あらすじ
50万部突破の感動作、2020年、最強の布陣で映画化決定!田中裕子、蒼井優が桃子さん役を熱演、「南極料理人」「モリのいる場所」で最注目の沖田修一が脚本・監督。すべての人生への応援歌。
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Posted by ブクログ
桃子さんの複雑な感情が刻まれた本で、旦那の周造の死によって、悲しみや独りになっても強く生きようとする葛藤が感じられた
色々な感情になりながら読んだ。
ローコンテクストでシーンが書かれないので今は、桃子さんの中で会話が進んでいるのか、どこの会話なのか置いていかれる場面が何度かあったので少し難しかった
Posted by ブクログ
若い時に読んでたら、
全く響かない本だったと思う。
小説としても、かなり斬新で新しい書き方で、読み進めるのが少し難しいと感じることもあったけど、35歳、子供が2人いる今の私が読み終わった感想としては、桃子さんの感情や、考えにハッとさせられることが多く、「これは他人事ではないな。」だった。
「自分より大事な子供なんていない。自分がやりたいことは自分がやる。子供に仮託してはいけない。」
「親子といえば手を繋ぐ親子を想像するけれど、ほんとは子が成人してからの方がずっと長い。」
人とはあまり話さない桃子さんの脳内を覗き込むことができて嬉しかった。
本当は私が話し相手になりたい…と思った。
Posted by ブクログ
子どもが巣立ち、夫に先立たれた独居老女のただの妄想と思うなかれ?
主人公の女性、桃子さん。コトが壮大になっていく。時空を越えた交流がやってくる。地球46億年史…。
それにしても、著者の若竹さんは何故、お国言葉で書こうと思ったのだろう。
「あいやぁ、おらの頭(あだま)このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねべが」
冒頭文からコレだし、この後もほとんどずっとこの調子だ。
調子良くリズミカルに、というか、ずんずん調子で読ませる。ニュアンスが分からなくても気にしないで読んでみると、結構心地良くなってくるから不思議。
なんであんなことしたんじゃい、と書かれた解説文の町田康さんも関西弁で応じているけど、小説家という人達は概して桃子さんみたいだし、そして我々だって桃子さんなところはあるんでしょう…。
Posted by ブクログ
宮沢賢治の「永訣の朝」のトシの台詞は、死を迎えようとするトシが一人で逝くことを述べた台詞だったように思うが、それをひらがなで書いた本書の「おらおらでひとりいぐも」は、他人のためとか世間の常識とかそういうものから離れて、自分は自由に一人で歩いて行きます、みたいな決意に感じられた。
東北弁の文体は『壬生義士伝』の吉村貫一郎の語り口を彷彿とさせた。夫と死別した桃子さんは一人で生きているが、彼女の脳内にはさまざまな層の彼女自身が「柔毛突起」のようにあれこれあれこれ、彼女の故郷の言葉である東北弁で思考を繰り広げている。脳内で騒がしいほどに思索して、それが漣のようにざわざわと広がっていく感じは、分かるなあと思った。
桃子さんは一人で生きているが、心の中にあの世に通じる扉があって、夫周造の声もそこから聞こえるし、ばっちゃも共に生きていて、柔毛突起も騒がしくて賑やか。この世とあの世のこの近さは、遠野物語その他、東北ならではだと思う。
周造を愛し、子どもたちを愛して生きてきたと思ったけれど、自由が一番で男に尽くす女なんて奴隷根性、愛は五番目、って思ってみたり、子どもたちの弁当箱は捨てたのに自分が小1から使っている弁当箱は大事にとっているのは結局自分の方が子どもより大事なのだ、って思ったりするあたりの強さ。生きていたって…と思いつつも、亡き人や自分自身と対話しながら一人でたくましく生きていく、寂しく見えるけれどものすごく強いおばあちゃんの姿がとても良かった。