厳しくはあるがストレートな意見を述べている。
じゃあ、それに向かってどうすればいいのかという提言が無いので、言いっぱなし感はあるが、課題の抽出という意味では納得。
Posted by ブクログ
◾️概要
私たちの幸福度は、一人当たりGDPで定義される富のレベルだけでは正確に測れない、というのが最も印象的でした。かつ、AI、IoTとセンサー、さらにウェアラブル技術を組み合わせて、個人の幸福に関する新たな知見が得られるだろう、と同書で語られていることは示唆にとみます。
◾️所感
読みにくい。ただ、自分の興味のある分野について、世界の首脳がどう考えているか、読み解くには良書。
Posted by ブクログ
経済や医療の観点だけではなく、歴史や環境、個人の視点も含めて包括的にニューノーマルの世界を考えられる良著、が、、、
翻訳のタイムラグで原書は2020年7月、かかれてたのは6月、、、
翻訳が酷い
高い
ので星二つマイナス
Posted by ブクログ
『リセットボタンが押された今、新たな未来をどう創っていくか』
コロナショックが、密接につながっていた世界を一気にバラバラにした。資本主義が後退せざるを得なくなった。ある意味では真っさらになったとも言えるかもしれない。
本書では、これからやってくる経済氷河期を乗り越える術が語られる。