感情タグBEST3
Posted by ブクログ
前半のテクストは非常に興味深く、また、納得できる箇所が多かった。
それを批判するのが後半であり作者の意見なわけだけど、考えや意見が合わなかったので「ふーん、そっか」程度に読んだ。
ただ残念なのは、全体的に「生きるのが大変な病状の人」にしか前半も後半も焦点をあてていないこと。
病気やケガの回復が見込めないひとと老人のことしか考えていない。
現代で安楽死を語るのであれば「生きていたくない人」を「自殺させないための安楽死」について言及するべきだ。
Posted by ブクログ
なぜ能力差別が間違ってるのか、しっかりと納得できる説明に出会えた。
誰しもがいつでも差別の対象になりうるから、想像力を働かせて、みんなで差別をやめよう、という理由は納得いくものではあるけど、
それだと「差別されたくなければ」差別しないという条件がつくのが何か腑に落ちない感じがしていた。
この本では老人も障害者もその存在がすでに社会とのコミュニケーションの役割を果たしていると指摘されている。
確かに自分も老いることを祖父母に学んでいる。
誰しも、その存在自体がすでに生きる意味に直結しているということは、言われて初めて当たり前のような気がするけど、素晴らしいことだと思った。
Posted by ブクログ
ナチスのT4作戦につながる障害者排除の論理が、どのような歴史的・思想的背景から正当化されていたのかがわかり、意義深かった。結局、排除する側が言ってることはいまとまったくかわらない。経済的効率性であり、「あいつらは社会のお荷物だ。いまは彼らを養う余裕がない」という考え方がベースになっている。こういうことを言う人、いまもやまほどいるもんなあ。
なみに元の本を書いたドイツの医者は、彼の主張を具現化したT4作戦がはじまったとき、身内が犠牲になって殺害に反対している。奥さんがユダヤ人で大学も追われた。誰でも当事者になりうるということを、もっとみな真剣に考えた方がいい。
Posted by ブクログ
「生きるに値しない命」が優生遺伝子、劣性遺伝子という「優生学」的視点で人の優劣が計られるのではなく、経済活動をベースに生産性という観点で選択されている歴史があったことがわかった。
「〜当時の安楽死肯定論者の本音は経済効率の向上にあったと言っても過言ではないのである」
現代社会において障害者殺傷事件が起こってしまうのも、人間を生産性でしかみることができなくなっているためだと思う。資本主義社会の中ではできる/できない が直接的な人間の価値になりやすい。能力主義で評価されるのが当たり前になっている。しかしこれはナチスのスローガンそのもののように思える。「働けば自由になる」