あらすじ
Excelに手で打ち込んだ経費精算の書類をプリントアウトしてハンコ押して出して、それを経理が目で見て領収書と突き合わせて入力してダブルチェックで確認して……こうした「ムダ」は、そこらじゅうにあります。
本書は、総務・経理などの個別の業務ではなく、そうした部門が関わる会社全体の業務(バックオフィス)の最適化の方法を「経営戦略」としてお伝えするのが目的です。
特に、ペーパーレス化、テレワーク体制など、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組みたい方々に適しています。
▼ ITを最大限に活かす、本当に使える「業務最適化の地図」の描き方
近年、ITによるバックオフィスの最適化を考える企業は増えてきました。たとえば、
「ITサービスの導入による、人間が手作業で行ってきた事務作業の省力化・自動化」
「グループウェアやチャットツールによる、情報共有やコミュニケーションの活性化」
などです。
しかし、手を付けてみたものの、なかなかうまくいかない会社も多いのが実際です。
しかも現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行などを受けて、多くの会社では仕組みやツールが整っていない状態であってもテレワークなどを余儀なくされ、こうした問題は経営戦略上でも「喫緊の課題」となってきました。
本書では、そうした現状に対して、経営の視点でどう対応していくべきかを、わかりやすく解説します。
重要なのは、業務フローを考えるとき、会社のすべての情報が行き着く先である「会計」から逆算して考えるということです。
もちろん、ただ単に「ITを活用してより便利にします」ではなく、多くの経営者にとって気になるポイントである「売上を上げる」という点を重視。
正しいIT投資によって「売上アップ」と「効率化」を両立させる方法を教えます。
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Posted by ブクログ
私も著者と同じくバックオフィスのIT化を15年ほどやってきており、同様の本を何冊も読んだが、本著の素晴らしいところは非常に解像度が高いところである。
一部のコンサルティングファームが出す本にありがちな抽象的、通り一遍の説明でなく、システム化に関して本当に大事な勘所がしみじみ理解出来るよう説明されている。
特に中小企業、スタートアップ企業のバックオフィスIT化推進する人は本書の通りにやればそれだけで劇的な成果が出ると思う。
特に膝を叩いたのが、基幹系システムで経験豊富なSEやコンサルが暗黙的に理解していることとして「全ての取引データは会計に繋げるべし」という勘所の記載。
これは会計に繋げることにより経理部門の工数削減だけでなく会計データと原始データを紐づけることにより、「利益の内訳をそれぞれの取引までドリルダウンする」ことが出来ることが出来るようになる。
経営指標となるKPIは基本、財務値とリンクさせることにより初めて芯をくったPDCAを回すことができる。会計データに取引データが紐づくので事業部はかいつまんだ報告や誤魔化しができなくなり本当の意味で改善する必要が出てくる。これが大事なのだ。
このようにデータの精度を上げ意味のあるものにすると言う点が、基幹システム導入において超重要な事柄なのだがこれについてその必要をきちんと理由をつけ説明している本は少ない。
本著はこれに留まらず本質をついたアドバイスが非常に多い。プロジェクトの進め方、特に関係者の巻き込みなど実務的に核心をついた金言も豊富である。
著者はクライアントのかなり深い部分に入り込んでIT化進めていったのだろうと関心させられる。
Posted by ブクログ
著者は本間拓哉氏。一般社団法人IT顧問化協会代表理事、(株)I経営ワークスや(株)DXソリューションの代表取締役。
感想。
今知りたい情報がたくさん詰まってました。読んでよかったです。
採用管理、労務管理、勤怠管理、給与計算、経費管理、会計、グループウェア、通信インフラ、セキュリティ、テレワーク、名刺管理、営業管理、販売管理、マーケティング、等々。易しく整理して頂いている。
タイトルは、本質はそうなんでしょうが、読者目線からすると期待と異なる感情を抱かせるかも。
