あらすじ
「人を傷つけてしまうのではないか」という強迫観念に囚われている中学3年生の理子。身近な人間の殺人計画を「夜の日記」に綴ることで心をなだめ、どうにか学校生活を送っている。そんな理子の前に、彼女の秘密を知るという少年・悠人が現れる。秘密を暴かれたくなければ父親の殺害を手伝えと迫る悠人に協力するうち、徐々に彼に心を開いていく理子。やがて二人は計画を実行に移すが――。
先読み不能、一気読み必至の青春ミステリ!
解説 有栖川有栖
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
2024/9/24
ヒリヒリする話。
先が気になって止まらない。止めたけど。
環境が悪すぎるけど子供は抜けれないよ。憂鬱になるよ。
悠斗んとこは論外としても主人公のとこもひどい。
やたら突っかかってくるクラスメイトの沙苗ってのもなんなんだ。その彼氏の意思のなさもなんなんだ。
でもこんな人達おるんやろうな。存在してしまうんやろうな。
中学生やしな。
私だって中学時代には一番戻りたくないもん。
でも大人はもうちょっとなんとかならんか。
警察くらい呼んだれよ。
主人公も悠斗も前途多難やけど成長して自由になって力抜いて生きていけるようになるといいよな。
Posted by ブクログ
先が気になって一気読み。
中学生の二人がどうにもならない現実でもがくさま。大人の存在がまだ必要で一人で生きていくには難しい年齢。自分の正直な気持ちを言えない、自分は人を傷つけてしまうかもしれないという強迫観念、絶対に人には見せられないものを抱えて苦しむ理子。兄の疑惑、母親の存在、学校での出来事、抱えるものが多い。唯一安らいでいた場所でさえも…。
薫、マキの言葉、優しい視線に素直にうなずけない、見られない。
「困難があったら、正攻法で乗り越えればいい。そんな風に考える人間が、嫌いなんです」
「反対から考えると、正攻法で乗りきれる程度の壁しか、あの人たちの人生にはないんだと思います。」
「外法を使わないとどうしようもない問題だって、あるでしょう」
警察、児童相談所、公的機関に頼ればいい、過去もすべて話して解決していこうという薫たちの言葉は二人には響かない。
友だちのまっすぐさがしんどい。
まだまだ解決しなければならない問題はたくさん、二人の未来が明るいものだったらいいなと、(先も読んでみたかったけど…)本を閉じる。
p191-13
p191-16~192-7まで
p218-2
p225-10~14
p238-18~239-6まで
p259-10~16
p326-2
Posted by ブクログ
中学3年生の理子には人には言えないことがある。
ひとつは〝誰かを傷つけてしまうのではないか〟という恐怖を抱え、その自己治療として身近な人を殺す様子を日記に書いていること。
二つ目は、小学6年生のときに不思議な関係で結ばれていた友人、加奈子を殺したこと。
これは事故として扱われたが、事実は理子の中で埋もれることなく生き続け、これが加害恐怖という病を発生させている。
理子の家族は父親を亡くしたことで壊れた。
母は一家の大黒柱の重圧と仕事に疲れ果て心を病み、兄は教師としての仕事をしながら理子と母親を養っている。自然と家事の担当をもつことになった理子は、大切にしていた部活動を休止していた。
誰かを傷つけることを恐れて、目立たないよう息を潜めて生活していた理子のまわりで、しかし波風は立ち始める。
近くの河原でホームレスが焼き殺され、その犯行があまりに自分の綴った日記と重なったために、これを盗み読んだ兄か、記憶がないだけで自分が殺したのではないかと考える。
そんな折に、彼女のもとを訪ねた新入生がいた。
小学6年生のときに理子が殺した加奈子の弟、悠人は加奈子に似た美しい顔を持ち、理子に「姉の死の真相を知っています、バラされたくなければ僕の父を殺してください」と持ちかける。
不審な兄の行動。続くホームレス殺し。クラスメイトからの攻撃。部活動での乱入者。母親との軋轢。
様々なものを避けて、最善を尽くしたつもりだったのに。
彼女の殺人計画は上手くいくのか?兄の行動の意図は?
物語の終わり、物事はうまくいくこともいかないこともあるけれど、このいくつもの騒動を抱えて彼女はどうやって逃げるのか、戦うのなら正しい方法でなくてはならない理由があるということを知った。
やっぱり私は男性作者の書く女の子が少し苦手だ。
なんとも言えない模造品のような手触りがする。
もちろんそうじゃない作家さんもいるけれど、今回はそれを感じた。
同じ年代の子が読んだらまた違う感じ方をするのかも知れない。