あらすじ
血を分けた兄妹でも知らぬことがいいことがある
元吉原の北、長谷川町に住まいする役者あがりの音四郎と妹お久。
足に大けがを負い舞台から去った異父兄にはお久の知らぬ事情が……。
江戸・元吉原の「猫返しの神さま」 と言われる三光神社近くの長屋で、
長唄を教えている音四郎、お久の兄妹。
将来を期待されていた歌舞伎役者だった兄は足に傷を負って役者を辞め、稽古屋を始めた。
負傷にはなにやら因縁があるようだ が、お久には知らされていない。
兄にはまだ他にも、人に言えぬ秘密があるようだ。
「大女」「ならのかんぬし」「いぬぼうざき」「はで彦」「宵は待ち」「鷺娘」「菊の露」「丙午」「にせ絵」。
弦音ひびく江戸情緒あふれる9編を収録。
解説・吉崎典子
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Posted by ブクログ
役者だった音四郎は脚の怪我でその道を断たれた。その後鍛錬を積み長唄の師匠として三味線弾きの妹お久と稽古場を営んでいる。
脚の怪我の訳をお久にも語らず、唄の道に勤しむ音四郎とそんな兄を思いやり支えるお久、身の回りの世話をしてくれるお光の三人の物語。
音四郎のキリリとした生き方やお久、お光の優しさ、女としての悩みなど読み応えある作品。