あらすじ
父と私と文楽。共感度100%の家族小説。
母の3回忌の法要で、佐和子は実家を訪ねた。久しぶりに顔を合わせた父・敬一郎から文楽を観に行こうと誘われる。仕事が休みの土曜日、小学生の娘・梨々花は別れた夫・義彦との面会日で家にない。「面白いぞ」と敬一郎は言うが、半信半疑で国立劇場へ向かった。
演目は『心中天網島』だった。天満で紙屋を営む治兵衛が曾根崎新地の遊女と恋仲になり、妻子を捨てて心中するという筋書きだ。治兵衛は、妻のおさんへの未練も断ち切れず、遊女の小春との心中も踏ん切りがつかない。佐和子はまったく共感できなかった。そんな佐和子に、「また付き合え」と敬一郎は言った。
ニューヨーク州の弁護士資格も持ち、アメリカで仕事をする予定の義彦が、梨々花を連れていきたいと言い始めた。佐和子は梨々花を手放したくないが、契約社員としての収入は多くなく、夫からの養育費に頼る身だ。そんな中、敬一郎から検査入院をすると連絡が入る。
37歳でシングルマザー、派遣社員の佐和子には、精神的にも経済的にもゆとりは少ない。公私に亘って、課題が山積みだったが……。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
初読み作家さん
なんとなく惹かれて購入したのだけど、予想以上に良かった。
じわりと誰にでも訪れるであろう不幸が佐和子に忍び寄ってくるのだけど、それがリアルで身がすくむ。明日は我が身的な感覚だ。
それでも文楽に癒され、前向きに少しずつ好転していく様はとても気持ちがよく、ラストも必ずしもハッピーエンドではないのかもだけど、地に足ついたラストでよかった。
なんか前向きになれた本だった。
Posted by ブクログ
「一度落ちこぼれたら終わりなのか」
うじうじと悩みながら目の前のことはきちんとこなす感じ、よく分かる
真面目な優等生タイプの人が、周囲に劣等感を抱きがちな感じも、よく分かる
なので、まるくおさまる感じは鼻白らんだけど