【感想・ネタバレ】音楽が聴けなくなる日のレビュー

あらすじ

電気グルーヴのピエール瀧が麻薬取締法違反容疑で逮捕された翌日、レコード会社はすべての音源・映像の出荷停止、在庫回収、配信停止を発表した。近年ミュージシャンの薬物事件ではこのような対応が即座になされ、また強化されてきたが、その「自粛」は何のため、誰のためのものだろうか? こうした「自粛」に異を唱える著者たちがそれぞれの立場から問題の背景と構造を明らかにし、現代社会における「音楽」「薬物」「自粛」の在り方について考察を深めていく一冊。巻末の音楽自粛小史は必見。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

再帰性=セルフモニタリング 自分を俯瞰 立ち位置確保
 結果としてのコンプライアンス
  不祥事の防止・企業価値の向上
  事なかれ主義=前例の踏襲

「リキッド モダニティ」液状化社会 ジグムント バウマン
 決定しない優柔不断が合理性 ⇒その都度 選ぶ人になる
 
「キャラ」
「自己責任」
「状況的な人間関係」
 関係に応じた人間関係 すべてをさらけ出さない
「多元的な自己」リースマン

ーーー
「法」 古い法を排して市民が勝ち取ってきた財産 暫定的で不完全なもの
 法は統治の必要から制定
  民主制=価値観の多様性 道徳感情は反映してはならない
  定住の営み支える所有とともに法が生まれた
  社会は法より大きい
  人間は法には収まらない存在 その事実を表出するものが芸能やアート

「双剣論」西ローマ帝国
 世俗の権力は王、超越の権力は教皇
 東ローマ帝国は教皇が両方持つ
「人権内在説」
 誰もが享受できる公共財などない 資源維持の制約や施設維持の負担が必要
 各人の人権要求を誰もが共有するプラットフォーム
 自己決定権があっても決定能力が不足する日本

「尊厳」 社会的自己価値への信念 自由と尊厳の循環

「法外を守る」→「不安を埋める」仲間集団≒生活世界縮小
 法の奴隷・言葉で騒ぐ・個人の損得
 体験の直接伝達から意味の関節伝達へ
 「没落中間層」不安をより強いものとの平行移動で劣等感を埋め合わせる
 好きなものを語るとき マウンティング 勝敗をつけたがる

「アート」 人の心に傷をつけるのが目的 
「娯楽」 リクリエーション(回復)
 パブリック アート 受け入れられる形で傷を残す営みの模索
  解決手段:アート教育、なりすましアート

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2020年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
はじめに
第1章  音楽が聴けなくなった日
第2章  歴史と証言から振り返る「自粛」
第3章  アートこそが社会の基本だ
おわりに

<内容>
「電気グルーヴ」のピエール瀧が麻薬で捕まって、その楽曲の販売、配信が一切停まった。発売元のソニーミュージックエンターテインメントの「自粛」によるものだった。本によると、日本独特の風習(商習慣?)らしい。そして、90年代以降それが始まり、どんどん悪化?の方向らしい。帯にかかれる坂本龍一のコメントではないが、「聞かない自由」「聞く自由」があり、創作、演奏している本人たち(電気グルーヴはほとんど石野卓球が創作、演奏している)以外に、聞き手にも自由があることは当たり前だ。第3章で、宮台真司がえらく難しい議論をしているが、「アート」が万人のもの(作り手以外に見る(聴く)人)のもので、作った後は、作り手の手を離れたものになる。歴史的にそうなるのだ。殊に日本だけの現象なのだとしたら、そういう点で日本は「アート」を理解していない国(にどんどんなっている)、精神的に稚拙な国、劣化している国に落ちて行っているのだ。それがよく読み取れた。
単純に「音楽が聴けなくなる」だけでなく、人間性を奪おうとしている人々が横行している国化、している状況こそ、憂いるしかないないだろう。

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2020年06月21日

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