あらすじ
毒親そだちのあなたと毒親になりたくないあなたに贈ります。 ●親を憎んでしまうのは、自分のせい? ●なぜ、子どもを束縛したくなる? ●こんなに愛しているのに、なぜ憎くなる? 家族についての悩みはあなたのせいではない!気鋭の脳科学者が、ついに「パンドラの箱を」開ける!「毒親」の正体とその向き合い方を分かりやすく説きます。
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Posted by ブクログ
今の自分にぴったりな本だと思った。
まず、毒親は寂しいから、自分のコントロール下に置けない、自分の知らない能力を持っていることを嫌うのだと思った。怖いんだな多分。
オキシトシンの話もすごく沁みた、陣痛時に出るオキシトシンには母子愛着形成の作用があったのか。
あとは、親切な人が好きな人間の心理も理解できた。人間が元来から生き抜くためには、自己を犠牲にして集団を守ることによって生き抜いてきたことから、他人のために親切になれる人がモテるのだと学んだ。親切な人は自分を守ってくれるからって言うのが本音なんだなと思った。
毒親からの解放は、静かに暖かく自分の人格を認めてくれる人と出会いその人の真似をするということ。まさにパパとママみたいだなと思った。
家族関係が良いのが美とされる考え方は本当にいらない考え方だと思った。
私は正直愛し方がわからない。だからちゃんと人を愛せるように育ちの本も読もうと思った。教育についても学ぶべきだと思った。
いつまでもこんなに苦しんだんだからと親のせいにしたくない、変わるのは自分。
Posted by ブクログ
大変失礼だけれども、正直、まったく期待していなかった。本書でも名前のあがったスーザン・フォワード氏、信田さよ子氏、岡田尊司氏をはじめ、斎藤学氏や海外の毒親関連本も多数読んでいたので、、中野氏の『毒親』は、きっと、本の厚みと同じくらい薄い内容だろうと高を括ってた。しかし、予想外に、心に残るものがあった。中野氏の理知的でありながらも毒親育ちへの優しいまなざしが感じられる筆致に励まされたのかもしれない。
特に印象に残っている部分に触れてみたい。
『毒親、というのは、「自分に悪影響を与えつづけている親その人自身」というよりも、「自分の中にいるネガティブな親の存在」』
⇒いまだに私は自分の中に毒が残っているのを感じる。
事あるごとに、母に責められるような感覚を持つ。
もう何年も物理的には離れているのに
「そんなことをしたらバカだと思われる」
「どうしてもっとテキパキできないの?」
「親不孝者!」
そんな声に怯えてしまうことがある。
『愛情と攻撃を司る機構は意外にも脳の中では近接している。また、この感情は、家族間のほうが他人よりも高く、互いの類似性が高いほど、高まってしまう。』
⇒同族嫌悪の最たるものだろうか。
母親が長女を自分の手足のように感じ、思うようにならないと激しく攻撃するのは、残念だが周りでもよく聞く話だ。
『受けてしまった傷の深さはどのように脳に刻まれるだろうか。脳は、物理的に危害を加えられたり、ひどい言葉を常に投げかけられたりしていると十分に発達しないことがある。背外側前頭前皮質が損傷を受け、キレやすく、欲望への抑制が効かなくなったり、冷静な思考がしにくくなったりする。ギャンブルやアルコール依存症のリスクも上昇、性的依存も一面ではこのような原因があると指摘されている。社会通念からみれば許されないことを判断できず行ってしまい、歯止めが利きにくくなってしまう』
『ハリー・ハーロウのモンスターマザーの実験。
赤ちゃんのサルを、布の母(スポンジと柔らかい布でできた人工の母親)とともに孤立させる。布の母には、赤ちゃんが近づくと突然激しく振動したり、板で弾き返したり、圧縮空気を噴出したり、一定時間がくると(先は尖っていない)針が飛び出して突いたりする仕掛け。どうなったか。なんと赤ちゃんは、どんな目にあっても何度も繰り返し抱きつこうと近寄るのをやめなかった。』
