あらすじ
幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも、
出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。
大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。
解説・上白石萌音
※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
父親が変わると何かと大変なことが多いと思っていたけど、優子は不幸じゃないのが伝わってきて、本当にすべての親から愛されてきてたのだと感じた。
優子の結婚式でバージンロードを一緒に歩いた森宮さんとの会話が一番印象に残っている。
題名の「そして」の中にたくさんのことがあって、家族を作ってもらっていた立場から、自分の選択で家族を作るとき、たくさんの親からもらったものを自分が渡していく。題名の意味が分かったとき感動した。
Posted by ブクログ
親が変わってしまう状況の中でも強く生きる優子
そしてそんな優子を愛してくれる親
リレーのバトンに例えた心温まる本です。
私も来週結婚式をします。
親から旦那にバトンが渡される。
自分の身にも置き換えて考え、目頭が熱くなりました。
Posted by ブクログ
家族とは何かを考えさせられた。
今の家族があるのは当たり前のことではないし、大切にしていきたいと思えた。
優子ちゃんの周りの家族は、温かい愛情で優子ちゃんのことを考えてくれて、そのことに優子ちゃんがだんだん気づいていく過程も良かった。
森宮さんは少し不器用で何も考えていないように見えるけれど、1番に優子ちゃんを思っていて覚悟を決めて父親の役割を果たしてくれていたと思うと、結婚式のシーンは更に感動だった。
Posted by ブクログ
幼い頃に母親を亡くし、その後も大人の都合に振り回され親が幾たびも変わり…というあらすじだけを読むと、いかにも不幸な話なのに、あろうことかこの小説は、こう始まる。
困った。全然不幸ではないのだ。
なんて温かくて、軽やかな小説なんだろう。
人を信じたくなる、それくらい素敵で優しい小説。
人は、大切に思う人を応援したい時、何か力になりたいとき、美味しいものを食べさせたい、踏ん張れるスタミナを与えたり、甘いおやつをプレゼントしたいものなんだな。歳を重ねるにつれて、よくわかる。
高校生の優子と森宮さんの暮らしの描写がとても良くて、成人の優子や結婚話は必要かな?なんて思ってしまったけど、これまでの優子の親たちが参列し、バージンロードを森宮さんと歩く結婚式の描写には、心が打たれた。
懸命に生きてきた優子が、幸せになってくれてほんとうに嬉しい。
「そして、バトンは渡された」
私のバトンも親から夫へ渡されたから今の私があり、夫のバトンも両親から私に渡されたんだな、と思うと感慨深い。
とても良い小説はだった。
そして、バトンは渡された
読了。大きい事件は起こらないのに、最後の結婚式のシーンは泣きそうになった。森宮さんの頭良いのにお茶目なところが好きだなーと思った。
Posted by ブクログ
ただただ感動した。瀬尾まいこさんの作品は素敵な言葉に溢れていてとても温かい気持ちになる。
この作品に出会えて本当に嬉しい。
最後の森宮さん視点は涙なしでは読めない...
