【感想・ネタバレ】そして、バトンは渡されたのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

まさか、こんなに泣くとは。後半1/4くらいは涙が止まらなかった。
3人の父親、2人の母親をもつ優子。特異な環境であんまり愉快でない人生を送るのかと思いきや、もしかしたら"普通"の親子よりもずっと暖かく、強くたくましい家庭環境が描かれる。優子の家族は、本人も含めてみんなまっすぐで優しい。そんな愛にあふれる姿に後半は胸がじーんとして涙が止まらなくなった。
受験の夜食で必勝かまぼこの入ったうどんを作ってくれる森宮さん。普段は穏やかで厳格なのに、結婚の挨拶に行ったときにはついついお酒をたくさん飲んでしまう泉ヶ原さん。ブラジルから100通の手紙を送り続けた水戸さん。そしてその3人をつなぐ、明るく自由で思いやりにあふれた梨香さん。どれも親としての愛の形で、誰もがきっと似たような形で受け取ったことがあるものだ。それを思い出して涙が出たんだと思う。
最後まで読んでから、あらためて最初の1Pを読んで、また心震えてしまった。すごくいい物語だった。

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2024年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み返す度に心に染み渡るようなお話だ。

主人公の優子は7回も家族の形が変わっている。
別作品の登場人物 羽川翼も家族がころころ変わった結果、血の繋がらない家族に居ないものと扱われ、度々深く傷ついていた。
対して、この主人公は「不幸ではない」。
どの親からも大切にされていて、特に、高校生の時に一緒に暮らしていた森宮さんとは「もしこの生活が壊れるなら暴れてやる」くらいには気に入っている。
私が同じ立場だったら、思春期には荒み、手が付けられないほどの不良になるかもしれない笑
それくらい、家族が変わることはストレスがかかりそうなのに、優子は現状をしなやかに受け止め適応していく。その姿に尊敬する。

今回、読み返した時には大人達の立場にぐっときた。
どの親も親であろうとして、優子に寄り添おうとする姿は、血の繋がりを超えた家族を見ているようだ。
梨花の「今まで、自分だけだった明日が子どもがいることで2倍なる」
森宮さんの「自分より大事なものがあるのは幸せなこと。自分のためにはできないことでも、子供のためならできる」
という言葉が私は気に入っている。
子どもが生まれ、小さな命を預かる責任感で必死になっていたが、なるほど、こう考えると私は幸福だ。
日に日に変わる乳児の顔を見ること、
ミルクにむしゃぶりつく横顔、
顔を真っ赤にしてひたすら泣く様子、
全て、私一人だったら経験できなかったことだ。正直、黄昏泣きや夜中の頻回授乳は辛いけど、この子がいるから見える日常があるのは素晴らしいことなのだとこの本を通じて知ることができた。
私も日常を大切にしようと思う。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでいる時に、いつの間にか自分の表情が柔らかくなっている、そんな作品だった。
第1章では主に学生時代、第2章では社会人〜結婚までの森宮優子の人生が、彼女の視点で描かれているが、第2章の終盤のみ、現在の優子の父親である森宮壮介の視点で話が進んでいる。この部分で、冒頭1ページの朝食を作っている場面の様相が明らかになる。見事な構成である。また、随所に出る料理及び食事の描写が、物語の展開を進めるリズム取りの役割を果たしている。
自分自身、優子のような家族構成の変化を経験したことは未だ無い。ただ、本作を読んで「親子とはこうあるべきだ」という感覚は意味を成さない、大切なのは「こうあるから親子なのだ」という捉え方であると感じた。
本作において「こうあるから」の部分は、親によって異なる。しかし、水戸秀平も、梨花さんも、泉ヶ原さんも、そして森宮さんも、みんな形は違えど、優子に溢れんばかりの愛情を向けている。そして優子も、それぞれの親に対して真摯に向き合い続けた。そこにはどんな時でも常に、「親子」というものが存在していたのだろう。

(梨花さんが優子の結婚式に無事出席していて良かった。病室の場面では、「これが最後の会話だった」的な雰囲気があったので・・・)

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても好きな作品が増えました。
母親は幼い頃に亡くなり、再婚した父は海外へ。継母である梨花に引き取られ、梨花の再婚で新しい父と暮らす。さらに離婚した梨花は次に森宮さんと再婚し、また離婚。全く血の繋がらない父森宮さんと暮らす高校生優子。どこか淡々としているのは、「誰かと離れて新しい環境」を受け入れるために自然に身に付いたスキルだろう。
うーん。確かにこれで悩みがないわけない。担任の先生も心配して当然の生い立ちなのだか、悩みも困っていることもない。大人に振り回されている様な人生だけれど、2人の母親と3人の父親は優子をそれぞれ大事に想い、強い愛情を持って育ててきた。
梨花の勝手な思いつきのような行動も強い愛情から。
血の繋がらない娘を育てる森宮さんの淡々として、ちょっとズレているけど愛情深いところも最高だった。

みんな、ちゃんと親子で愛に溢れる一冊。

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2024年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

始まりも、え?転生物?と思って
しばらく状況が掴めなかったり
半分くらいまで、あれ?これ何の物語?と
思わされたりしましたが
とにかく第二章からの怒涛の展開に
心が震え、揺さぶられました。

瀬尾まいこさんは本当に「家族」を書くのが上手い。
血がつながらなくても家族になれる
家族とは、親とはを深く考えさせられ
そして思い知らされました。

自分の為だけに生きるのはしんどい。
子供の親になり未来が2つになる。
その輝かしい未来を守りたいと
みな子供のために頑張れるのか…と。
自分もこんな親になりたい。そうありたいと
強く思いました。
この作品にこのタイミングで出会えて良かった。
とても良い心得が出来ました。
ありがとうございます。

