あらすじ
「ガイア理論」の提唱者として知られる世界的な科学者が、21世紀に人間の知能をはるかに凌駕する〈超知能〉が出現すると予測。地球は、人類を頂点とする時代(=「人新世」)から、〈超知能〉と人類が共存する時代(=「ノヴァセン」)へと移行するのだ。〈超知能〉は人類より1万倍速く思考や計算ができ、人間とは異なるコミュニケーション手段を持つという。他方で〈超知能〉にとっても地球という環境が生存の条件になるため、人類と共に地球を保護する方向に向かうだろうと断言する。科学的なベースを踏まえながら、地球と生命の未来を大胆に構想した知的興奮の書!
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Posted by ブクログ
「ガイア理論」の提唱によって地球環境問題を包括する視点と概念を与えてくれた著者が語るラディカルな未来予測。
AIによる新たな生命体を人類の後継者として位置づけ、温暖化という危機を乗り越えるために人間と共存する時代を「ノヴァセン」と呼ぶ。
人間よりも知的な人工生命体の誕生は、宇宙が意識を持つに至るプロセスの始まりなのかもしれないという、まるでSFを読んでいるかのような論調に飛躍するが、決して荒唐無稽ではなく、最後まで興味をそそられる内容だった。人類の未来を思索する上での、新たな視点を示してくれたと思う。
Posted by ブクログ
90歳が書いたとは思えないアップデートな本。ホモデウスと基本一緒であり、これからは自らが進化させた人類が次の時代を作っていくだろう。それは危険水域に入りつつある地球環境を守る方向に行くはずで、マトリックスのような世界にはならない。ただ、サイボーグと化した電子的な次世代人類の環境許容範囲は現人類よりも広いかも知らず、火星の方が適切な場所であるかもしれない。
Posted by ブクログ
ガイア理論の提唱者ラヴロックは御年百歳。未来ではサイボーグが人類ととも世界を支配する、その時代をノヴァセンと説く。単なるディストピアでなく、ガイアが望む必然の帰結とする考えはとても百歳の発想とは思えずただ驚くばかりだった。ちなみにサイボーグの計算速度は、人に比べると、人と植物動きの差ほどあるとの例えは想像しやすく面白いと思った。
Posted by ブクログ
ラヴロックの最後の著作、人類へのラストメッセージとも言うべき本。
地球を一つの生きたシステムとみなすガイア理論の提唱者ということで、ニューエージ的な環境保護派にみられがちであるが、基本的にはテクノロジーの人。
なので、地球温暖化に対して、早くから警鐘を鳴らしつつも、どっちかというと技術的な問題解決にフォーカスはあると思う。その辺のバランス感がラヴロックの面白いところ。
そのラヴロックは、この著書を書いていた頃、どう考えていたのかというと、普通の意味では悲観的なヴィジョン、つまり地球温暖化の進展による人類の大量死は避けられないと諦めている感じ。
だけど、テクノロジストのラヴロックは、違うタイプの希望を見出す。つまり、アンドロイド、ロボット、AI的な存在による世界の継続に希望を託すのだ。
つまり、彼らにとっても、地球の温暖化は問題なので、彼らがソリューションを考えつくであろうとのこと。
これはマトリックス的なディストピアと考えるのか、あるいはある種のユートピアなのか?
ラヴロックの議論は、上に紹介したように単純なものではなく、いろいろな視点をふくむものなので、興味を持った人は読む価値あり。
Posted by ブクログ
「ガイア理論」を提唱したラヴロックが100歳になり、今後の未来像について語った本、ということで読んでみました。
地球はひとつの生命体である。
地球は誕生してから今日まで、地球上の様々な生命とやりとりをしながらひとつのシステムをつくってきている。
その地球の進化と発展の中で、人類が生まれ、これからはその進化の必然として誕生するサイボーグ(ロボットやAIなど)がそのシステムを維持していくことになる。
ガイア>サイボーグ(ロボット・AI)>人類
とする構造の中で、
超知能とされるサイボーグたちはガイアを壊すわけにはいかないから人類と共同生活を送るだろう。
本書の展開には、正直、驚かされます。
ガイア理論と技術至上主義的な考えがあわさった形で、それこそ地球の環境を維持し、発展させるために、人類は原発を使いこなす必要があることを明確に述べています。
単純な科学を手放して、”自然に帰れ”、”昔にもどれ”の発想に未来がないことは僕も賛成ですが、ここまで楽観的というか、強気にはなれないなぁ、と思って読んでいました。
地質の年代として、化石燃料を使い始めた現代をアントロポセン(人新世)として位置づけ、これからの超知能によって乗り越えられる年代を「ノヴァセン」と呼んで、地球が誕生してからの長い年月を位置付けていく視点は興味深いです。
地球が誕生してからの長い年月、
そして著者が100年間の人生で歩んできたそれこそ大きな変化を含めて展開しているパースペクティブに学ぶところは多いです。
進化と人類の役割に関して、アーサー・C・クラークのSF小説『幼年期の終わり』を思わせるところもあります。
うーん、しかし、どうも受け入れられないことが多いです。
100歳のラヴロックよりも、僕の方が古い世代のおじいちゃんみたいな感覚にさせられます。
”これまでもそうだったように、未来はわたしたちにとって、知り得ないものだ。それは有機的世界においてさえもそうだ。サイボーグはサイボーグを身ごもるだろう。人間にとって都合がいい存在として下等生物であり続けるなどということは決してなく、そのまま進化を続け、高度な進化の産物として新しい強力な種となるだろう。しかしガイアという支配的で圧倒的な存在に尽くすため、それらはすぐに、わたしたちの主となるのだ。”(p.156)