あらすじ
「タイムマシンは理論的には可能」
「氷が水に浮くから命は存在する」
「自転車はこいでいてなぜ倒れないの?」
「スマホで話したり画像が送れるのはなぜ?」
日本の宇宙論、物理学の第1人者が解き明かす、新しい世界と日常の見方。
最先端の物理学で日常の「不思議」を誰でも分かるように解き明かします。
文系でも物理学に興味のある人や、新しいものの見方を模索している人へ向けた新しい物理学の解釈。
大好評「文系でもよくわかる物理学」シリーズ第二弾!
【目次】
1章 時間は流れない
「時間が流れる」とは限らない
脳が構築する〝順番〟はよく間違っている
相対性理論の「時間」、量子論の「時間」
「時間のループ」はありえるのか
星の年齢はどうやってわかるのか?
宇宙のはじまりにある時間とは?
2章 魔法の角度をもつ水
「氷が水に浮かぶ」から、生命が生き延びられた?
もしも水が熱しやすく冷めやすかったら、地球は砂漠のようだった
「0度で凍り、100度で蒸発する」の不思議
水の秘密は、その角度?
テフロン加工のフライパンが焦げないのは水の帳面張力が強いから
「純水」は体に毒?
水以外のものでも生命は生きられたのか
宇宙空間にも水はある?
3章 生活に隠れた物理学
カーブで倒れないギリギリの速度は?
自転車はなぜ倒れないのか
宇宙空間でロケットが急カーブしたら?
遠心力の正体とは?
LED照明はなぜ省エネなのか?
電子レンジは何を温めているのか
電子レンジを使っていると、Wi-Fiがつながらない?
「エコキュート」はエアコンと同じ?
原子力発電も火力、水力発電も、基本は同じ?
地上に太陽をつくる?
4章 スマホに使われている物理学
そもそもなぜスマホで会話ができるの
電波はどうやって送受信するの?
「5G」はなぜ大容量なのか
光回線はなぜ速いのか
どうして「指紋」がわかるのか
緊急地震速報はどうやって教えてくれるのか
電波は体に悪い?
5章 医療をささえる物理学
体温計には物理学が詰まっている?
指を挟むだけで血液中の酸素量がわかるのはなぜ?
MRIはなにを画像にしているの?
レーザーも量子論のおかげ?
粒子線治療では、なぜがんのある場所で止まるのか?
筋肉は何の力で動いているのか
肩こり・腰痛への物理学的アドバイス
6章 物理学者の今と昔
物理学者のコミュニケーションが変わった?
ウェブサイトは物理学のためのものだった?
AIで世紀の大発見は起こるのか?
物理の道を志した「こっくりさん」事件とは
終章 日常の「あたりまえ」は「あたりまえ」ではないかもしれない
そこにモノは存在するのか
あなたの知っていた「1キロ」は1キロではないかもしれない
渡り鳥とオーロラの共通点とは?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
スマホはどうして音声を伝えることができるのか。5Gは何故早いのか。LEDは何故白熱電球より省エネなのか。世の中、分からない事が多すぎる。当たり前のこととして享受している事が多すぎる。そして、その理解を諦めてさえいる。だが、本書を読むことである程度〝ついていける“ようになる。それは素晴らしい事だ。
― スマホの内部にあるマイクロホン(マイク)に向かって話すと、「圧電素子」と呼ばれる物質が空気の振動パターンをそのまま電気の信号に換えてくれる。その宿号がさらに電波に変換されて、近くの「基地局」に送られる。基地局では電波を光や電気の僧号に換えて「交換局」に送り、交換局が相手のスマホの最寄りの基地局につなげてくれる。各基地局と交換局の間は、電波ではなく、光ファイバーなどの有線ケーブルでつながっている。さて、相手の最寄りの基地局に届いた光や電気の倍号は再び電波に換えられて、相手のスマホに送られる。そして相手のスマホが受け取った電波を電気の振動に換え、次にスピーカーが音の振動に戻して、ようやく相手のもとに声が届く。
― 5Gになると通信速度がより速くなる、大容量のデータを送受肩できるようになるといわれているが、何が違うのかといえば、使われる電波の種類が変わる。5Gでは、これまでよりも短い波長の電波が使われるようになる。波長が短いということは、超高速で振動しているということだ。
― では、なぜ最初からもっと短い波長の電波を使わなかったのかと言えば、波長が短いと、障害物にぶつかったときに回り込むことができないので、遠くまで飛ばすことが難しいからだ。波長の短い電波は、性質が光に似てくる。光も電磁波の一種だが、その波長は数百ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)とごくごく短い。だから、光は直進し、まっすぐにしか進めないから障害物があると回り込むことができず、その裏に影ができる。電波も波長が短くなればなるほど、“影”ができやすくなる。だから、5Gの電波をうまく使うには、電波の飛ばし方にも工夫が必要なほか、基地局の数もたくさん必要になる。
メモ書きを続けながら、最近読んだ本で見解保留としていた「電磁波の影響」について。時々私の読書は、並行して読んでいるものが似たようなテーマを扱う事があり、そのような化学反応が読書の楽しみの一つだ。
― ただ、物理学という視点で言うなら、悪影響がない理由はない。というのは、私たちの脳内では電気号で情報のやり取りをしている。そして、電波は電子を揺らす力をもっている。だから、強い電波を受ければ、脳内の電子も揺らされるはず。
他にもいっぱいメモ書きしたが引用しすぎると楽しみが減るし、良くないので、この辺まで。読後に世界観が変わるという意味では、こうした本も最適である。
Posted by ブクログ
前作よりも面白く、知的好奇心をくすぐる良書だった。
あまり原理が分かってないテクノロジーを分かりやすく解説してくれる。短くまとめられていて一瞬で読み進めていける
Posted by ブクログ
タイトル通り、日常の疑問を物理学の視点からわかりやすく解説してくれている本。
歳を重ねれば重ねるほど、なぜそうなっているのかということに疑問を抱きにくくなる気がする。
本著を通してあらためて当たり前のことがなぜ当たり前なのか、本当に当たり前なのか、突き詰めて考えてみることの大切さとおもしろさを感じることができた。
Posted by ブクログ
前作に引き続き興味深かった。普段使っているスマホ、絶対に欠かせない医療、電力供給など…。生活の中に多くの物理学が応用され、意識せずともそれを利用していることがよくわかる。
今回は「日常」がテーマなため、日常のツールの仕組みと物理学、どちらの説明もされているのだが、前作より更に端折っている箇所があるため、結局よくわからなくなるお話がチラホラあった。この本では概要を掴んで、もっと知りたければ自分で調べるのが良さそう。
それにしても、地球がここまでわたしたちに都合よくできていると、宇宙の人間原理にも説得力がでる。奇跡と奇跡と奇跡と奇跡と…無数の奇跡が重なって、とんでもない確率で今があるのが少し怖い。