あらすじ
「伊澄アコ」と「伊澄こまち」は双子の姉妹。幼いころから通じ合っていた二人だったが、高校3年生になってからアコは漠然とした違和感と不安を覚えていた。こまち以外に心の拠りどころを求めるアコは、放課後の教室で副担任の「大沢麻紀」先生に強引に詰め寄りキスをする。しかし、妹のこまちが向かいの校舎からそれを見ていて…。いびつな姉妹の愛。青春の終わりに、絆を結び直すジュブナイルストーリー。
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表紙通り
最初の雰囲気は明るく陽気な感じだったのですが、物語が進行していくにつれて鬱々した雰囲気になり、この印象の違いによって読み応えのある作品に仕上がっていました。
先が楽しみになる一巻
双子もその周りも様々な心の揺れ動きがあり、この先が楽しみになるような展開。双子にまっすぐに相手を見るという絵が少ないのが今後どうなるのか気になる部分。双子の悩みとしては直球な話だが、周りの人達にもそれぞれわずらっているものがあるのでどう動いていくのだろうか。
Posted by ブクログ
これまた随分とドロドロとした作品だ……
作品の主軸はアコとこまちの双子姉妹。彼女らはそっくりな部分は勿論あるんだけど、一方であまり似ていない部分も相当ある
判りやすい違いでは髪の長さがまず挙げられるし、他にも口調が若干違うし、他者への関心の度合いも異なっている。
そして、二人の違いは根本的な部分にも存在している。
アコは双子や雪がずっと一緒に居ることに危機感を覚えている。つまりは外を見ようとしている。それに対してこまちはアコだけが居ればいいと思っている。つまりは内を見ている
双子だけど幾つもズレが存在していて、そのズレが決定的な歪みを双子に齎している
その歪みが表出して担任の麻紀を巻き込むことになるわけだね
同性、教師と生徒、そして脈絡のないアプローチ
アコと麻紀のどこか歪な触れ合い。これはアコが麻紀に求めているのが真の愛情などではなく、自分を安心させてくれる存在として求めているため。自分の視点を外に向けさせてくれればそれで良いという歪さ
だからこそ、麻紀に対してもどこか恐ろしさを感じてしまう。何故アコの歪さに付き合っているのかと
回想シーンからすると間違いや他人に迷惑を掛ける人間を嫌悪しながらそれに焦がれているように思えるけど、それがアコの戯れに付き合う理由にどう繋がってくるのだろう……?
ここまで人間関係がドロドロしていると唯一の清涼剤のように思える雪ですら内面に醜い何かを飼っているのではないかと思えてしまうよ……
アコは先生といると自分が抱えてる不安が薄らいで安心できるっていう恋愛未満のアバウトな感情だし、こまちのアコへの気持ちも恋愛というよりは異常な家族愛っぽいから恋愛ものがみたい自分には刺さらなかった。