あらすじ
漫画編集者って、なんてかっこわるい仕事なんだ!
人気投票と評価、そして売れ行きの間で煩悶する漫画家と漫画編集者。
不人気の果て、開き直って描いた官能漫画がようやくヒット、しかし創作のエゴイズムから逃れられない漫画家。
その矛先は担当編集に当然のように向けられる。
「俺の漫画に関われるだけでありがたいと思え」。
漫画家と編集者との共闘、そして決裂までを描いた『担当の朝』。
担当編集はまるで修行のような態度で臨まなければならない、現在では不人気となってしまった鬼才の大巨匠。
それでも「破門」される日はやって来る。
その理不尽さ、恩と怨念を描いた『担当の夜』。
有望な新人のはずなのに、なかなか新作を描かない漫画家。
その驚くべき「描かない理由」としたたかすぎる生命力を描く『最後の担当』。
今日もまた訃報が届く――。
なぜか早死にする漫画編集者たちへの痛切なレクイエム『俺酒』。
元青年漫画誌の編集長だった著者が描く、知られざる青年漫画の熱かった季節。
表紙・巻末マンガ:すぎむらしんいち
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Posted by ブクログ
マンガ編集者の体験をベースにした小説。濃いな~~。編集者の作家への愛と物作りの過程にはふむふむと思わされるけど、そこで作られる作品が女子にはエグすぎ。。。
Posted by ブクログ
「担当」とは漫画雑誌編集部で漫画家を「担当」する編集者。実体験から書かれた本らしい。表紙のような雰囲気は中にはまったくなくて(巻末に自虐的暴露もあるが)、ネットリベットリ、ときにアッサリとした漫画家と編集者の関係が描かれている。全体的に二日酔いの気持ち悪さが付いてくるような感じ。ひとかどの漫画に、という熱意と転落。編集長と編集者は違う仕事だ、と。当時の編集部は喫煙はもちろん飲酒もOK、いまは小奇麗になっていて禁煙だという。漫画雑誌を買わなくなって久しい。そういうエネルギーが、お互い、なくなってきてんだよなあ、と思う。
Posted by ブクログ
ブロスの大根仁さんのコラムで知る。『オール読物』等で連載していたらしい。安達哲・華倫変・ジョージ秋山、あとは松永豊和?にかかわっていたときの話。四編のうち、漫画家と編集である自身の関係に焦点が当てられた前半三編までは面白い。かつての上司と酒について綴った最後の書きおろし「俺酒」は、前章では毛嫌いしていたはずの無頼派をきどっているかのような安易な文体に辟易した。一冊をとおして、明らかに同じ人物について書いているのに実名風の仮名(?)で出てきたり、イニシャルで出てきたりとゆらぎがあるのは勘弁。なら一冊にする意味ないでしょう。文豪の作品集ならそういう構成もあるだろうけど。最大手の漫画誌編集者の露悪的、卑屈、自滅的な破天荒ぶりと、経費を使った金遣いのむちゃくちゃさ。編集長・局長レベルの中堅になると世間の目線からすると「一切仕事をしていない」ように見えるのかがわかった。とにかく一般的な編集の話ではないが、そこから気づくことはあった。