あらすじ
奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手。1963年には『未来世界から来た男』で創元SF文庫の記念すべき第1弾を飾ったフレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、111編のSF短編すべてを年代順に収めた決定版全集・全4巻。第3巻には「スポンサーからひとこと」など傑作16編を収録。【収録作】「存在の檻」/「命令遵守」/「フラウンズリー・フロルゲルズ」/「最後の火星人」/「地獄のハネムーン」/「星ねずみ再び」/「六本足の催眠術師」/「未来世界から来た男」/「選ばれた男」/「入れ替わり」/「武器」/「漫画家」/「ドーム」/「スポンサーからひとこと」/「賭事師」/「処刑人」/収録作品解題=牧眞司/解説=若島正
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Posted by ブクログ
目次
・存在の檻
・命令遵守
・フラウンズリー・フロルゲルズ
・最後の火星人
・地獄のハネムーン
・星ねずみ再び
・六本脚の催眠術師
・未来世界から来た男
・選ばれた男
・入れ替わり
・武器
・漫画家
・ドーム
・スポンサーからひとこと
・賭事師(かけごとし)
・処刑人
初期の頃の切れ味鋭いショートショートが少なくなって、淋しい。
その中では『六本脚の催眠術師』が、にやりと笑える面白さ。
ここにきて本邦初訳の作品が結構あるのは、日本での人気に陰りが出てきたってことなのでしょうか。
『未来世界から来た男』は、創元SF文庫の表題作にもなったけれど、今はもう受け入れられないかもしれないなあ。
1950年代に書かれた作品は、第二次世界大戦後の世界観で、公民権運動の前の世界観。
作者が偏見を持っているというのではないけれど、人種差別が当たり前だったころの作品は、いくらひねりの聞いたプロットとはいえ、今はもう無理だろう。
そして、冷戦真っ只中の時代に書かれたこれらの作品を立て続けに読むと、いかに当時の人たちが、冷戦さえなくなれば世界は平和になると思っていたかがわかる。
宇宙人や未来人が来ては、地球をひとつにまとめようとする話が多い。
だけど結局、冷戦は一触即発の事態だったとはいえ、結局世界中を巻き込む前に踏みとどまることができていたけれど、今はそれこそ、世界中を巻き込みかけている状態だからなあ。
冷戦こそが一線を踏み越えないためのブレーキだったようにも思えてくる。
いま、「スポンサーからひとこと」あったら、どうだろう?
私はそこまで楽観的になれないなあ。