あらすじ
学力格差を克服するのに必要なのは、すべての子どもの基礎学力を下支えする「学力保障」である。本書は、学力低下論争への考察を皮切りに、学力について考えを深め、学力格差の実態を考察する。そして「学力保障」をカギとして、「効果のある学校」「力のある教育委員会」の実例を紹介し、学力格差克服の方法を探っていく。よりよい未来をつくるために、これからの学校、公教育の進むべき道を示唆する、学力格差研究の集大成。
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Posted by ブクログ
教育社会学の研究成果を表したものである。さらに具体例もある。そして各事例から学力格差を克服するための方略として、1)高校までの無償の普通教育の保証、2)早期の分化の抑制とリカレントルートの整備、3)評価・配分機能の縮小、4)学校のカベを薄くし、授業を社会生活に結ぶつける、5)教育活動をできるだけ集団的、協働的なものにする。ことをあげている。
Posted by ブクログ
図らずも、この本にある「学力保障」はコロナによる加配教員の増員政策「学びの保障」の中で実現しているのでは?
文科省主導で頑張っているが、この本の通りにうまくはいってないかも...!(たぶんこれもコロナのせいでもあるけれど)
「学力格差」について体系的に知ることができてよかった。格差の定義、克服とは何か、公教育とは何かを明示してくれているので、ヒステリックな問題意識ではなく、将来性を重視した内容となっていてとても良い。
Posted by ブクログ
学力向上vs学力保障
上の層を伸ばすのではなく下の層にいる子を平均値に近づける、それより上に行かせようとする。
個人的には学力保障をしっかりと行うことが今の教育界には必要だと感じる。
なぜなら、日本は人口減少する国家だからである。
人口が減少することは自明の事実である。そうすると自然的に上の層の生徒も減ることになる。
しかし、学力保障で下の層にいる子を少なくすれば人口が減ったとしても、確かな学力を持つ子どもの数を減らすのを妨げることができる。
そのためには、筆者が本書で述べているように、能力主義と平等主義・統合主義・民主主義のバランスを回復したものに再構築し(現状は能力主義に重きを置きすぎている)、高校までの無償化(これは現政権で達成はされている)、早期の分化の抑制とリカレントルートの整備(普通学級と特別支援学級、普通科高校と職業科高校など早期に分断せず、学び直しの機会を充実させる評価・配分機能の縮小(評価にばかり時間を使わない)が必要であると感じる。
現在の日本では、メリトクラシー(能力主義)が第一とされており、各家庭においても、ペアレントクラシー、マザロクラシー(家庭において子どもをどう育てたいかとすること)をつきつめている現状があり、ペアレントクラシーが弱い家庭の子との格差が浮き彫りになってきているので、後者の子どもたちに対して教育委員会並びに行政がどうアプローチしていくのかが大事になってくる。