備忘録。
・経営者が現状に問題を感じて「ITシステムを活用して問題を解決したい」と考えているのに、IT活用・導入をを実現できる人材が社内にいないケースが非常に多い。(←これ)
・経営者の方々は売上アップを望んでいる。IT活用で業務が効率化して、それが実際の売上や利益に繋がるか。単なる効率化だけで、それにITツール利用の月額利用料がかかるなら、現状のままで良いのではないかと。
・著書らは、IT活用が、バックオフィスの最適化が、最後は売上蔵に繋がらことを理解し、そのために必要な手順を策定し、導入支援をするという。
・ポイントは数字を盛り込んで可視化すること。見えにくい間接コストを可視化し、ITによってどれだけ削減できるか。間接コストの負担は現場にかかることを経営者は理解する必要がある。我慢させつつ、残業を抑制させて、などしてたらまずい。
・著者らがバックオフィスの最適化を考える場合、会計ソフトにどうやってデータを落とし込むか、を、まず考える。どんな業務フローも、大概は最終的に会計ソフトに繋がる。
・自社の環境に合ったITツールを選んで導入しても、グループウェアやインフラの整備がイマイチでは、バックオフィスの最適化は叶わない。
・ITシステム導入には初期設定が必要不可欠。この設定には、「使い勝手を上げるための設定」と、「それがなければ運用できない設定」がある。
・自社にオンプレミスのシステムを持ち、そのオンプレミスのシステムを使いつつ、クラウドのシステムも併用するのもあり。ポストモダンERP。
Posted by ブクログ
具体的にどうこうではなく、何をしていいかわからない中小零細企業がDXやITって何?と知るためにはお勧めできる。
あらゆる業務はデータとなり、会計として落とし込まれるという記述も納得できる。問題があれば、関連する数字に表れるし。
ITに限らず、新しい試みに対する社内の反対をどう説得していくかという記述は、悩んでいる担当者にとってはいいヒントになると感じる。
Posted by ブクログ
中小企業をターゲットにした本でしたが、IT活用ができていない大企業にとっても有用かも。まだfreeeとかも大企業向けじゃないらしいけど、大規模企業でも使えるものが出てきてほしい。
とにかくIT活用が遅れて、業務標準化も国レベルで進んでいないことが、生産性が低い一因。IT顧問化協会というのを設立して、中小企業のIT化を推進するっていう著者の方の取り組みはいいですね。でも、大企業もいまだまだまだ改善の余地あると思う。
この本のキーワードのひとつは、データの連携でした。
そして、会計から逆算して、業務フローとシステム連携を考えようと。
並行して、2004年とだいぶ古い『誰も語らなかったIT 9つの秘密』というNTTデータの方々が書いた書籍を読んでいるけど、そのタイミングですでに日本企業のIT活用能力の遅れ(経営者の能力不足が最大要因)が指摘されている。
そこにもあったけど、中途半端な投資(金もだし、設計目的も)は金をドブに捨てるだけ。IT投資が効果を発揮するのって、金額比例じゃなくて、ある閾値を超えた(つまり必要な機能が実装されている状態)場合にのみ効果が出現するっていう基本すら理解できてないというのは、よくわかる。
で、16年後のこの本。同様の指摘がある。なかなか変わるのは難しいってこと。
そして、これもまた常々感じることだけど、経営者が何かを変えたいと思うなら、そのための武器や機会を与えましょうという著者の訴えにはほんと同感しかない。
Posted by ブクログ
売上を上げ、メンバーや関係者を豊かにしていきたかったので読んでみた。経営者視点をより持ってみたかったので、読んでみた。
バックオフィスを最適化するためにはまず、会計の分野を最適化する必要があるとのことだった。
理由は、顧客視点、従業員視点で見た時に、いずれもフローの最後には会計がつきものだから。
何でもかんでもIT化で最適化できるとは限らないため、とにかくは現状把握が重要!
日常的な社内でのコミュニケーション、社内メンバーのエンゲージメントを高める仕組み作り、お客様とのやりとり、業務において常によりよく出来ないかという視点が持てる仲間がいるかどうかが大切だと感じた。
若干宣伝要素が多かったので、途中から流し読みになってしまったけれど、全体通しては事例も多くて、参考になった。