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2024年04月29日

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本も料理も味わい深い

ニンニクたっぷりの餃子、始業式のカツ丼、メッセージいっぱいのオムライスなど、愛情たっぷりの料理を作る森宮さん、また優子に関わった親たちの真の愛に胸が温かくなリました。
特に、親が子を育てることは明日が2つに、未来が2倍になるという一文に感動しました。

#癒やされる #感動する #深い

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2021年11月16日

ネタバレ 購入済み

心が温かくなる

優子さんの性格もいいのか、周りの大人の気遣いに、
本当に心が温まりました。
付き合った彼氏達も、素敵な子だったですね。
親が何度も代わり、人に言えない虚しさや腹立たしさを感じる事もないほどの
新しい親達。現実には居ないだろう
素敵な物語でした。

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2021年04月24日

ネタバレ 購入済み

大切にしていきたいと思える本

これは優子ちゃんのお話のようで、じつは森宮さんのお話だったんだと思う。
本当に場面展開といい、言葉選びが秀逸で、季節の移ろいなどの表現も美しく引き込まれました。
優子ちゃんと森宮さんの会話にクスッと笑えて、森宮さんだけでなく登場人物がみんなそれぞれ温かくて。でも要所要所のそれぞれの親たちの言葉に重みがあって。。梨花の明日が2つになるって言葉や、どんな時もごはんを作る森宮さんの姿、2章の最後の方、夕食後のデザートの時、森宮さんが優子ちゃんに掛ける言葉の部分では思わず声をあげて泣いてしまいました。きっとまた、時々読み返します。大切にしていきたいと思える本です。

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画を先に見てたからそれぞれのキャストで物語が再生された。映画と違って梨花さんと最終的に逢えたのは良かった。森宮さんのエピソードが全部独特で面白いし、いろんな親が登場するけど森宮さんが親になるとにの覚悟がいちばんすごいと思う(理解はできない)。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明日が2つになるなら、親ってなんだか楽しそう。

映画を観る前に原作を読みたくて積読になっていた本。
読み始めたらすいすい読めて、ラスト40ページくらいは夜更かしして一気に読んでしまった。次の日に疲れが溜まるほど号泣した。

「それで、この先どうなるんだ?!」というハラハラドキドキはしないものの、「この主人公は周りの人たちとどう関わって、どう成長していくのだろう」という素直な好奇心から、ページを捲る手がどんどん進んでいった。

万人が読むといいと思える作品。(読むべき、読んで欲しい、は言葉が強いので読むといい)
よく言うけど、どの年代に読むかで、受け取り方が変わってくる作品。
わたしは30代(既婚子なし)で読んだので、親になる決意ってこういうことか、と親たちに注目した。

主人公は母が2人、父が3人いて、苗字が4回変わった17歳の女の子。
よく使われる単語で現すと“複雑な家庭”で育ってきたけど、「不幸ではないし悩みはない」と言い切る。
とはいえ読んでいくと、わたし(読者)からしたら“悩み”となりそうな出来事は度々起こってきたことがわかる。
でも彼女がそう感じなかったのは、彼女の親たちが愛情を持って彼女のそばにいて全力で接してくれていたから、また、彼女自身のいい娘でいたいという気持ちからくるものであったことがわかってくる。

途中、父親とぎくしゃくしたことについて同級生に相談したとき、同級生に(作中でいうところの血の繋がりがある)実の父とそんなことで気まずくならない、というか父とは話さない、と言われるシーンがあり、実の親子との対比がされている。
主人公親子は血の繋がりがないからこそ、たくさん会話をして、“親子”や“家族”を形づくり、意識して“親子”や“家族”であろうとしていることがわかる。
この対比が興味深いな、と感じた。別に、実の親子であろうとそうでなかろうと、“親子”や“家族”という関係性をないがしろにしてはいけない、と、他人(夫)と暮らしているいまはそう考えているけど、血の繋がった子どもができたらまた考えが変わるのかな。思い返すと、母とはしょっちゅう喧嘩してたけど、ぎくしゃくしたことはなかったから、そういうものなのかも。

なにを、誰と、食べるか。食べ物の描写も多く、美味しそうな独特な料理が出てくるのも魅力!主人公親子はお互いに作ってくれた料理を食べた後、しっかり感想を言う。感謝を伝えるようなその習慣がとても素敵。夏になると手作りゼリーを、友だちと関係がこじれた時は力が湧くニンニクましまし餃子を。
お互いのことを想ってスイーツのお土産を買ってくるのも、特別な関係性だからこそ。外で何か美味しいものに出会ったとき、「これ、あの人が食べているところを見たいな。あの人と一緒に食べたいな。」そう思える人がいることは幸せだよね。

食べ物と一緒に物語に華を添えているのがピアノ。
音楽も、食べ物とまた違う魅力があることを知っているから、素敵要素がてんこ盛り。
病院で早瀬君(主人公の婚約者)がピアノを弾いて、病院に来ている人たちを元気づけていて、食べ物では救えないけど、音楽では救える人がいる、と気づくシーンはキラキラしていたな。

これから暑い季節がくるから、ゼラチンを少なめにした、手作りゼリーを作って好きな人と一緒に食べたい。

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2024年05月11日

ネタバレ 購入済み

素晴らしい

自分の生活スタイルが目まぐるしく移り変わる
主人公のストーリー。
しかしどんな境遇、事態になっても
それを悲観せず逆に立ち向かい幸せを築いていく。

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2022年04月23日

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