あらすじ
アマンダは24歳。わけあって、まだバージンだ。苦い過去から逃れるため、男性とのつき合いを避け、仕事のかたわらチャリティ活動に力を入れている。今回の企画は、消防士たちのセミヌードカレンダーの制作。気のいい彼らは引き受けてくれた。副署長ジョシュをのぞいて。消防署でいちばんのハンサムに出てもらわないと困ってしまう。アマンダは業を煮やし、直談判に押しかけた。頑として拒み続けるジョシュだったが、やがて譲歩案を出す。“きみがつき合ってくれるなら、考えてもいいよ”と――!
*本書は、ハーレクイン・テンプテーションから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。
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Posted by ブクログ
素晴らしい作品でした。
タイトルは、本作品の内容を的確に表現しているようでもあるのですが、一歩間違うと誤解を招きやすいかもしれません。
ヒロインのアマンダは17歳のときの火事が原因で、24歳になった今も大きなトラウマを抱えています。
彼女が十代ときの好奇心とちょっとした悪戯心が大きな災厄を招き、結果として尊い消防士の人命が失われてしまったからです。
トラウマゆえに、男性との親密な交際ができないアマンダ。
そんな彼の前に現れたのがイケメン消防士ジョシュでした。彼の包み込むようなおおらかさと愛情で、アマンダは次第に過去の呪縛から解き放たれてゆきます。
私はこの作品を読むまで、あまりにも消防士の方々の仕事について無知でありました。ただ恥じ入るばかりです。
この小説は恋愛ものではありますが、それだけではありません。自らの生命を賭けて尊い人命を救う消防士という仕事の厳しさ、魅力についても生き生きと読者に語りかけてくれます。
アマンダがジョシュと結ばれた後、こんなことを言う場面が最後の方にあります。
ー私の相手が消防士だと知れば、両親が愕くわ。
でも、こんな風に考えられはしないでしょうか。
消防士という仕事に就く男性だからこそ、アマンダの過去について理解し、受け止めてくれたのではないか、と。
少なくとも、私にはそのように思えてなりません。
なお、最初の「タイトルが内容を裏切る」という点については、タイトルが刺激的だけに単なるラブロマンスだと誤解されるのではないかという意味です。
でも、最初はそう思って読み始めても、読者は直にそれが大いなる間違いだと気づくはずですね。
また、アマンダが過去のトラウマを乗り越えてゆく過程も含め、様々な要素を併せ持った作品であるといえますし、色々と考えさせくれます。