⇒虐待が執着を増幅させてしまうのだ・・・。
娘が60代、母が80代になってもこのようなことを繰り返す関係を知っている。母に振り回され、理不尽な目に合わされ傷つき、心を閉ざして一時的には距離を置くけれど、また自分から近づいてしまう娘。母親は、決して謝ることは無い。まるで20年前の自分を見ているようで、気持ちが痛いほどわかるだけに、とても切なくつらい。
『研究によると「子どもの前で夫婦喧嘩をすることそのものよりも、仲直りのシーンを見せないでいることの方が大きなダメージを与える。」仲直りの場面を見せることで、親同士の傷ついた関係は修復できるのだとという安心感を与えてあげる必要がある』
⇒完璧な関係なんてない。たとえ全部を受け入れられなくても、理解し合えないことがあっても、それでも仲良しで、ずっと一緒にいることができる。この世界は安全な場所だ、という安心感や信頼感を子どもたちに持たせることができると思う。
『自然な恋愛感情以外の何かを相手に求めてしまい、それが得られないと世界全体から拒絶されたような絶望感を味わってしまう、という人は、相手を対等なパートナーとしてではなく、かつて子ども時代に自分を愛してくれるはずだった人の代わり、としてとらえている可能性がある。大人になれば仕事もある。24時間、赤ちゃんを育てるようにあなたを見ろと望むのは酷だ。』
『そんなときは、信頼できそうな相手(恋人・パートナー・友人)を見つけよう。そしてその人の「愛し方」をよく観察すること。
(1)自分本位の感情であなたを振り回す人なのか。
(2)あるいは気が向いたときだけ愛して、あとは邪魔者扱いをする人なのか。
(3)それとも、静かな愛情で、いつも何がどうあろうと相手の人格を認め、大切に扱おうとする人なのか。』
『もし(3)に当てはまる人なら、その人は「あなたの運命の人」つまり、「あなたの人生を変えてくれる人」である。』
『しかし(3)の人に全身で寄りかかるのではなく、この人が自分に向けてくれる淡々とした、しかし深い愛情のあり方を、自分でも体得していこう。この人が向けるような静かな愛情を、自分でも自分に向けてみる。どんな失敗をしようと、どんな姿でも、あなたはあなたであり、僕/私の大切な人だ、というメッセージを、自分自身に発してあげてみてほしい。もしうまくできたなら、それが自然にできるようになるまで、毎日花に水をやるように、最初は意識的にでも繰り返してあげてほしい。』
⇒私は幸運なことに、親との関係を必死に見直し始めて10年経った頃、まさにこの(3)に該当する友人と出会った。彼女は『ここは私の居場所じゃない-境界性人格障害からの回復』のパジェット医師のように、静かだけれど深い愛情で、根気強く接してくれた。
私の知らない世界に生きる人だった。彼女を観察し、彼女がどう世界を見ているか、教えてもらった。そして自分の本当の感情と向き合い、どんな時も自分だけは自分の味方だと自分を励まし、私は長い期間をかけて変わっていくことができた。
まさに、中野氏が書かれた通りの過程を経て、私は私の人生を取り戻すことができたのだと思う。
毒親育ちだからこそ、周りの人の気持ちにもよく気づくし、痛みも理解できる。そこから立ち直って、新しい、自分自身の人生を歩める喜びは何にも代えがたい。
20年前の私のように悩んでいる人たちに伝えたい。
その気になれば、人間、必ず変わることができる。
楽な道を選んで、人生を他人に乗っ取られ、泥の中をはいずるような人生は終わりにして欲しい。
Posted by ブクログ
暴力を受けたり目の当たりにすると前頭葉が萎縮することが判明したのか2009年だったということが一番の驚きだった。つい最近じゃないか…
針金で作った母猿ミルクと布で作った猿の実験も興味深かった。
六本木の蜘蛛もフランスの女性が家庭環境に恵まれていなくて母をモチーフに蜘蛛を作った話も面白かった。