あらすじ
労働問題を継続取材する中で見えてきたのは、雇用統計にすら反映されず、労働市場から“消えた”状態となっている中高年たちの存在だった。その数、100万人超。果たして、働き盛りのはずの40代・50代に、いま何が起きているのか? 日本経済にまで負のインパクトをもたらす、労働市場の「落とし穴」とは? ふとしたきっかけで誰もが陥りかねない「消えた労働者(ミッシングワーカー)」の実態と、その問題の背景、そして解決の糸口を、密着取材から多角的に描き出した、渾身の一冊。
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Posted by ブクログ
仕事の失敗や失業、病気、家族の介護。様々な理由で消えた労働者をミッシングワーカーと呼ぶ。求職活動をしていないため、「失業者」にもカウントされない。そんなミッシングワーカーの実態をえぐり出した取材班の努力の痕跡。おすすめです。
Posted by ブクログ
中高年の介護問題は、どこか他人の問題と考えてが、ちょっとしたボタンの掛け違いで、誰しもミッシングワーカーになりかねない。
介護のための退職、その後のリスクを考えると、安易にその選択はベストなのか考えてしまう。
親が大事だからこそ、一緒に居たい、介護したい、その気持ちが今後の自分や親を苦しめる要因になろうとは、なんて皮肉なんだろう。
Posted by ブクログ
失業統計に現れない中高年無業者=「ミッシングワーカー」の実態と支援の取り組みを取材したルポルタージュ。専ら「親の介護」のために就業できなくなった人々に焦点を合わせているが、そのこと自体「正当な理由」がなければ「無業」自体を問題にしにくい現状を反映している。取材過程や伝え方がワイドショーやドキュメント・バラエティのような情緒に訴えるような側面があり、かえって大衆の啓蒙には逆効果な感もある。結局のところ不安定な有期雇用の横行に根本原因がある以上、「労働市場への復帰」をゴールとしている限りは、「みじめさ」を再刻印するだけで問題は何も解決しない。本気でこの問題に取り組むのならば、現在の雇用の二重構造や過度の市場・企業放任を所与のものとするのではなく、増税と公債の増発で公営事業を作り出し、そこにミッシングワーカーを優先的に正規労働者として無条件採用する、無業期間の年金や保険料を国庫で補填するなど、新自由主義そのものにメスを入れる革命的な施策を行う方向性をはっきりと打ち出すべきだ。