あらすじ
J・D・カー生誕百周年の記念祭に伴い日本に上陸した幻の本――とある未解決犯罪実録集に、カーが解決を示唆する走り書きを残したことによって『カーの設問詩集』と呼ばれている一冊だ。そこには、巨匠は真相に至ったものの、なぜか未解決のままとなっている「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれる不可能犯罪の概要が載っていた。この書物を持ち主から借り受けた大学生・友坂は、所属するゼミの教授や友人たちを別荘に集めて推理合戦を楽しむが、彼らは想像しえない“不可能犯罪”の渦中に巻き込まれる。短編「ジョン・D・カーの最終定理」を完全改稿のうえ長編化した傑作ミステリ。/解説=宇田川拓也
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Posted by ブクログ
ディクスン・カーが未解決事件の真相を記したされる書をめぐる不可能犯罪。ディクスン・カーが好きな人にはたまらないのかな。カーが解決したされる過去の事件を含め、作中で扱われるトリックは大きく4個(3+1?)。実現性には乏しそうだが、どれも良くできているし、特にメインの友坂殺しのトリックは細かいところにまで神経が行き届いている。けれども、どれもがトリックのためのトリックなのはいただけない。要するに、事件が不可解なのは、(ある理由で)犯人が不可解な状況を作りたかったからだ、と説明されてしまう。個人的には、こんな謎解きくらい興ざめなことはない。