あらすじ
独房に入るにも、入所案内みたいなパンフレットがある――国際的に有名な地震学者が、「業務上横領」で告訴され、2006年2月1日「詐欺」容疑で逮捕。7月21日保釈。本書は、この不可解な逮捕劇を描いた本ではない。171日間という長期の拘束期間、科学者は何を経験したのか。逮捕・勾留されると「どうなるか」を科学者の目で解析する。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
想像以上に面白い本!!
筆者が逮捕されてから、取り調べ、勾留、起訴、裁判、判決、保釈までの様子が詳しく書かれています。
取り調べの時間や回数、警察署・検察所・拘置所・裁判所で行われたこととその様子、勾留中の食事、規則や仕組み、拘置所や独房内部の様子、移動手段などが、所々にユーモアも交えながら、驚くほど事細かに記録されています。
身に覚えのない嫌疑で逮捕・起訴され有罪判決を受けるという状況での、筆者の冷静な観察眼に脱帽です。
Posted by ブクログ
著者は1941年生まれの地震学者。
2006年2月1日に詐欺の疑いで逮捕され、札幌拘置所に拘留されます。
7月21日に保釈が認められるまで171日間の拘置所での生活を詳細に記録した本です。
島村氏の罪状は、北大在職中に、ノルウェーのベルゲン大学に海底地震計をあたかも個人の所有であるかのように騙って、代金約2000万円をだまし取った、というものです。
この本においては事件の内容はあまり詳しく触れられていませんが、氏のホームページに「裁判通信」という形でレポートされています。
拘置所での自身の生活を描いたものとしては佐藤優氏の「国家の罠」があります(この本の中でも一か所引用があります)が、この本に書かれている内容は「国家の罠」の内容と重なる部分も多く、「国家の罠」をすでに読んでいる人にはそれほど新たな知見が得られるというわけではないように思います。
ただ、こちらの島村氏の本の方は非常に克明です。
このあたりはやはり学者らしさが出ているのでしょうか。
特に、入所以来の食事メニューを20ページ近くにわたって書き連ねた部分はある意味壮観です。
結局島村氏は札幌地裁で執行猶予つきの有罪判決を受け、迷った末に控訴を断念、判決が確定します。
ただしそれは罪を認めたということを意味するのではなく、控訴して上級審へ進んでも無罪にはさせないだろうという検察と裁判所に対する深い不信から下した決断なのです。
佐藤氏にしても、島村氏にしても、国家の意思によって罪を着せられたと認識している(島村氏の場合は地震予知という「国策」に対して批判的な立場をとってきたことが原因ではないかと自身で分析しています)点が共通しています。
そして、不自由で窮屈な拘置所生活を強いられながらも、自分と周囲を客観的に見つめる知性と強い精神力を持っているところも。
本件が本当に「国策」的に作り上げられた事件だったのか判断することはできませんが、国家が国民個人の自由を奪い拘禁することの危うさを知るという点において、この種の本は読んでおくべきと思います。
Posted by ブクログ
北大を舞台にしたこの事件そのものは、大学に関係した仕事をしている僕らには、当事大ニュースであった。著者=被告はなにしろ、国立極地研究所長を務め、岩波書店からも著書を出している地震と極地研究の第一人者なのである。そんな彼の留置所レポートなのである。この事件が、冤罪かどうかはともかく、塀の中の生活にはやっぱり興味津々なのであった。
Posted by ブクログ
島村教授のポジティブさに助けられて、イメージとしては暗くなるだろう話なのに読みやすい。
教授だけあって、知識人であることを感じられる文章。
日本の司法現場は、恐ろしい。原則は推定無罪じゃなくて推定有罪だ。
Posted by ブクログ
食事の項目が興味深い
むしょうにコッペパンが食べたくなって買った(笑)
本(活字)を読めない生活は、さぞ辛いんだろうなー
数日ならまだしも、私にはとても耐えられない!
それ以前の問題だけど・・・