自宅で最後を読んでよかった。
こんな複雑な人生、優子がグレてもおかしくないのに。本当に素敵な大人たち。そして優子は本当に素直で明るい。
「自分じゃない誰かのために毎日を費やすのって、こんなに意味をもたらしてくれるものなんだって知った」
「自分より大事なものがあるのは幸せだし、自分のためにはできないことも子どものためならできる」
本も料理も味わい深い
ニンニクたっぷりの餃子、始業式のカツ丼、メッセージいっぱいのオムライスなど、愛情たっぷりの料理を作る森宮さん、また優子に関わった親たちの真の愛に胸が温かくなリました。
特に、親が子を育てることは明日が2つに、未来が2倍になるという一文に感動しました。
心が温かくなる
優子さんの性格もいいのか、周りの大人の気遣いに、
本当に心が温まりました。
付き合った彼氏達も、素敵な子だったですね。
親が何度も代わり、人に言えない虚しさや腹立たしさを感じる事もないほどの
新しい親達。現実には居ないだろう
素敵な物語でした。
大切にしていきたいと思える本
これは優子ちゃんのお話のようで、じつは森宮さんのお話だったんだと思う。
本当に場面展開といい、言葉選びが秀逸で、季節の移ろいなどの表現も美しく引き込まれました。
優子ちゃんと森宮さんの会話にクスッと笑えて、森宮さんだけでなく登場人物がみんなそれぞれ温かくて。でも要所要所のそれぞれの親たちの言葉に重みがあって。。梨花の明日が2つになるって言葉や、どんな時もごはんを作る森宮さんの姿、2章の最後の方、夕食後のデザートの時、森宮さんが優子ちゃんに掛ける言葉の部分では思わず声をあげて泣いてしまいました。きっとまた、時々読み返します。大切にしていきたいと思える本です。
Posted by ブクログ
瀬尾さんの小説を読むと、いつも心があたたかくなる。
本作も例に漏れず、ほっこりとした読後感。
とにかくキャラクターがみんな素敵なんだよなぁ。
森宮さんの不器用な愛情深さ、泉ヶ原さんの懐の深さ、梨花さんのまっすぐさ。どれも本当に魅力的だと思う。
向井先生からの手紙にもあるように、「あなたみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない」という優子。
現実世界においてはこんなに美しい関係性はなかなかないよなと思いつつ、フィクションだからこそ、ここまで美しく魅力的な愛情関係が成立するし、そこに癒される人は多いんだろうなと思った。
最後に、上白石萌音さんの解説も素敵だった。よくもここまでこの小説のすばらしさを言語化してくれたなと。解説まで読むのがオススメです。
Posted by ブクログ
なんで赤の他人の森宮さんと暮らしてるのか?という疑問から、一気読み
小説だし、フィクションだからとは思うけれど、主人公のクールな性格があまり好きになれなかった。
あと、一旦はべられた友達とまたつるめたりとかよく分からないなぁと。
第二章の結婚での着地に、もやもや感を抱いたけど、前の親とかに連絡するきっかけってやっぱ結婚なのかなと思ったり。
複雑な家庭環境だけど、なんかあっさりした人生ドラマという印象。軽く読めるのはいい。
Posted by ブクログ
映画→原作 で本書に。
「なぜそこをいじった?」と思うほど、
映画は 結構大事な部分が触られていたなという印象。
学校での友人関係、
高校時代の恋愛模様、
そういったフィルターを通した森宮さんとのやりとりにこそ 森宮さんらしさと 優子との関係性が表れているのになあ…。
書き出すときりがないから違う点をあげるのはこれくらいにするけれど、
映画と原作では
優子の印象は全然変わる。
映画は「この原作の端々の雰囲気を模したもの」 だと思った。
映画が腑に落ちなかった勢には ぜひ原作に目を通してほしい。
特に、タイトルにおける印象は本当に変わると思う。
原作を読んでみて
映画で腑に落ちなかったあれこれは、ある程度解消できた。
でも結局 梨花さんの在りようは あまり腑に落ちなかった。
国際結婚で問題になりがちな、子の誘拐みたいだなと思いながら読んでいた。
たぶん私は、実父サイドの気持ちになっているんだと思う。
梨花さんサイドに立つ人は、梨花さんの母性とかを強く感じるんだろうか?
「仕事の都合上 どうしても海外に行かなければならなかっただけで
亡き妻との繋がりである優子との親子である時間を奪われてしまった」
という目で終始読んでしまった。
泉ヶ原さんとの結婚にしても
好意はあったにせよ ピアノを与えたいからという目的が先だっての結婚で、
生活が窮屈になってきたというだけで 与えたはずのその環境から優子も連れ出そうとするし…
最後は「優子ちゃんを託す相手」として森宮さんを選んで 託してしまうし…
んー 改めて並べてみても やっぱり解せない。
精いっぱい愛してもらったという優子の感情の語りがあるのだから 確かにそうなのだろうけど。。
彼女の在りようをすんなり飲み込むのは難しかった。
あと余談。
解説がなんかさぶいなと思ったら、
著者のファンだった。
素晴らしい
自分の生活スタイルが目まぐるしく移り変わる
主人公のストーリー。
しかしどんな境遇、事態になっても
それを悲観せず逆に立ち向かい幸せを築いていく。